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生き残るために死ぬ逆説を終わらせよ

[人権オルム]龍山撤去民殺人鎮圧事件の発生原因

ミリュ・ユソン/ 2009年01月21日20時36分

われわれは何も分からないが、全てを知っている。2009年1月20日の明け方、ソ ウル市龍山区のある建物で、炎に包まれて死んだ人々が何をしていたのか、火 がどう広がって、からだに燃え移ったのか、からだが燃え上がる苦痛と恐怖の 中で誰を思い出したのかも、まだ何も分からない。だがわれわれは知っている。 単に貧しいだけだった人々の生命が奪われた責任を李明博に問わなければなら ないということを。そして警察の殺人鎮圧と無鉄砲開発政治が、まさに私たち すべてをねらっていることを、撤去民たちは死で証言したことを。

龍山4区域の撤去民は、昨年3月頃に撤対委(撤去民対策委員会)を構成した。 2006年4月、都市環境整備事業区域に指定された『国際ビル周辺第四区域(以下、 龍山4区域)』は、住宅商店複合アパート7棟が建てられる予定で、昨年5月に管 理処分計画が認可された。

撤去を担当したヒョナン建設とホラム建設、この二つの警備会社はすでに昨年 の夏から地域に常駐して、営業妨害、暴行、セクハラなどを日常的に行った。 この時から撤去も始まった。空き家の撤去だけでなく、2階で営業されている建 物の1階を壊すこともはばからなかったという。2009年2月の着工を目標に組合 と施工者(三星物産、デリム、浦項製鉄)が無理に撤去を押し通したのだ。

撤対委を構成した後の彼らの要求は単純だ。開発の後に借りて住める所、開発 の間滞在できる所。しかし龍山区庁や組合は黙々無返答で一貫し、撤対委会員 を追い出し、開発の利益を一番多く持っていく施工者は、いつものように遠く から無策傍観していた。生存の威嚇に追いやられた龍山4区域撤対委会員は、結 局、新龍山駅に近い店舗の屋上で籠城に突入することになった。初めての籠城 は始めるとすぐ警察の鎮圧に直面し、やっと一日たった時間に完全鎮圧された。

2月の着工を目標に撤去を強行

警察の強制鎮圧で、これまでに死亡が確認された撤去民は計五人だ。当時、火 から逃れて飛び降りたり、落ちた後に病院で運ばれた撤去民も重態に陥ってお り、死者の数はもっと増えるかもしれない。撤去民への警察鎮圧の過程で五人 が同時に死亡した(警察1人を入れれば計六人の死者発生)という類例のない事件 が発生した原因を探ってみよう。

まず、警察は事故の危険を十分に知りながらも、それへの予防措置もなく無理 な鎮圧を強行した。引火物質があることを知りつつ、高水圧の放水銃を無分別 に使い、事故の可能性を上げた。現在、一部の目撃者は撤去民が投げた火炎瓶 が放水銃にあたり、火災が発生したと主張していて、また一部は特攻隊が入っ てくる過程で発生した火花が初期火災の原因だったと主張している。また真相 調査のために連行者に面会した弁護士の話によれば、ある連行者は「特攻隊が 櫓2階の天井を支えていた柱を抜いたために天井が陥没し、発電機用の石油カ ンが中心に集まった」と主張し、警察の鎮圧が事故発生の危険を高めたことが 分かる。上のような主張の事実があったかどうかはともかく、水に浮くシンナー やガソリンの性質により、引火性物質が広がる恐れがあり、急造された櫓に 放水を浴びせること自体が崩壊事故を招く恐れがあった点は明らかだ。

同時に、コンテナをクレーンで下げて、空中から特攻隊を櫓に接近させる方 式は、致命的な事故を起こす作戦だ。その上、警察は近くまで持ってきていた マットレスを全く建物の周辺に配置しないという非常識な態度を見せた。その ため火から逃げて地面に落ち、入院している撤去民は、現在生死をさまよって いる。こうした冒険主義的な警察の鎮圧方式は、以前、キリュン電子労働者の 櫓の鎮圧などでも繰り返されたが、これが今回の死亡事件の一次的原因だ。現 場を指揮したソウル地方警察庁のキム・スジョン次長とソウル地方警察庁機動 本部長は、この責任を取らなければならない。今回の事件が「過激デモの悪循 環を断ち切る契機」になることを望むという大統領府は、今、過剰鎮圧の悪循 環を断ち切らなければならないという事実をぜひ悟ることを望む。

警察特攻隊が必要な切迫した状況だった?

