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LNJ Logo 韓国:移住労組組織部長インタビュー
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News Item 20050625kmig
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「交通違反の罰金支払いが遅れると電気衝撃器(?)」

〈民声ラジオ専門サービス〉イサンフン移住労組組織部長

「今は労働者の時代」

移住労働者への差別と苛酷な行為は、コリアンドリームの恥ずかしい自画像だ。 特に、未登録移住労働者の取り締まりと追放は苛酷なまでの法外地域で行われ ているのが実情だ。

これについて6月9日、国家人権委員会は「法務部と出入国管理所の未登録移住 労働者の取り締まり追放過程で法制度的な手続の正当性が欠如していた」とし、 是正勧告した。

*△24日清州外国人保護所の前で開かれた糾弾集会(c)写真提供=移住労働者放送局*

しかし人権委の是正勧告にもかかわらず、移住労働者への拘禁と弾圧は終わら ずにいる。

現在、清州保護所にはアヌワル移住労組委員長とアルジェリアから来たアブドゥ ル・オハプ氏が拘禁されているが、アブドゥルオハプ氏は保護所で断食闘争を して、結局独房に収監された。

また、保護所の外では移住労働者の1人リレーデモ、糾弾集会などで拘禁され た労働者を救出しようという声が高まっている状態だ。

これについて移住労組のイサンフン組織部長は「民衆の声ラジオ」との電話を 通じ、「外国人保護所という所は出国手続きのためにしばらく待機する場所と しての役割をする所」と説明した後、「事実上は出入国が監獄のように利用し ているのが現実」と声を高めた。

彼は「2か月以上、人権侵害問題が起きている」とし、「アブドゥル・オハプ 氏も耐え切れずに、断食を敢行した」と付け加えた。

イサンフン組織部長は未登録移住労働者の取り締まりの過程で、出入国と保護 所による権力乱用の問題について「一々話すれば時間が足りない」と言いなが ら一つ一つ説明をした。

彼によれば、出入国管理所の取り締まりの過程で電気衝撃器を使い、移住労働 者が失神して入院したことがあった。工場の正門と裏門をふさぐウサギ狩式の 取り締まりを避けるために、ビルから飛び降りた移住労働者もいる。

イサンフン組織部長はこの他にも「こん棒を投げて足が折れ、ガス銃を撃った 事例も、何回も報告されている」と怒りを隠さなかった。

彼は最後に「今現在、移住労組の組合員は、韓国の労働者と移住労働者が共に 労働弾圧を粉砕し、非正規職問題も共に解決していこうと主張している」とし、 すべての労働者同志が連帯してくれるとうれしい」と伝えた。

以下、インタビュー全文。

キムヒョンソン:6月9日に国家人権委員会は、法務部と出入国管理所の未登録 移住労働者の取り締まり追放の過程で法制度的手続き的な正当性が欠如してい たとし、是正勧告をしたことがありましたが、相変らず変わっていないようです。

今、清州保護所にはアヌワル移住労組委員長が拘禁されていてまたアルジェリ アから来たアブドゥル・オハプ氏が保護所で断食闘争をし、独房に強制監禁さ れています。外では今移住労働者の1人リレーデモ、糾弾集会が続いています。 イサンフン移住労組組織部長さんと電話で、詳しい話を聞いてみます。

*イサンフン組織部長さん、こんにちは。*

イサンフン:はいこんにちは。

*キムヒョンソン:はい、今日ソウル出入国管理事務所の前で糾弾集会がありま したが、無事に終わりましたか?*

イサンフン:ええ、金属連盟、公共連盟などが連帯してくれて、移住労働者は 今日、清州外国人保護所の前でも糾弾集会をして、そちらのほうに多くの人が 行きました。衝突はなく、この点については社会的な関心が集まっているので、 衝突事件は起こさないようです

*キムヒョンソン:現在、アブドゥル・オハプ氏が19日から清州保護所で断食闘争を続けているそうですね? この人の連行から現在までの状況を知りたいです。*

イサンフン:はい、アブドゥルオハプ氏はアルジェリアの方で、韓国で働くた めに昨年12月に入国し、今年の4月7日、水原駅前から連行されました。連行の 後に清州保護所に移送されて、これまで70日以上、拘禁されています。本来、 外国人保護所という所は刑務所や拘置所のように犯罪者を閉じ込める所ではな く、出国手続きのためにしばらく待機する場所としての役割をするところなの ですが、事実上、出入国がむしろ監獄のように利用しているのが現実です。2 か月以上、人権侵害問題が生じていますね。早く解決しようと、我慢できずに 断食を決行されたのです。

