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移住民嫌悪症の憂慮...朝鮮族全面追放運動まで

水原性暴行殺人事件でまた高まる移住民嫌悪

ソン・ジフン記者 2012.04.12 17:30

水原性暴行殺人事件の犯人が、中国同胞、朝鮮族という事実が明らかになり、 朝鮮族に対する盲目的な嫌悪感が激しくなり、『チャオフォビア』という 新造語までできた(朝鮮族嫌悪症、朝鮮族の「朝(チャオ)」と嫌悪感/恐怖感を 示すPhobiaの合成語)。

ソーシャルメディア世論診断サイト『ソーシャルメトリックス』は、『朝鮮族』 に関するツイッターが4月6日には108件水準だったが、事件がマスコミで伝えら れて話題になった7日には、2800件ほどに急増したと明らかにした。ほとんどが 朝鮮族に対する怒りや反感を表現する否定的なツイッターだ。インターネット では、朝鮮族全面追放請願運動まで行われている。この請願運動には6000人に 近い人々が参加した。

事実、朝鮮族への嫌悪だけでなく、外国人労働者に対するゼノフォビア (Xenophobia、外国人嫌悪)は、これまでもずっと存在した。景気が悪くなり、 雇用が減ると、外国人労働者が自国民の雇用を奪うということ、外国人が凶悪 犯罪を起こすというのが主な外国人嫌悪の理由だ。移住労働者と韓国人少女の 友情を描いた映画、『パンドゥビ』も、封切り当時に外国人移住労働者に対する 反感を表現する観客の間で論議がおきた。

▲映画〈パンドゥビ〉スチールカット

しかしチョン・ヨンソプ移住労働者後援会事務局長は、ゼノフォビアに妥当な 根拠はないと主張した。〈チャムセサン〉との電話通話で彼は「移住労働者が 内国人の雇用を奪うという統計は何も発表されていないばかりか、零細製造業 や畜産業のような3D産業では内国人が働きたがらないので、移住労働者がいな ければ維持できない状況」と明らかにした。

移住労働者が凶悪犯罪の温床だという言葉にも根拠がない。チョン事務局長は 「移住労働者は、むしろ法的な問題になると被害を受ける立場であることを よく知っているので、不当な犯罪の被害者になるケースの方が多い」と主張した。 実際に、国内に居住する外国人の犯罪発生率は、内国人の犯罪発生率より低い。 警察庁と大検察庁の国政監査の結果によれば、08年現在、内国人人口と比べた 犯罪発生の割合は5.62%で、外国人の人口に対する犯罪発生の割合は1.78%だ。 そして、それさえも道路交通法違反のような軽犯罪が多く、殺人や強盗のような 凶悪犯罪は2011年全体には1000件程度だ。

チョン事務局長は、こうした根拠ないゼノフォビアが広がる理由を「移住労働 者が経済的に差別的な位置にある弱者だから」と話す。彼はそれに加え「政府 が犯罪者イメージをかぶせていることと、それに従う言論の刺激的報道も一役 買っている」と主張した。社会的問題や経済的苦痛を差別的地位の移住労働者 に押し付けているということだ。彼は「移住労働者への根拠ない非難は、ほと んどが内国人の中でも経済的弱者によるもの」という点を指摘した。自分たち の苦痛の責任を、さらに弱者に転嫁しているということだ。だから「西欧の 第一世界から来た外国人は羨望の対象にするが、経済的弱者の東南アジアや 中国から来た外国人には偏見の視線を送る」と彼は分析した。

今回の『水原性暴力殺人事件』に関し、朝鮮族に唯一激しい非難が加えられる のも、多くの朝鮮族がほとんどは経済的条件が良くない社会的弱者であるために 加えられていると彼は主張した。

移住民への嫌悪感は、今回の総選挙でもあらわれた。セヌリ党の比例代表当選者 のイ・ジャスミン当選者に対する人種差別性の非難が注がれている。人種差別、 人身攻撃性発言と家庭事情を理由に加えられる根拠のない非難は、典型的な ゼノフォビアの形態だ。イ・ジャスミン候補の公約といわれ、主な非難の対象 になった内容は、イ・ジャスミン候補とセヌリ党が発表したものではない ねつ造されたものだと発表された。

▲イ・ジャスミン当選者

チョン・ヨンソプ事務局長は「結局、分配の平等を実現するのが問題解決の鍵」 と主張する。社会的不平等、暴力を受ける側が、さらに弱者である外国人労働者 にまた暴力を続け、循環することがゼノフォビアの正体だという。彼は「外国人 労働者の差別的な地位を改善し、内国人と同等な経済的、社会的位置を持たせる ことが最も根本的な解決策」と強調する。

彼は、続いて「短期的に政府の政策が変わらなければならない」と主張した。 移住民を韓国に同化させ、出産、養育、扶養に適した移住女性だけを主な対象 とする現在の『多文化政策』は、根本的な方向が間違っているという主張だ。 チョン事務局長は「偏見と差別を防ぐ政策と制度作りが、外国人への差別と 暴力を防ぐ出発点になる」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-04-13 13:10:01 / Last modified on 2012-04-13 13:10:03 Copyright: Default

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