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サムスン電子サービスセンター「労組破壊」が呼んだ死

悪態、標的監査、地域分割、生活苦...最後のメッセージは「全泰壹のように」

チョン・ジェウン記者 2013.11.01 10:49

サムスン電子サービス天安センターのアフターサービス技術者、チェ某(33)氏が10月31日に自ら命を絶った。全泰壹烈士に言及する最後のメッセージを残し、来月18日に満1歳の誕生日のパーティを目前にした娘を残して天国に行ったチェ氏の遺影の前で、同僚らは怒りをぶちまけた。サムスン電子サービス側は弔問にさえこず、協力社のサムスンTSP(株)社長は葬儀場にきたが弔問できずに帰った。

天安葬儀場に集まった同僚たちは、口を揃えてチェ氏の死は使用者側の労組員 に対する標的監査と「地域分割」により仕事を減らすなど、労組破壊工作の ためだと話した。サムスングループの労組破壊を疑がわせる文書「2012年 Sグループ労使戦略」は、ますます労働者の首を締めている。結局、チェ氏は ひとりで自分の車の中で練炭を吸い、自ら命を絶った。

▲11月1日午前9時40分頃、怒った労働者たちが葬儀場の前で協力社側が送った花輪を壊し火をつけた。

悪態、暴言...「サムスン電子サービスの下請け職員で悲しい」
労組組合員だけに標的監査…いらいらしながら監査結果を待っていた故人

協力社の社長は先月、チェ氏に激しい悪態と暴言などをした。金属労組が公開 した録音を見ると、協力社社長はVOC(顧客クレーム)関連処理でチェ氏に対し、 口にできないような悪口をあびせて侮辱的な待遇をした。チェ氏は関連陳述書 に「またサムスン電子サービスの下請け職員であることに悲しさを感じる」と 書いた。

チェ氏はこの事態を10月に労組に公開したが、外部には公開しなかった。同僚 によれば「それでも同じ釜の飯を食べた情を思い、マスコミには知らせないよ うにしよう」とまずチェ氏が提案した。だが彼は協力社の社長に謝罪らしい謝罪 さえ受けられなかった。

天安センター所属の労働者たちは、故人のように事業主から侮辱的かつ不当な 待遇を受けてきたという。労組結成以後、こうした待遇は減ったが、労働者に とっては澱のように残った。チェ氏も協力社社長の悪態、暴言以後、どんどん 口数も減り苦しんでいたと同僚は伝えた。

天安センターで働くチェ氏の同僚キム・ベソン(41)氏は「数年前、顧客サービ ス満足度調査で『非常に満足』ではなく『満足』でも、朝7時30分の『0730 ミー ティング』で侮辱的な言葉を朝8時まで延々と聞かされた」とし「非常に満足と 満足の間にはほとんど差がないのに、経緯書を作成して侮辱された」と回想した。

同じ場所で働くイ・ギュウォン(39)氏は「われわれは人間ではなかった」とし 「協力社社長とサムスン電子サービス管理者から侮辱的な言葉を聞くと、なぜ 犯罪者が殺人をするのか、その衝動が理解できるほどだった」と話した。

悪態の録音公開以後、チェ氏は使用者側の標的監査に苦しんだ。サムスン電子 サービスセンターは、全国的に労組組合員にのみ標的監査をしていることが明 らかになった。金属労組によれば、釜山地域の6つのセンターで監査を受けた 23人のうち1人を除くと全員労組の組合員であることが明らかになった。また、 全国的に監査を受けた95人のうち85人が組合員だ。

金属労組はこれに関連して「サムスングループの労組瓦解戦略指針に従い協力 企業等に労組の組合員と核心幹部に集中する標的監査で懲戒を威嚇させ、労組 を脱退させている」とし「人事権乱用による不当労働行為」と指摘した。

天安センターも、内勤職の技術者4人、外勤職の技術者4人の8人が標的監査を受 けた。全員が労組の組合員で、分会長と代議員などの労組幹部が主だった。 使用者側は、覚えてもいない過去3〜5年分の資料について一つ一つ問い詰めた。 標的監査の結果、その責任を労働者個人に問い、チェ氏も標的監査結果をいら いらしながら待っている状況だった。