*キムヒョンソン:アブドゥル・オハプ氏は故郷へ返すよう要求しているのですか?*

イサンフン:ええ、どうせ連行されたので、故郷に帰ろうというんです。70日 以上、無期限に閉じ込められていて、自分で出て行って、出国手続きができる ようにしてくれと要求しているんですが、出入国はそれも拒否をしている状況 です。

*キムヒョンソン:はい、ほとんど暴力的に放置しているという感じですが、移住労組のカルナ同志も仁川空港保護所に拘禁されていると聞きましたけど*

イサンフン:はい、カルナ氏は移住労組の会計監査に選出された方で、議政府 地域で働いていました。工場で取り締まりにあった後、すぐに仁川空港出入国 管理所に移送され、現在まで2週間以上、拘禁状態なんですが、この方は本来 糖尿病を病んでいたのですが、忙しくて設備が整っていないという理由で何の 措置も取られていません。中の待遇も、別の保護所と比べると、非常に劣悪で す。中で食事が出せないので、外で弁当を買うという調子で一日一日を耐えて います。

*キムヒョンソン:このお二方だけでしょうか、韓国の保護所という保護所は移住労働者であふれいるといいますが、未登録不法滞留労働者への集中的な取り締まりが行われているようです。どの程度か把握されていますか、また最近、さらに取り締まりが強化されている理由は、どのように考えますか?*

イサンフン:今のところ特に出入国管理所次元で、どの程度の人員を連行した のかの統計は出ていません。ただ、最近3か月で7000人近い移住労働者を連行 したと言うのですが、2003年に雇用許可制が国会で通過して、当時の基準で滞 留期間が最短3年以上、4年未満の人に対して選別的な合法化をしたことがあり ます。最長2005年8月までビザが延長されている状態ですが、2005年8月にはそ の人たちがまたすべて未登録状態になるでしょう。その規模は15万から16万に もなりますが、現在韓国にいる移住労働者全体で38万人と見られ、現在の未登 録移住労働者は18万人近くです。

すべてが満了する8月になると38万人のうちの約33万人ですから、ほとんどの 労働者が未登録になります。こうして見ると、政府が進めている移住労働者政 策が失敗する可能性は濃厚なので、8月まで強い取り締まりと威嚇を通して、 進んで出国させるというのが政府の立場です。それで、以前と違って非常に強 く取り締まっているのだと思います。そんな意志をまだ撤回していません。こ んな政策は、結局は失敗するというのは、火を見るより明らかでしょう。

*キムヒョンソン:本当にひどいですね。当局はとにかく取り締まって、たぶんそれで減るだろうというような立場みたいですが、ビザが満了すると自然発生的に大量に増える構造ですね。根本的な解決策を主張していらっしゃるということですが。*

イサンフン:はい、私たちは2003年から明洞聖堂で籠城闘争をしたのですが、 これまで粘り強く言っていることは、既存の産業研修生制度を廃止して、今現 在存在している雇用許可制システムそのもの不法滞留者を量産する構造を持っ ており、事業場の移動権が保障されずに、滞留の権利があっても移動するだけ ですぐ不法滞留者に転落しますから、労働部もいい手がない状況です。

私たちが主張しているのは、新しい制度が施行される時は、今ある問題に対す る解決が先になければならないということです。つまり、現在存在する未登録 移住労働者に対して、一括赦免措置を前提に、現在の雇用許可制を労働許可制 の方式に変えて事業場の移動を保障すれば、根本的な構造的矛盾がなくなると 思います。こうならなければ、彼らが韓国で望むように働ける構造になるので、 自主出国も増えるでしょう。

*キムヒョンソン:分かりました。未登録移住労働者の取り締まりの過程で出入国と保護所の権力乱用の問題が提起されています。人権侵害論議も絶えず出ていますが具体的にはどんな問題点があるのか紹介をしてくれますか?*

