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「移住労働者を主体に、共にする放送する」

[インタビュー]「豪胆、堂々たる彼女」移住労働者放送局パクキョンジュ代表

朴サンヒ記者

「マスコミに登場する移住労働者の姿は歪曲されている部分が多く、登場して も同情の対象や、法律違反者として扱われることが多いでしょう。戦争が起き るとターバンを巻いてひげを蓄えた人々は無条件にテロリストだと言う... また不法滞留者という反人権的な単語をむやみに使う現実を見ると、韓国には 彼らを専門的な視点から見るメディアはまだありません。」

歴史的な記念日、5月18日に、もうひとつの民衆の声を代弁し、民衆とともに する放送局、移住労働者放送局(www.migrantsinkorea.net)が開局した。開局 から2月ほどしかたっていないが、いつのまにか移住労働者の間でさまざまな 評価があがっている。

*△移住労働者放送局パクキョンジュ代表(c)民衆の声メン・チョリョン記者*

各方面から放送局に焦点が当てられ、大きな関心をもって注目され、当初の目 標より大きな意志と自負心を感じると言い、決して単純に構成された枠組みの 中で彼らの言葉を伝える報道機関ではない彼らと「共に」という抱負を明らか にして生きている移住労働者放送局のパクキョンジュ代表(37才)に会った。

力強い笑い声は、誰もが安らぎを感じる、だから移住労働者も彼女に楽な気分 で事情を打ち明けるという朴代表の柔軟さは、同時に堂々とした妻と母の役割 を果たすしっかりものの韓国のおばさんだった。

若い時、ドイツで8年間留学という名目の下で移住生活をしながら、他の国で 暮す移住労働者の人生を切実に感じ、彼らのために生きると明言した彼女は、 今、放送局を作ったのである。

「ドイツに行くと、鉱夫と看護師として働きにくる人が本当に多かったんです。 外国に出て働いて、暮してみると、旅行する次元とはまた違うでしょう。当時 は戦犯国家だったドイツの社会は、人種差別が非常に激しかったんですよ。

人種差別まで受けながら、労働者として生活する彼らの姿を見て、私がすべき ことをじっくりと考えました。つまらないことですが、そんなことが放送局を 作らせるように影響したのではないかと思います。」

彼女はつまらないと言うが、決してつまらないとは言えない。後で彼女に人生 すべてをかけさせた放送局を開局されたのだから。朴代表が初めて関心を持っ たのは、移住労働者の文化活動の部分だった。

しかし2000年、彼女が始めた時は問題にならなかったものが徐々に普遍化し、 彼女たちよりも深層的に移住労働者を代弁し、共にできることを探した。

その間に見られたのが、マスコミに否定的に現れる移住労働者の姿だったのだ。

彼女が放送局を設立した動機は、専門的な視点で見ることができるメディアが なかったためでもあるが、それ以上に政府の見解通りのマスコミの報道姿勢が 大きな原因だったと話す。

*(c)民衆の声メン・チョリョン記者*

「どうしても、ちゃんと知らないことから生れた問題だと思われますが、ほと んどを政府に依存して記事を書いていて、その見解そのものが政府の側に近い ことが多かったです。今は移住労働者の人権をいう専門家は多くなりましたが、 そんな人々が積極的に前に出られる媒体があるといいなと思いました。」

移住労働者に主体意識を持ってもらうことが先

現在、移住労働者放送局には移住労働者をはじめ、取材カメラマン、客員記者 など、10余人の常勤・非常勤の記者がいる。まだ、誕生してからいくらも経た ない放送局だが、徐々にその構造がしっかりしつつある状況だ。

パクキョンジュ代表は「最近になって、大学生から客員記者として参加したい という問い合わせ電話がたくさんかかってくる」と、放送局への大きな関心に うれしい悲鳴をあげているそうだ。

移住労働者のための放送局だけに、移住労働者がたくさん見ると思われるが、 その部分について朴代表は懐疑的だ。放送局サイトは各国の移住労働者の言語 ではないハングルで書かれているから。

「移住労働者はハングルを知らないので、記事は見ず、よく映像を見るそうで す。それが現実なんです。人々は『移住労働者放送局なのに、なぜ彼らはあま り見ないのか』と尋ねますが、それは本当に何も知らない言葉なんです」