二つ目、警察特攻隊の無分別な投入の慣行だ。これまでに、対テロ活動への対 応の必要性を主張して作られた警察特攻隊が投入された事例を見ると、すべて デモの現場や労働組合のストライキ、撤去民鎮圧などの対市民鎮圧活動だった。 2007年のイーランド労働者のストライキ現場や、2008年キャンドルデモ現場に も投入されたが、実際の対テロ鎮圧活動はたった一件もない。警察がテロ対応 活動の必要性を主張すること自体が虚構であり、実際には市民が生存権を主張 して行う集会、デモやストライキなどを鎮圧するためだったことを如実に示し ている。警察特攻隊の対市民活動投入を全面的に禁止する必要がある。

三つ目、警察が撤去現場や労働争議現場に投入されること自体が問題だ。龍山 4区域の撤去民が籠城を始めたのは、自分たちの要求を積極的に伝え、切迫さを 訴えて、交渉を解決するためだった。この過程に警察兵力が投入される必要は 全くない。たいてい、警察は市民の安全や危険発生の憂慮などを名目に現場に 投入されるが、籠城者たちが籠城場所の外で脅迫的な行為をしたり自分たちの 安全を損なう危険な行為をすることはない。

警備会社の用役職員との摩擦や衝突を口実に仲裁者のようにして介入すること もあるが、実際には警備会社への管理監督責任は警察にあるので、警察はいく らでも兵力を直接投入せず衝突を防ぐ方法がある。むしろ撤去現場や労働争議 の現場で籠城者と用役職員の対峙は、警察のほう助と黙認で助長されている。 このような警察力投入は、政権が武力を使用して民衆の権利を踏みにじること であり、市民の生命と身体の安全を保護すべき警察の本分を忘れて、暇さえあ れば強硬鎮圧をあおるソウル地方警察庁のキム・ソッキ長官、警察庁のオ・チョ ンス長官、行政安全部のウォン・セフン長官、法務部のキム・ギョンハン長官、 李明博大統領は、今回の事件に対して責任を負わなければならない。

▲龍山区庁は撤去民の請願を強引に追い出した。[写真=バリー様]

さらに、撤去現場で衝突が発生せざるをえない現実の問題を見なければならな い。これは、李明博政権で目立つようになった開発万能主義と現在の開発政策 の問題だ。龍山4区域の撤去民が1年近く闘ってきた理由と、そのような闘争の 間、一度も交渉テーブルにつかなかった理由は何か。

まず、開発事業での借家人対策が非常に不十分だからだ。長い間の撤去民闘争 の歴史に力づけられ、借家人に賃貸住宅入居権が提供され始めたが、入居権を 受ける資格は開発区域に指定される3か月前までに転入届が出された借家人に限 られており、非現実的だ。また開発事業区域のほとんどが周辺より条件が悪く 借家人の割合が高いのに対し、開発事業での賃貸住宅建設の割合は17%を越えず 費用負担も高まる。特に今回事件が発生した龍山4区域は都市環境整備事業区域 で、高級住宅商店複合建物は建てられても賃貸住宅の建設ができないこともある。

また、都市環境整備事業は都心の商業地域を主な対象にしているが、韓国の開 発事業制度では店舗の借り手には一時的な営業補償以外は何も補償されない。 韓国は自営業者の割合が高く、開発事業の種類を問わず店を借りる人が存在す る。これは最近の撤去民の闘争でとても大きな議題になった。実際に店舗を借 りる人は公に認められない権利金の問題、得意先を形成しながら作ってきた関 係が解体される問題、地域の性格が変わるため再入居できても業種を維持する のが難しい問題など、非常に複合的な問題に直面する。つまり開発事業により、 完全に生計が剥奪されることになる。借家人対策は、開発によって失うすべて の生活の価値を補償し、開発以後の安定した住居と生計維持を保障できるよう に確立されなければならない。

