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メディア所有集中にまっしぐら

[メディア関連法診断](1) -新聞法

ユ・ヨンジュ記者 www.yyjoo.net / 2008年12月12日12時36分

言論私有化阻止およびメディア公共性争奪社会行動(メディア行動)は12月9日、 政府とハンナラ党が推進しているメディア関連法7本を「言論掌握7大悪法」と 規定した。

メディア行動は12月3日にハンナラ党が発表した新聞法、放送法、情報通信網法、 言論仲裁法、インターネットマルチメディア放送事業法、電波法、デジタル転 換特別法の7本のメディア法案を総合的に検討し、その結果、「財閥放送、朝鮮・ 中央・東亜の放送許容」を本質とするものと整理した。対国民呼び掛けのため に圧縮した表現だ。

メディア運動陣営は、公営放送掌握阻止の戦いで一年を送った。MBCのPD手帳へ の放送通信審議委の審議、KBS社長交替と社員行動に対する懲戒、YTNク・ボノ ン社長落下傘議論.... 年末は新聞の放送・ニュース通信兼営許容と資本の放送 進出条件緩和、インターネット統制法案を防ぐのにオールインする態勢だ。

いつでも通過できる。

18代議会の構造上、ハンナラ党はいつでもメディア法案を通過させることがで きる。「悪法」なら阻止しなければならない。しかし現実的に阻止が難しけれ ば、難しい現実をそのまま表わして名分と論理的代案を作る戦略が必要だ。

放送掌握阻止行動の教訓がそうだ。2008年の一年、新しい権力の好みに合った 人的占領はほとんど終わった。次は制度的占領が残っている。もちろんYTNのよ うに、当事者が最後まで頑張ればそれだけの成果があがるのだが。

メディアの法制度が作り直される直前だ。ハンナラ党の立場では2004年新聞法 発議の時に遡れば、4年もかかった。7本のメディア関連法改正案を用意するま でには1年かかった。業務引継ぎ委員会の時に、たまに流れてきた陰謀めいた話 は、今は総合バージョンとして堂々と公開されている。一つずつ調べるが新聞 の放送兼営許容、資本の放送進出条件緩和、インターネット統制が要点だ。

押されても、説得力ある代案が必要

一度直された法制度を再修正するのは普通難しいことではないが、社会構成員 の共感を得られる、説得力ある代案を持たねばならない。放送掌握阻止の次に、 メディア関連法制度改正阻止の次に、その次を見せなければ「阻止」は道徳的 な名分に終わってしまう。

その意味で、メディア行動の活動家と研究者が時々次を準備しているという点 は、なかなか幸いだ。

ハンナラ党が明らかにした7本のメディア関連法改正案の内容を調べよう。可能 な水準で社会構成員の普遍的利害にふさわしいメディア法制度諸改正方向に対 しても扱いたい。

新聞法全部改正案、カン・スンギュ議員代表発議

新聞法全部改正案は12月3日、ハンナラ党のカン・スンギュ議員など17人の議員 が発議した。

全部改正案は、△一部条項に対する憲法裁判所の違憲および憲法不合致決定によ る関連規定の整備、△インターネットポータルなどを言論関係法の規制対象に含 める、△新聞支援機関の効率化のための統合、△新聞・放送・ニュース通信間の 兼営(交差所有)源泉禁止規定の緩和を含んでいる。

一方、インターネットニュースサービス事業者の遵守事項として、△記事配列の 基本方針と記事配列責任者公開、△独自に作成しない記事を修正する場合、記事 供給者の同意確保、△提供された記事と独自に作成した意見を混同しないように 区分して表わすという内容を含む。

この他に文化体育観光部長官がデジタル・ニュースコンテンツに関する標準を 定められるようにし、許可されている外国新聞の国内支社・支局設置を登録に 変更した。

新聞支援機関の効率化の内容では、新聞発展委員会と韓国言論財団を統合して 韓国言論振興財団を新設し、新聞流通院は韓国言論振興財団に置くことにする という内容だ。また、新聞発展基金は廃止するが言論振興基金を設置すること にした。

ハンナラ党の新聞法発議は突然出てきたわけではない。参与政府の時にハンナ ラ党は、チョン・ビョングク議員を委員長とする言論発展特別委員会を設置し、 2004年11月17日「新聞などの自由と機能保障に関する法律(新聞法)」、「言論 紛争の仲裁に関する法律(言論仲裁法)」、「国家基幹放送に関する法律(国防 法)」等に関する法案を国会に提出している。李明博大統領の当選と18代国会で ハンナラ党が多数を確保したことで、4年前に廃棄されたメディア関係法の内容 が「7大悪法」として具体化したわけだ。

新聞法改正、新聞の放送・ニュース通信兼営禁止の廃止が核心

ハンナラ党の新聞法全部改正案の核心は、新聞の放送・ニュース通信兼営禁止 の廃止にある。具体的には、△日刊新聞とニュース通信の相互兼営禁止の廃止、 △日刊新聞・ニュース通信または放送事業を営む法人が同一業種の株式および持 分取得禁止の廃止、△大企業は一般日刊新聞に限り、持分の2分の1を超えて取 得または所有できないように従来と同等に維持する。