「われわれは移住労働者が主体になった放送局を作ろうとしています。それで、 体系的なメディア教育が必要なのです。だから合法的な労働者と共に働こうと しています。万一、(不法滞留として)放送局の活動をして捕ったら、また振り 出しに戻らなければならないでしょう。それを基本にすれば、放送の枠組みが こわれることはありません。」

つまり、単にカメラの前でマイクを持って読むような形式で、別に構成作家が いて、撮影、編集も別にいるような形態なら、きっぱりと断るということだ。

「移住労働者の人生を伝えるといいながら、彼らに言うままに読ませて何の意 味があるでしょうか。何よりも、私たちの放送は彼らが主体にならなければな りません。形だけ、単に金を取るための方式なら、始める必要もなかったでしょ う。」

*△移住労働者放送局でネパール出身のシュレス氏が「ポロデシ友人たち」の録音をしている。左側からユン・ヘスク作家、進行者シュレス、技術担当スカンク(c)移住労働者放送局*

「明らかに、移住労働者が参加することで、また、専門的に自分の分野で確か に位置づけられるようになるでしょう。肯定性、実用性すべてを備えた放送を 作るのです。明らかに、短期間にできることではありません。それだけに、こ れを金儲け事業としてばくせんと飛び込み、活動するのでは、移住労働者の現 実を歪曲するだけです。」

パクキョンジュ代表の信念は非常に確固としている。放送では、移住労働者の 問題を彼らの声でもいいし、他の人の声で伝えることもできるだろうが、最も 重要なことは、彼らが伝えるメッセージが何かということでなければならない ということ。

「移住労働者を中心とする専門記者を育てたいのです。ちゃんと勉強もしたい し... でも移住労働者は、これまでだまされてきたつらい思い出があるので、 むやみに信じようとはしません。それだけ資本が権力化してしまった韓国社会 をすでに自覚していますし、しこりが積み重っているということでしょう。」

「6〜7ケ国語の放送を夢見て」専門的見解を..韓国人、移住労働者が「共に」

初めて彼女が放送局を作ろうと提案した時、絶対にこれだけはと念を押したの は、6〜8ケ国語の放送にして、そこにおよそ3人ずつ(取材・映像・インターネッ ト管理者)構成して、韓国語サイトと連結、国際ニュースにすることだった。 必ずそうなるし、することができるという力を彼女に持たせたのは他でもない 移住労働者たちだ。

*(c)民衆の声メン・チョリョン記者*

「現在、一緒に働いている何人かの(移住労働者)友人たちに『金も出せずに申 し訳ない』と話したことがあります。でも、そのたびに彼らは金のためにして いるのではないということを、また私に印象づけてくれます。本人たちはとて も重要だと思っています。すばらしい自負心と使命感を持っています」

私たちの社会で、移住労働者問題は大きな問題になりましたが、実質的な問題 を診断する部分では体系的で正確な標本があるわけでもない。

現在の韓国社会で語られる移住労働者問題は、人権次元での原初的な接近であっ て、国民の意識を高めるだけだ。もちろんそれも重要だが、それが全てではな い。

「移住労働者の問題はとても複雑で微妙です。無条件に同情的な見解で受け入 れることもできず、誰もが一緒に暮らさなければならないということもできま せん。いずれにしても移住労働者は、新自由主義と切り離せない事案なんです。 だから無条件に何かの方法を探せばいいというものではありません。社会での 合意と世論を作る方式が、現在は必要です」

「最後に言いたい言葉は?」

「一つは確かです。私たちの放送局は、できてからいくらもたっていませんが、 大きな関心と手助けしてくれる人は少なくありません。また、移住労働者の間 でも、私たちの放送局を批判でも称賛でも、評価をしているそうです。

それだけ関心を持っているということなんです。また、彼らにとって必要だか ら、さまざまな評価も出てくるんだと思います。何よりも私たちがすべきこと は、暮していく中で彼らに起きるさまざまな問題を、必要な部分を、いかに専 門的に扱うかでしょう。その代わりに、韓国人と移住労働者が共に、決して一 人でなく「同じに」するということ。それが優先ですよ。」

2005年07月31日(c)民衆の声

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2005-08-04 09:26:28 / Last modified on 2005-09-05 05:18:40 Copyright: Default

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