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ソウル市貧困層住宅賃貸事業、再入居の配慮をせず推進

「最後の住居地にむちゃくちゃな移住通知」...ソウル市、「移住期間は充分」

キム・ヨンウク記者 2013.08.02 14:02

劣悪な住居環境の改善と賃貸料を下げるためのソウル市による「低価格住宅賃貸による共同体育成事業」が貧困層住民への細心な配慮なく進められたという批判に直面している。

▲住居環境改善事業が行なわれている住宅[出処:東子洞サランバン]

東子洞サランバンは8月2日、ソウル市の低価格住宅賃貸事業を行なっている ソウル駅住居相談センターが4月から5月頃にソウル市東子洞の貧困層地域3箇所 (約32世帯)の住居環境改善事業を行うにあたり、移住費もなく一方的に一部の 住民を移住させたと主張した。

東子洞サランバンが移住させられた住民とインタビューした資料によれば、一部 の住民は住宅の建て替え前に、家主や住宅管理者などから突然通知された。住民 を賃貸料が低くより良い住居環境で暮らせるようにするという趣旨の事業が、 結果として住民をさらに劣悪な環境で追いやったということだ。

東子洞の貧困地域で10年以上居住してきた生活保護受給者のイ某氏(72歳)は、 住宅の管理者からとにかく出て行けと言われ困難を味わった。イ某氏は「突然 の引越しで金がなく、家主に引っ越しの車でも呼んでくれと言ったが断られた」 と語った。イ某氏は引越し費用として10万ウォン程を使い、当初は18万ウォン で暮らしていた月貰の代わりに保証金50万ウォンと月家賃20万ウォンの部屋に 移住した。その上、新しく引越した部屋はガス代と電気代を別に払わなければ ならず、以前より負担がより大きくなった。

狭い部屋で1年居らしていたイ某氏も、突然の引越しの通知で部屋を見つけられ ず、教会や公園で眠った。公園で眠っている時、酔っぱらいに殴られて怪我を したイ某氏は「突然の引越しでなければ、こんな怪我もしなかった」と訴えた。

▲建物内部改装の前に張られたお知らせ(写真左側)/相談所は〈ビッグタウンハウス入居のお知らせ〉を出した。入居条件は1)月貰納付能力者、2)共同体の形成に同意する者と提示した。[出処:東子洞サランバン]

東子洞サランバンのチョ・スンファ事務局長は「貧困者向けの部屋が『最後の 住居』と呼ばれる理由は、ここでも暮らせなくなると街頭に追い出されるから』 とし「貧困地域の住民たちが突然にここから追い出されれば、さらに大きな危機 を迎える」と指摘した。

しかし事業主体のソウル市側は、相談所やソウル市が一部に不十分な点はあった としても、マスコミに叩かれる程ではなかったと述べた。

ソウル市の関係者はチャムセサンとの通話で「現場調査に出て行き、驚いて 謝罪もしたし、事業を進めたソウル駅住居相談所側に『なぜこんなやり方で 進めたのか』と追及もした」とし「だが相談所側の釈明を聞くと、相談所も (さまざまな問題を解決するために)相当な努力をしていたし、東子洞サランバン側 の主張も事実関係が違う部分が多かった」と主張した。

ソウル市の関係者の話を総合すれば、相談所は2か月程の移住期間を与えており、 一部に摩擦があったが再入居などの対策も用意した。ただしすでに月貰保証金が ある家に移住した住民は、契約期間満了以後に再入居する予定だ。

ソウル市側は、8月1日に謝罪と移住補償費を要求する東子洞サランバンの請願 への回答で「低価格住宅賃貸事業の間、該当住民が追い出されたと主張してい るが、これは住居環境改善工事のために臨時の住居移転が必要だったため」 とし「移転した当事者が望めば再入居できるようにソウル駅住宅相談所が案内 する」と明らかにした。

また「この事業は貧民地域住民の住居環境改善と住居費値上げを抑制する事業 なので、今後、住民と地域自活団体の意見を積極的に取りまとめる」として 「また東子洞貧困地域内の各自活団体間での対話も円滑にできるように積極的に 支援する」と明らかにした。

こうしたソウル市の立場に対し、チョ・スンファ事務局長は「ソウル市が臨時 の住居移転の必要を認めながら、臨時住居移転の対策は全くなかった」として 「ソウル市が再入居を望む人は全員再入居させるといっているが、追い出され た人々に一度も連絡さえしなかった。再入居した住民は全員募集通知を見て 訪ねて行って申請した」と批判した。

チョ・スンファ局長は特に「住民が追い出される時も、また再入居する時も、 引越し費用の支援も全くなかった」とし「これは初めから再入居のことを全く 考えていなかったということで、ここから出ればすぐ野宿状態になる人々には、 街頭に追い出すような効果になる。事業を構想していた時から住民が本来暮ら していた所から追い出されない方式を検討すべきだったのに、そのような点は 全く念頭になかった」と強調した。

チョ局長は「すでに保証金がある他の部屋に引越した住民は、契約期間のため すぐに再入居したくてもできない」とし「突然の引越しで荷物をなくした人も 多く、知人に頼ったり車を借りたりして引越費用がかかったのに引越し費用の 補償についても全く回答がないばかりか、再入居の通知もなかった」と批判した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-08-04 07:20:50 / Last modified on 2013-08-04 07:20:50 Copyright: Default

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