借家人対策が全くない開発政策

二つ目、借家人が開発事業の進行の過程に参加する方法がないためだ。借家人 対策が不十分な理由は、韓国の開発事業制度が相変らず借家人を地域住民と認 めずにいるからだ。開発は一地域を完全に変える事業であるにもかかわらず、 実際に開発事業を進める過程では借家人は存在しない。開発事業だけでなく、 一般的な賃貸借関係でも借家人は保証金に対する債権を持つ存在でしかなく、 住居権を持つ存在とは認められない。所有主の一方的な賃上げ要求や退去要請 に借家人は対応できない。

住居権は財産権とは別に、人間という存在条件、居住の事実そのものから発生 する権利だ。各種の国際人権規約では、所有とは無関係に占有の法的安定性を 保障し、強制退去を深刻な人権侵害と規定しているのはその理由だ。したがっ て、借家人は居住する空間の条件が変わる開発事業に対し、当然参加して意見 を述べ、決定する権利を持たなければならない。開発事業は財産の管理処分事 業ではなく、地域住民の住居環境を改善し、貧困の深化を防ぐ事業として再構 成されなければならない。何よりも適当な水準の借家人対策と、借家人の参加 が保障されない状態で強制退去が行われることは直ちに中断されなければなら ない。

三つ目、韓国の開発事業制度は、土地や住宅の所有者が組合を設立して進める 合同再開発方式の性格を帯びている。制度的にはいくらでも多様な方式を選べ るが、組合再開発方式が建設資本にとって最も有利な方式だからだ。住宅と土 地の所有者で構成される組合は、施工者を選ぶ権限を持つなど開発の主導権を 持つように見えるが、実際には資金調達の過程で施工者から借入れたり施工者 の保証で金融機関から開発事業資金を確保するしかなく、構造的に施工者の影 響が大きい。組合員さえ開発事業への理解が非常に低く、開発事業の最後になっ て開発が自分に不有であることを知ることが多い。特に零細家屋の所有主や小 規模な土地所有主は、分譲価格に耐えられず、再定着をあきらめることになる。 最近、ソウル市住居環境改善政策諮問委員会が発表した資料によれば、専用面 積80平米の住宅に207万ウォンの所得のある平均世帯が、整備事業後の住宅に入 居するために要求される所得水準は、整備事業前の3倍以上だった。

建設資本は短期間に最大の利益をあげようとするため、一度に区域全体を撤去 する全面撤去方式を好む。また組合は警備用役を動員して、住民たちに暴行や 脅迫で、一日も早く撤去民が消えることだけを待つ。撤去民は生き残るために 命がけの抵抗をするほかはなくなる。結局、開発は貧しい人々の生命と人権を 担保に建設資本を肥らせる事業でしかない。このように、民間資本中心に進め られる開発事業制度の公共性を強めるために、根本的な再検討が必要だ。循環 式再開発を原則として、公共の責任で進められるべきで、すべての住民の退去 が完了するまでは用役業者との契約を禁止しなければならない。建設景気浮揚 を名目にして、空間の私有化を深める李明博政権の各種の開発政策は即刻中断 されなければならないだろう。

李明博政権は開発政策の即刻中断を

事件発生後、警察はすぐ火災の原因が撤去民の火炎瓶投擲のためと言って、未 確認の事実を流布して事件を歪曲し始めた。しかし上でみたように、事件が発 生した理由は警察が鎮圧を試みたことそのものであり、借家人の住居権が認め られないまま建設資本の手中に全てがある開発政策のためだ。

この事件は、国家と資本が民衆に加える暴力を劇的に見せたに過ぎない。すで に数えきれないほど発生してきた事件であり、こうした問題が根本的に解決で きなければ、同じ事件はいつでも発生する。これ以上死なないという決心こそ、 死をかけた闘争の理由になるこの逆説をもう終わらせなければならない。

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news/view.php?board=news&id=45181">原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2009-01-27 02:42:23 / Last modified on 2009-01-27 02:42:24 Copyright: Default

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