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受給権者の生計費を差し押さえた汚い社会

基礎生活受給者の通帳停止は国家暴力だ!

ムン・セギョン(東子洞サランバン事務局長)/ 2010年03月16日10時43分

東子洞サランバンという非営利民間団体で働いて1年を越えた。ここで会う人々 はほとんどがドヤに住んだり野宿をする人々だ。私たちの団体では毎週土曜に 約40の食事を挙動が不自由な障害者や一人暮しの老人に配っている。

何週間か前の土曜、食事の配達のためにあたふたと出勤して、事務室に入ると、 なぜか知らないおじさんが事務室の片隅に座っている。心の余裕がなくて何の 用かは尋ねず、代表がいるから処理するだろうとだけ考えた。

食事を配り終わった後、ボランティアの学生と昼食を食べたが、そのおじさん も一緒に食べた。ご飯を全部食べて代表に話を聞いてみると、旅館で生活して 家賃を払えず追い出されられたという。そしてその方は基礎生活受給者だ。結 核を抱え、アルコール症状もあるようだった。

基礎生活受給者(日本の生活保護に相当)には政府が住居費と、いくつかの項目 を加え、1か月40万ほどの基本生活費を支給する。ところがそのおじさんはその 受給費をどこで使って1か月の家賃を払えずに追い出されたのだろうか? その理 由は他でもない、受給費が入る通帳を銀行が停止してしまったためだ。

通帳を止めた理由は、そのおじさんが銀行に300万ウォンの債務を負っている からだという。

それと共におじさんは受給費通帳を見せて「見てください、ここにこうして受 給費が入っているのに私はこれを使えません」と言う。私が確認したが、その 通帳には百万ほどの金がそのまま記されていた。驚かざるをえなかった。銀行 が無知なのか、法院が無知なのか...

国民基礎生活保障法第6章34条には「 (給付変更の禁止)受給者に対する給付は 正当な理由なくこれを不利に変更できない」。35条には「(差し押さえ禁止)受 給者に支給された需給品とこれを受ける権利は差し押さえられない」となって いるのにだ。

翌日、私はそのおじさんと一緒に法院に異議申請に行った。予想したように、 法院側の職員は不親切この上なく、決定の内容を見ると3つの金融機関をすべて 含み300万ウォンの債務があると明示されて、通帳を停止させるとなっている。

毎日毎日の生きる道がはるかに遠いおじさんも大変だが、こんな時に民間社会 福祉士の私に何ができるのか、深いため息をついて休むほかはなかった。

色々な書類を書いて法院に提出するのに手数料もかかる。送達票が5万ウォンに 印紙税が8千ウォンを越える。通帳が停止されているおじさんに払うのは難しい 金額だ。事務室の公金でそれを払い、帰ってくる足は重いだけだった。そして 急いで金を借りて押収された通帳が解けるまで過ごす部屋を探して差し上げた。

だが、部屋があれば解決する問題ではない。直ちに食べ物と薬の支払い、そし てタバコも吸うのに、そのをどう解決すべきなのか... その後、おじさんは二 日に一回事務室を訪ねてくる。ひょっとして残った食事でもあれば、コメでも あれば少しだけくれと言って....

そして通帳がいつ解けるかを尋ねる。私も苦しくて、周辺に情報を聞いてみる と、法律救済公団という所が申請すれば受給者に限って金もかけずに解ける時 間も少ないという。しまったと思った。そんな方法があるとも知らず、訳もな く法院に走って行った自分の無知が嘆かわしいだけだった。しかし、もう取り 返しがつかない状況だ。ただ待つしか...

私の仕事の処理過程を見守った代表はアルムダウン財団の公益弁護士グループ の『共感』弁護士でも尋ねろと督促をする。それは考えていなかったと思って 名刺を探し、少し面識がある弁護士に問い合わせした。しかしすでに法院に抗 告状を提出した後なので待つしかないという回答がきた。他の方法はないだろ うか? 最近は、この問題で寝られない状況だ。おじさんは一日おきに一回訪ね てきて、すぐ急ぎの金でもちょっと貸してくれないかと....そのたびに事務室 の事情が不如意で、自分のポケットから金を借したこともある。

こんな事を体験しながら、似た事例があるか資料を検索してみた。あるある、 金融債務に受給者の通帳が止められ、生きる道が苦しくなったケースは2007年 基準で14万6千人もいる。

企画予算処では代案策とやらを出したが、それが『基礎生活保障需給金専用通 帳制度』だ。この法は2008年に施行の予定となっているだけで、まだ法令に制 定されていなかった。この法が通過したのなら、こんな多くの基礎生活受給者 がもがき、生計が苦しくなることはないでしょうに...

おじさんは翌日町役場に行って借名口座の通帳をまた作ってきて、町役場にこ れを知らせただけだ。それでは今月からは止まった通帳ではなく新しく作った 通帳に給与が入金されるが、止まった通帳に入っている二か月分の受給費はい つおろせるかわからない。通常、法院で差し押さえが解除されるのにかかる時 間は1か月以上になるから。そしておじさんは今暮す部屋がとても寒くて、他の 部屋に移りたいという。残念な気持を禁じられない。

今年は基礎法が改正、施行されて10年になる。これに市民社会団体は上のよう なことが起きないように基礎法を全面改正しようという署名を集めているが、 その改正内容の一つが「受給者の通帳はいかなる理由でも差し押さえたり停止 させられない」という改正案だ。

国家は国民が基本的な生活をできるように助けることが当然で、それはどんな 理由であれ、最も優先されなければならない。それにもかかわらず、不本意に 負った債務により一人の人間が人間以下の生活を送らなければならないという ことは明白な人権侵害であり、一歩進んで国家による間接殺人といっても言い 過ぎでない。

最近、保健福祉家族部では基礎生活受給者の選定を強化するために、勤労能力 判定機準を新しく導入した。この基準も深刻な人権侵害の余地があるという人 権委の勧告にもかかわらず、福祉部の態度は変わっていない。

いくら『福祉』の開始が当初から恩恵授与や同情から出発したとはいえ、腹が へって家がないことを解決すること以上の福祉水準は、相変らず外国の話でし かないのは腹立たしい。そしてこれを越える福祉こそ社会構成員すべてに雇用・ 保育・医療・住居・雇用の不安を減らす社会的サービスに行く道だということ を国家が一番先に知らなければならないことではないか?

今日も多くの低所得層および受給者は、自分の基本権を侵害されながら、希望 を担保に出して生活しているという事実を忘れてはいけない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-04-04 09:21:55 / Last modified on 2010-04-04 09:21:57 Copyright: Default

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