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最低賃金の向こう側の「生活賃金」はすでに始まった

モデル導入蘆原・城北区、来年は最低賃金より31.5%高く

カン・ヘミン記者 2013.11.14 11:15

▲生活賃金活性化および拡散戦略討論会が13日午前10時、参与連帯ヌティナム・ホールで参与連帯労働社会委員会の主催で開かれた。

先日、ソウル市蘆原区と城北区は、2014年の生活賃金を発表した。来年度生活賃金は2014年の最低賃金5210ウォンより31.5%高い6852ウォン(209時間基準、143万2000ウォン)だ。

蘆原区と城北区は、今年から公共部門労働者の低賃金解消のために、生活賃金 制度を施行してきた。生活賃金は、雇用労働部の5人以上事業体定額給与の50% にソウル市追加生計費16%の半分の8%を加えて策定された。統計庁の資料では、 ソウル市は他の地域より16%の追加生計費が必要だが、地方自治体の財政から、 さらに半分の8%を加え、今年の生活賃金は135万7000ウォン(至急6493ウォン)だった。

蘆原区はサービス公団の低賃金労働者68人を対象として、月ごとの総給与額が 生活賃金に満たない場合に差額を支給し、来年はさらに子供図書館勤務者33人 を入れる。城北区も都市管理公団、城北文化財団契約職労働者123人を対象とし て生活賃金を支給し、来年度は1億5100万ウォン程度が必要になると予想した。

これに関し「生活賃金活性化および拡散戦略討論会」が11月13日午前10時、 参与連帯のヌティナム・ホールで参与連帯労働社会委員会の主催で開かれた。

▲淑明女子大経営学科
クォン・スノォン教授

この日発表した淑明女子大経営学科のクォン・スノォン教授は「現在の 最低賃金では生活が難しい」とし「わが国の経済規模を考慮すれば、1か月に 一度は映画も見て、外食もできる文化再生産のための基礎的費用も必要だが、 それができない」と指摘した。

クォン教授は「脆弱勤労階層は、住宅もなく、生活にかかる基礎費用が固定的 に必要になる」とし「現在、ソウル市の最低所得階層所得1分位は収入より支出 の方が多く、人生を続けることは不可能だ。したがって生計可能な方式で賃金 を上げるのが生活賃金キャンペーンの目的」と明らかにした。

続いてクォン教授は、地方政府のサービスを調達する民間業者にも適用対象を 拡大した米国の事例を挙げて「地方自治体に適用範囲を広げれば、民間も含む 力強い制度として福祉を画期的に変えられる」と主張した。

米国、英国も一部の地域で生活賃金を適用

米国では、1994年12月にメリーランド州バルチモア市で最初に生活賃金条例を 制定した。この条例では、1999年までに連邦最低賃金より50%高い賃金を支給 すると明示した。

これは米国労総のバルチモア地域活動家らと地域教会、少数民族団体など地域 社会団体らが草の根運動で成し遂げた成果であった。当時この運動は米国全域 で拡大して、200ケ余りが越える連帯の会が結成されたし、その結果140ケ余り の地方自治体でも多様な形態の生活賃金条例が制定された。

生活賃金運動は、低賃金労働者たちの賃金改善にも重要な役割を果たしただけ でなく、米国の医療保険、公共サービスの拡充、労組活動および雇用安定保障 などの労働基本権に議題が拡大する契機になった。

▲韓国労総中央研究院
ファン・ソンジャ研究委員

英国でも生活賃金運動が起きた。英国のロンドン市では2001年4月にロンドン の東部で教会、学校、労組など40余りの地域の市民団体の連合体である東部 ロンドン地域共同体組織を作り、生活賃金運動を始めた。これも公共部門の 低賃金労働者の生活賃金争奪が目標であった。

2007年から生活賃金制度を施行しているロンドン市では、市長が毎年、生活賃金 を公表している。現在、英国での生活賃金は、病院を始め大学、ホテルなど他の 分野へと次第に広がっている。

また2012年のロンドン・オリンピック組織委員会は、後援業者などと契約を結 んだ千以上の企業にロンドン市の生活賃金を適用させた。オリンピックが開か れる所で生まれる雇用に対して生活賃金を支給することにより、投資の恩恵を ロンドンの勤労貧困層にも広げることが目的だった。

この日の討論会で外国生活賃金事例を発表した韓国労総中央研究院のファン・ ソンジャ研究委員は、「生活賃金は、労組と地域住民が地域の価値を作り出す 運動にならなければならない」とし「どのような価値で地域を設定していくの かを共に悩む大衆運動として展開することで、生活賃金が導入された後も安定 する」と指摘した。ファン研究員は「導入後の運営の過程の方が重要なので、 多くの人々が関心を持つことで問題を共有し解決していける」と付け加えた。

こうした労組の動きについてクォン・スノォン教授は「生活賃金キャンペーン が広がったのは、労組が媒介したため」と評価し、韓国でも労組の介入が重要 だと強調した。

生活賃金条例、現行法との衝突をどうするのか

生活賃金条例をめぐる法的な争点も議論された。法務法人チヒャンのキム・ジン 弁護士は、「一定の賃金水準を強制することを前提にすれば法制化が必要だ」と し、生活賃金条例制定による3つの法的争点を指摘した。

▲法務法人チヒャン
キム・ジン弁護士

まず地方自治法22条だ。該当法条項を見ると、地方自治体は法令範囲内で その事務に関して自治条例を制定できる。地方自治法は議決機関の地方議会と 執行機関の地方自治団体長に独自の権限を付与し、両者は互いに牽制する。 したがって、地方議会は地方自治団体長の固有の権限を侵害しない限り条例を 制定できる。つまり、核心はこれが地方自治団体長の権限を侵害するかどうかだ。

これについてキム弁護士は「条例について地方自治団体長が再議を要求しても 通過させるといえば、自治体長が大法院に提訴して最終的に決定する。光州市 条例の場合、大法院で予算についての最終決定は議会にあるので、この程度の 基準の設定はかまわないという判例がある」とし「したがって、この問題は 解決できる」と説明した。

次は地方財政法17条の「地方自治体は、個人または団体に対する寄付・補助・ 出資およびその他の公金の支出を禁じる」という内容だ。だが低出産・高齢化 の問題で、地方自治体で出産補助金を支払い、これに対して大法院により地方 自治体が幅広い権限を持ってもよいという判例が出された。

三つ目は地方契約法で、この法条項によれば最低価格落札制では最低価格のも のを落札しなければならない。ぢが生活賃金を適用した業者と適用しない業者 のうち、生活賃金を適用しない業者の方が低価格になるかもしれないという点 が憂慮される。しかしキム弁護士は「最低価格落札制は不変の基準ではなく、 さまざまな事情を考慮して基準を決められる」と明らかにした、

しかしこうした法的な衝突が先月末、生活賃金条例を市議会で通過させた富川 市で起きている。

現在、富川市条例は難関にぶつかっている。市長固有の予算編成権を侵害して 議決機関設置禁止の規定に違反し、市長の事務執行権を侵害したと判断して、 京畿道が再議要求によりこれを違法と決めたのだ。

富川市労使民政協議会のコ・ヒョンジュ事務局長は、「もし現行法内で条例の 制定が不可能ならどうするべきか。これについて積極的に法改正と内容の方向 が議論されなければならない」とし「持続可能性のために地域社会で議論され なければならない」と提案した。

この日の討論会は、約50人が参加して2時間ほど進められた。(記事提携=ビーマイナー)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-15 09:57:12 / Last modified on 2013-11-15 09:57:13 Copyright: Default

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