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移住労組合法化の判決の意味と課題

[低い声] 10年の犠牲と血と汗の成果

チョン・ヨンソプ(移住労働者運動後援会事務局長) 2015.07.01 11:12

10年目の合法化

6月25日午後2時、大法院全員合議体(主審クォン・スンイル大法官)は、 12人の多数意見と1人の少数意見で、 労働部は移住労組の設立申告を返戻してはならないと判決した。

核心の争点だった「未登録移住労働者」による労組設立について大法院は 「労働組合法上の勤労者とは、他人との使用従属関係の下で勤労を提供し、 その代価として賃金などを受けて生活する人を意味し、 特定の使用者に雇用されて現実的に就職している人だけでなく、 一時的に失業状態にある人や求職中の人を含み、 労働三権を保障する必要性がある人もこれに含まれると見なければならない。 そして出入国管理法令が外国人の雇用制限の規定をおいているのは、 就業資格がない外国人の雇用という事実的行為そのものを禁止しようとしているだけで、 さらに就業資格がない外国人が事実上提供した勤労による権利や、 すでに形成された勤労関係において勤労者としての身分による労働関係法上の諸般の権利などの法律効果まで禁止しようとするものと見るのは難しい」と明らかにした。

また「就業資格がない外国人も労働組合の結成および加入が認められる勤労者に該当すると見て、 被告(労働部)がこれと異なる前提で単に外国人労働者(勤労者)の就業資格の有無だけを確認する目的で組合員名簿の提出を要求し、 これに対して原告(移住労組)がその補完の要求を断ったという理由で設立申告書を返戻した処分は違法だ」と判断した高等法院の判決は正当だと強調した。 未登録移住労働者は就業資格がなく強制追放の対象なので、 労働組合を通じて未来の労働権を行使する主体ではないと粘り強く主張してきた労働部の論理は棄却された。

2005年4月24日に設立、5月2日の設立申告から10年と2か月が経ち、 2007年2月に労働部が大法院に上告してから8年4か月経った時点で 未登録移住労働者の労働組合結成権が認められたのだ。 10年戦ってきた移住労組、いや、2001年の平等労組移住支部の時からすれば、 ほぼ15年目の法的勝利だ。

歴史的意味;犠牲と献身、血の汗の成果

結成以来、移住労組の最優先の要求は移住労組の認定だった。 政府は「不法外国人労組」だとし、いわゆる不法滞留者の不法労組だという攻撃を絶えず行い、 これは労組の幹部に対する卑劣な「標的摘発」という野蛮な行為を正当化する論理であった。 尾行し、潜伏し、不意に襲い、暴力的に逮捕する方式で、 アヌワル初代委員長、カジマン委員長、トルノ委員長、ラジュ副委員長、ソブル副委員長、マスム事務局長など、 多くの幹部らが取り締まられ、摘発行為の法的な是非を問う前に一方的に追放された。 その前の平等労組移住支部の時と明洞聖堂座り込みの時に摘発追放されたシャマル・タパ、ビドゥなど、多くの人々もいる。 したがって、今回の判決は移住労働者らの十数年にわたる粘り強い闘争、 血と汗の結果だ。 その犠牲と献身がなかったとすれば、今日の成果はありえない。

法的意味;滞留資格に無関係の労組結成権

移住労組は発足当時、幹部らをはじめ約100人の組合員のほとんど全員が出入国管理法による滞留ビザを持たない未登録移住労働者だった。 こうした未登録移住労働者の労組結成権が法的に確認されたことは、世界的に見ても意味が大きい。 たいていは既存の労組に加入したり、独自に作ったとしても滞留ビザを持つ人たちを中心として労組を作るケースは多いが、 ほとんどが未登録労働者の労組について労組認定の可否を争ったのは初めてだと思われる。 また、就業資格の有無と労働組合法上の権利保障は別であることを明確にしたという意味がある。

限界;大法院の職務遺棄

大法院は8年経って判決を出した。 これはどんな理由でも正当化できない大法院の職務遺棄だ。 大法院の政治的状況伺いにより時間をずるずると引き延ばしている間、 政府は安心して移住労組の幹部らを弾圧し、強制追放した。 任期中、ずっと判決を差し止め続けた金滉植(キム・ファンシク)、梁彰洙(ヤン・チャンス)元大法官たちは糾弾されて当然だ。 大法院は報道資料で「これまで忠実な審理のため、 資料収集および研究調査、諸般の事情の反映などに努力を傾けた関係で、 相当な時間が必要としたことである」と、 この上なく苦しい弁解を並べたが、これをそのまま信じる人はいない。 むしろ今になって判決を出したことについて、移住労働者たちに謝罪しなければならないだろう。

また、最後に「就業資格のない外国人労働者らが組織しようとする団体が 『主に政治運動を目的にする場合』のように、 労働組合法が認めない理由がある場合には労働組合設立申告書が返還され、 そのような団体はたとえ労働組合の設立申告を終えたとしても、適法な労働組合とは認められない可能性もあることに留意する必要がある」といい、 当然、労組にすることができる政府政策への批判活動にクツワをはめるかのような文言を入れたのは余計だ。 未登録移住労働者の労組結成権の認定が核心であり、残りは労組法によって判断すれば良い問題だからだ。

効果;組織化の進展の元肥

2005年当時、労働部の設立申告返戻が源泉無効になったので、 労働部は直ちに設立畢証を発行しなければならない。 3日以内に発行しなければならないので、おそらく判決文を受け取った後、 7月の初めには発行されるものと思われる。

一方、新聞記事のコメントをよろと、 「不法滞留者を合法化するのではないか」といった調子の文が多いが、 労組が合法化されたのであって、出入国管理法上の未登録滞留者の地位に影響するものではない。 とんでもない論理で今回の判決を非難するのはやめなければならない。 もちろん、移住労働者運動陣営は、着実に未登録移住労働者の合法化を主張してきた。 移住労組も滞留資格とは無関係に、組合員加入を受け付けて活動してきた。 これからもこうした方向で活動して行くだろう。

移住労働者にとって、特に移住労組組合員たちにとって、今回の判決は非常にうれしいことだ。 多くの人々が祝いのメッセージを送っていて、組合加入の問い合わせも増加しているという。 政府が付けた不法のレッテルをはがしただけでなく、 移住労組は正しいという正当性を確認したのだから、 自負心はさらに高まっている。 少なくとも政府が「不法外国人労組」として恐怖心を助長することはできないので、 組合員の拡大における障害物が一つ取り除かれたと言える。

課題;労組活動活性化、活動家育成

移住労組の力量は大きくない。 だが労組合法化の判決後の移住労組には多くの課題がある。 組織化を拡大する一方、組合員の活動を活性化し、現実的に労組としての団体交渉などの権利を行使する準備などだ。 どれ一つとしてやさしくはない。 したがって移住労組が加入している民主労総の役割が重要だ。 移住労働者の誰もが労働組合に加入できるように、移住労組の活動を支援して力量を育てなければならない。 移住労組が新しい10年を迎え、思いきり成長できるように民主労組運動と進歩社会運動陣営が連帯しよう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-03 01:03:34 / Last modified on 2015-07-03 01:03:35 Copyright: Default

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