李健煕-李鶴洙-イ・ジェヨンという星三つ

［寄稿］ここまで来れば大韓民国はファシズム国家だ

サムソンは、社会福祉重点事業として開かれた奨学金制度を作り、今までに 143億ウォンを貧しい学生たちに提供した。またサムソンは低所得層障害者のた めに人工蝸牛手術をしてやり、そのために2010年までに14億ウォンを造成する 予定だ。この他にもサムソンは社会貢献活動を行っている。多くの金を使い、 活発な活動をすることについて言い掛かりつけるつもりはない。

しかしサムソンが黄禹錫に渡した金が30億ウォン、李健煕(イゴニ)会長の息子 イ・ジェヨンCCOがエバーランド転換社債で稼いだ金が2兆2千億ウォン、李健煕 (イゴニ)会長の相場差益は2兆2百億ウォンだ。2005年、サムソンは自分たちの 悪いイメージを改善するために8千億ウォンを社会に還元すると発表した。売上 141兆、昨年輸出額700億ドル、米国市場TV販売1位など、ゴジラのようなサムソ ンの図体を考えてみよう。サムソンによる例の社会貢献活動規模は、それこそ ガムほどの値段で、見せかけである。人々は小さなことに感動するはずだ。14 億の人工蝸牛手術、143億ウォンの開かれた奨学金、いかに小さな感動の塊りか?

しかしサムソンは彼らの恥部をその小さな感動と交換する。サムソンというブ ランドイメージには、エスワン事態で象徴されるように、無労組皇帝経営が隠 されており、8千億ウォンの社会還元は李健煕父子の相場差益と交換され、サム ソンは大韓民国を代えている。われわれはこれらをハンユ(還流)システムと言 うが、代替、付け換え、隠蔽がそのシステムを作動させる原理だ。われわれは 今、このハンユシステムが生産する幻想の中で、サムソンというスペクタクル の中で暮している。外国でサムソンの看板を見て感激するのは、私たちがそう したスペクタクルに、小さな感動にだまされた結果だ。フランスのトゥボルは これらをスペクタクルによる世界のねつ造といった。われわれ式で言えば、 サムソンスペクタクルによる大韓民国のねつ造だ。

南北戦争後、米国の富と権力をひとり占めした強盗集団貴族(robber barons)の ように、サムソンは一つには鳥もちよりはるかに強力な政官界-法曹界-学界- 言論-経済界のコネクションを通じ、そしてもう一つには家閥により、社会的公 共性を踏みにじっている。先日のソン大教授事件であらわれたように、そして 時事ジャーナル職場閉鎖事件であらわれたように、サムソンは大韓民国の生活 の全てを総体的に占領している。

そのためにサムソンの子会社エスワンの労働者1700人が大量解雇されても、マ スコミはその強固なコネクションにより報道せず、一般市民がサムソンという スペクタクルの実体を知る方法がない。低所得層の子供たちのために14億ウォ ンを造成する間、サムソンは金融産業法に背いて今までエバーランド-生命-電 子-カード-エバーランドにつながる循環出資をしてきたし、李健煕父子はそれ を通じてサムソンの所有支配構造をしっかり固めた。もちろん昨年12月に国会 を通過した金融産業法自体が、外国投資家の敵対的なM&Aをさせる可能性がある など、問題がないわけではないが、今日われわれの目に見えるサムソンという スペクタクルの裏には、多くの人々の大量解雇が隠されている。エスワンの話 だけではない。1997年のIMF直後、最も早く労働者を切ったのがまさにサムソン ではなかったか? サムソンが競争力を持ったのは、まさにこのように先導的に 立ち上がって大量解雇の刃を労働者に突きつけ、そこで生れた利益を他の部分 に投資したためだ。これらを新経営技法という。

サムソンは、基本的に企業というよりは確固とした家族主義の外縁を拡張させ た家閥、あるいは財閥だ。次のようなサムソンのもうひとつのロゴは、『家族 主義』を動員して家閥に基礎をおいた財閥の姿を隠す、財閥あるいは家閥を家 族に変身させる典型的な例だ。

サムソン電子/もうひとつの家族

もうひとつの家族

サムソンより前に、大宇財閥は「大宇家族」という新聞まで作った。金宇中会 長は大宇の労働者を家族構成員に置き換えて労働者たちを家族のように『待遇』 とすると言い、結局大宇系列会社の資金を横領して監獄に行った。サムソンは 大宇より一段階上げて、労働者を家族で置き換えるどころか、攻撃的に無労組 経営を掲げて労働者そのものを無視する姿勢を見せている。そしてもう一方で サムソンは徹底したサービス精神を打ち出して、消費者を家族構成員に昇格さ せようとする。だが果たしてそうか? サムソン家族において、消費者や労働者 は非家族でしかない。