イ・ギュウォン氏は「標的監査の結果、100万ウォンあるいは50万ウォンを弁償 しろという。記憶もなく、元請によく見られようと協力社が操作した資料もあ るのに、個人の責任にしている」とし「普通は1年に2回、3か月分の資料で 監査をする」と明らかにした。今年、技術者たちが処理したASではない以前の 業務はすでに監査が終わった懸案だった。

▲天安センターのイ・ギュウォン氏の標的監査の結果。使用者側は一次にイ氏に512、075ウォンの責任を問うた。

チェ氏の同僚の9月賃金は19万ウォン
「地域分割」にオフシーズン...労働者の賃金は半分

サムスン電子サービス支会は、労組が決定して使用者側が該当センターが担当 した仕事を本社に渡す措置、別名「地域分割」で労組を破壊したと主張した。 使用者側の「地域分割」の措置とオフシーズンの条件がからみ、労働者たちは 生計に苦しんだ。

天安センターの場合、郊外周辺を除くと市内だけで3地域に分かれるが、天安市 双竜洞とプダン洞などのアパート密集地域で仕事が多い3地域はR地域に分類さ れた。支会によれば使用者側は、サムスン電子サービス本社職員や大田、忠北 などの他地域の非組合員職員を投入して勤務させ、労組の組合員を勤務から排除 した。天安センター管理地域が本社と他の地域に渡り、天安センター管理地域が 減って、労働者の賃金は半分になった。

キム・ベソン氏は「故人も生活に苦しんでいた。会社から1千万ウォン程の前払 いを受けて返しているところだった」とし「6〜8月まで3か月間のシーズンの時 が過ぎると、外勤職は9月から全員、100万ウォンも受け取れなかった」と伝えた。

特にチェ氏の同僚のユ・ジョンウン(25)氏は、9月の賃金として19万ウォン程度 しか受け取れなかった。彼は1か月で公式に52件のコール(業務指示)を処理した が、各種の費用を引くと想像できない金額の月給だった。

ユ氏は「52件の業務処理も、製品故障修理の他に、製品説明のための顧客訪問 などを除いたことだけが業務として処理された」とし「賃金を受けとって情け なかった。自動車保険の再加入もできない状況だ」と吐露した。

それと共に彼は「生活は二の次で、働くための車両のガソリン代、携帯電話の 料金まで払えない。どうすれば働けるのか」とし「使用者側はガソリン代、食 事代、携帯電話費など、業務に必要な経費は全く支援してくれない。関連費用 は業務支援費として50〜60万ウォン程、賃金から引かれる」と明らかにした。

低い賃金は不合理な賃金体系構造によるものだと労働者たちは主張する。労働 者たちは、コール受任料を受けとるが、賃金明細書には基本給の項目が別にあ る。ユ氏の9月の賃金明細は、基本給105万7143ウォンで各種手当て追加で120万 1451ウォンの賃金が策定され、そのうち保険料と業務維持費など100万7610ウォ ンが引かれて19万3840ウォンを受け取った。

労働者たちは、基本給と各種手当て、業務支援費などがどのように策定される のかを使用者側からの説明は聞いたことがないと主張した。文書を送り、賃金 内訳書の説明を公式に要請しても、協力社側は「発行不可」の立場を明らかに した。

チェ氏の同僚、イ・ギュウォン(39歳)氏は、「サムスン電子からサムスン電子 サービス、サムスン電子サービスからまた協力社と、いくつかの段階を経て、 労働者に賃金が支払われるので使用者側が自由に賃金を示し合わせる」として 「労働者たちには賃金について説明もしていない。専門家たちもまだサムスン 電子サービスの賃金体系を明確に分析できずにいる」と説明した。

▲沈痛な雰囲気の葬儀場

付記
チョン・ジェウン記者はメディア忠清記者であり、この記事はメディア忠清にも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接作成した文に対して同時掲載を許容しています。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-02 10:56:39 / Last modified on 2013-11-02 10:56:39 Copyright: Default

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