イサンフン:今、そのすべての事例を話すと時間が足りませんが、中でも代表 的なケースを上げると、この前、出入国管理所が取り締まりの間に電気衝撃器 を使って移住労働者が失神し、入院したことがありました。また工場の正門と 裏門をふさぎ、ウサギ狩のような取り締まりをして、移住労働者が逃げる途中、 ビルから飛び降りたこともあります。ひどいケースは、こん棒を投げて、足が 折れ、ガス銃を撃たれたケースも何回も報告されています。直接的な暴力を使 うんです。

この前、国家人権委が発表した勧告事項を見ると、今の取り締まりそのものに 法的な根拠が弱いという点が指摘されていますね。出入国管理法の下で、今の ような不意検問による取り締まりは法的根拠がありません。むしろ検事から緊 急保護の命令書を発行してもらって、違法事実の確認をして取り締まるという 例外条項でこれまで2年間に1万人以上の移住労働者を捕まえて行ったのですが、 その過程で緊急保護命令書の提示が一度もされなかったという統計が出てきま した。手続き上も法的な誤りがあるという問題提起をしています。

*キムヒョンソン:緊急保護命令書というと、本来はどんな趣旨なのですか?*

イサンフン:公権力の乱用を防ぐために作られた手続きで、韓国の刑法でも、 容疑者を逮捕する時に令状が提示されるべきではないでしょうか? これと似 た手続きの外国人保護に関する条項ということだそうです。

*キムヒョンソン:はい、手続き上的に便法として行われていて、また緊急保護命令書そのものが乱用されている問題も大きいようですね。取り締まりの過程で起きる問題もあるようですが。*

イサンフン:国家人権委でこんな話もしたんですが、不法滞留とは滞留期間が 満了したのに従わなかったということで、これがどれだけの法律違反行為かと いうということです。これは単純な行政的な違反であって、たとえば税金や交 通違反の罰金を払うのが少し遅れるといった程度の違法事項で、これほどの強 制的な取り締まりをするのはどうなのかということです。

*キムヒョンソン:はい、行政違反事項で電気衝撃器を使い、ウサギ狩り鎮圧をするのは本当にひどいと思います。公平性からも外れていますが、さらに言いたいことはありますか?*

イサンフン:国家人権委勧告事項は、出入国管理事務所の取り締まり手続きの 慣行への問題提起でもあり、法そのものの反人権的な側面を提起して、是正を 要求しています。

それでも法務部では今、既存の出入国管理法を変え、立法予告をしている状態 なのですが、今よりさらに改悪された内容の法です。

*キムヒョンソン:たとえば?*

イサンフン:保護所に拘禁されている外国人が外部に電話をしたり、手紙を出 せないようにする条項が新しくできて、各種の武器使用、つまり電気衝撃器の ような取り締まり装備の部分を明示して、もう問題提起もできないようにしよ うとするための立法化を進めています。

*キムヒョンソン:簡単に言うと、これこれの器具は使えると、合法的に明示するという話ですか?*

イサンフン:はいそうです。

*キムヒョンソン:問題山積ですね。今週の日曜、明洞聖堂で移住労働者闘争大会も予定されていますが、今後の日程を話して下さいますか?*

イサンフン:26日の午後1時に移住労組の組合員や連帯単位と一緒にアヌワル委 員長釈放と移住労組弾圧粉砕のための集中集会を開きます。その後は法務部長 官と国家人権委員会委員長との面談も決まっています。

*キムヒョンソン:分かりました。最後に、聴いている労働者の方に言いたい話 があれば。*

イサンフン:今現在、移住労組の組合員は、労働者は一つだ、そして韓国の労 働者、移住労働者、共に団結して、労働弾圧を粉砕して、非正規職問題も共に 解決していこうと認識し、強く主張しています。韓国労働者との連帯を望んで います。すべての労働者のみなさんに連帯していただければと思います。

*キムヒョンソン:はい、多くの連帯の動きがあるものと確信します。今日は、 お話をありがとうございました。*

イサンフン:はいありがとうございます。

2005年06月25日(c)民衆の声

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2005-06-25 23:53:46 / Last modified on 2005-09-05 05:18:37 Copyright: Default

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