これと違ってサムソン一家の中を覗けば、財閥あるいは家閥の土台が鳥もちよ りさらに粘り強く形成されていることが分かる。一つの例をあげてみよう。

この図表であらわれたサムソン一家の姿は一部でしかない。このようなサムソ ン一家の姿は家閥に拡張される。このような家閥関係はドゥールーズの語法を 借りれば一種の『社会的な』近親相姦の構造と言える。近親相姦は映画「オー ルドボーイ」だけに現れるのではない。前述の政-官-警-検-言の人的ネットワー ク、癒着関係と、やんわりと話されるが、このような関係は家族のように近い 人々が国家権力、経済圏力などあらゆるものを支配する権力と資本の近親相姦 構造である。近親『相姦』が道徳的に否定的なイメージを含むと言うなら、こ うした『社会的』近親相姦にも腐敗のあらゆる形態がある。前にロゴから見た が、消費者を軟らかい家族のイメージを呼び起させる財閥が、実はこのように 醜悪な社会的近親相姦の構造を持っているということ、これがサムソンの初め であり終わりというべきだろう。

この前一時はサムソンマンだったキム・ヨンチョル弁護士が、サムソン財閥の 社会的近親相姦構造に破裂させ始めた。金弁護士の良心告白を受けた天主教正 義具現司祭団のある司祭から「あらゆることをして、今になって何しているの か」とひどく怒られた金弁護士が、自ら共犯であったことを告白して拘束覚悟 で良心宣言をしたのは、韓国社会の近親相姦構造がいかに鉄壁状態にあるのか をよく示す。ウリ銀行借名口座による秘密資金造成を暴露した金弁護士の内部 告発で、またサムソン財閥の社会的近親相姦構造が明らかになった。2004年に はサムソン証券社長がウリ銀行長に就任し、現在サムソン火災保険社長がウリ 銀行頭取になって、李鶴洙副会長がXファイル関連報告書を大統領府に送るなど 財閥-銀行-大統領府などの社会的近親相姦構造があらわれたのだ。

しかし重要なことは、こうした構造の暴露だけではない。家閥という家族的近 親相姦の構図、財閥-銀行-大統領府の社会的近親相姦の構造でもない。餅代検 事名簿の暴露ではなさらない。サムソン・エバーランド事件の時、裁判長に巨 額の賄賂を送れと金弁護士に勧めた事実でもない。問題は、ウリ銀行借名口座 を通して暗示されるように、サムソンが金融実名制法に違反しただけではなく、 金産分離解体を願っているということだ。すでに保険業に進出したサムソンが 銀行の所有で、金融まで完ぺきに支配することになれば、大韓民国は名実共に サムソン『共和国』になるだろう。

売上額が国家予算規模を越え、金弁護士がサムソン秘密資金の話をすると言え ば、検察と大統領府がまた失敗し、ハンギョレを除くマスコミ各社が一糸不乱 にセンカギ戦略を駆使する大韓民国は、もはや大韓民国ではない。国の主権が 国民にはなく、サムソン、それも李健煕-李鶴洙-イ・ジェヨンという星三つに 持っていかれた状況だからだ。

▲イ・ジョンウォン記者

ここまでくれば、大韓民国はファシズム国家だ。暴走族が通りをバイクで暴走 するように、星三つで組織化された集団的な暴力が既存の制度の枠組みを壊し て、分子的に暴走するのはまさにファシズムだ。国家機関を蔑視して無労組を 続け、金融実名制に違反して金産分離解体を企て、わいろを渡した事実をあら かじめ言わないというサムソンのその『光る伝統』は、三個の星ほどに組織化 され集団化された経済暴力の特別な光でしかない。星が一個どころか三個もあ るから、その星はさぞかし輝くのだろうか? キム・ヨンチョル弁護士の内部告 発により、単なる財閥改革、財閥解体を越え、資本に対する民衆統制、ファシ ズム国家に転落した国家権力に対する牽制が切実に要求されている。

いつまでサムソンはバイクで官界、言論界、金融界、政界などの間を走り回り、 わいろをばらまいて脅迫しながら暴走させるのか? サムソンの中で大韓民国の 憲法を打ちのめす李健煕語録を作り、天皇のまねをして、李鶴洙、キム・イン ジュ、イ・ジェヨンなどとともに皇室を率い、スペクタクルを動員し、国民を サムソンマンに変身させるこのでっちあげの現場は、民衆によるサムソン権力 解体運動の必要性を痛感させる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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