「日刊新聞とニュース通信は相互に兼営できず、総合編成または報道専門編成 放送事業を兼営できない」という現行の条項を削除する内容だ。

これは、ナ・ギョンウォン議員が代表発議した放送法一部改正案と絡む。ナ・ ギョンウォン議員は、放送法の「地上波放送事業および総合編成または報道に 関する専門編成を行う放送チャンネル使用事業を兼営したり、その株式または 持分を所有できない」という現行の条項について「大企業または新聞やニュー ス通信を営む者は、地上波放送事業者の株式または持分総数の100分の20を超過 して所有できないようにし、総合編成または報道に関する専門編成をする放送 チャンネル使用事業者の株式または持分総数の100分の49を超過して所有できな いようにする」という改正案を発議した。

新聞法は、2005年1月1日に与野の合意で制定されたが、参与政府当時、いわゆ る4大改革立法の一つとして与野の綱引きの中でようやく誕生した。

政治的議論が絶えなかった。新聞産業は公的部門なのか私的部門なのか。世論 の多様性を保障するために、国家が介入するのは妥当なのか。新聞の社会的な 責任は何か。新聞産業の危機を打開する新聞法の改正方向はどうあるべきか。

議論の過程で憲法裁判所は2006年6月29日「新聞法違憲審判請求」の決定で新聞 法制定の趣旨を合憲と認めた。憲法裁判所は、憲法第21条3項(通信.放送の施設 基準と新聞の機能を保証するために必要な事項は法律に定める)を上げ、世論の 多様性保障を国家規律の根拠とした。このように、憲法裁判所の「世論の多様 性のための国家の介入」と「新聞の社会的責任」に対する包括的な認定は新聞 産業の振興と規制を定着させる契機になった。

公共メディア研究所のチョ・ジュンサン副所長は「新聞法を改正する場合、 2006年6月29日の憲法裁判所の決定を合理的に受け止め、韓国社会で新聞産業が 持つ固有の特徴を合理的に解決する形でなければならない」と主張した。

チョ・ジュンサン副所長は、新聞を「個人の専有物ではない利害関係がからむ 社会的組織体」と定義して「1人所有持分上限30%(特殊関係者含む)の規定と、 これを超える株式や持分には議決権の制限のような措置が必要だ」と強調した。 新聞が産業としての性格を持つものの、世論を扱う公的機能を果たすという点 で、「社会的組織体」とみるべきだという主張だ。新聞産業の振興に国家が介 入し、支援するのだから、公的義務に関する規制が伴うのは当然の道理だ。

そうした点で、新聞の自由放任的な性格を強化する放送・ニュース通信兼営禁 止の緩和は危険を伴う。メディア団体は、新聞の放送・ニュース通信兼営禁止 の緩和がメディア公共性を萎縮させると見て、李明博大統領業務引継ぎ委員会 がメディア政策方向で拠論した時点から鋭意注視してきた。

批判の要旨は、資本と朝鮮・中央・東亜の放送所有は、商業放送の性格を促進 して放送の公共的性格を縮小し、放送間の競争体制を強化して放送の市場化を 拡大することで放送を利益の道具に転落させるということだ。民営放送所有の 財源は、現実的には巨大資本から出ることになり、朝鮮・中央・東亜が7-80%を 掌握する新聞市場の現実を考慮すると、資本と朝鮮・中央・東亜が放送も所有 することになり、公器であるメディアが正常に作動するのかが心配される。

新聞委員会の設置による公的支援と規制の強化

新聞への国家の支援は一種の公的基金だが、チョ・ジュンサン副所長はこれを 「公的性格が強い特殊な私的部門に支援するが、干渉しない」と定義する。

ハンナラ党の新聞・放送・ニュース通信兼営許容は、新聞産業への国家の支援 と規制の要素を緩和し、市場の私的機能と利益の側面を強化する。したがって 論理的に考えれば、兼営が認められた時点で国家の支援は「私的性格が強い私 的部門への支援」の様相を帯びることになる。公的基金の私的支援という性格 が強化されるほど「公的であること」への問いは大きくならざるをえないだろう。

新聞法制定の前にも新聞産業に幅広い国家の間接支援がなされた。付加価値税 と特別消費税免除などの税制支援と、準租税として債権買入免除、郵便と鉄道 運送料金割引、ジャーナリスト税制支援と教育、賃貸料と事業費補助金などだ。

新聞発展基金は、新聞法が制定された後、新聞産業の振興による世論の多様性 を確保するために設置された。事業分野は独自の権益保証事業、経営合理化の 支援、言論公益事業、融資事業などで、優先支援対象を選んで選別支援する形 だ。インターネット言論への支援は新聞発展基金が設置された後に初めて実現 したが、全基金に占める支援の規模は非常に不備な水準だと指摘されている。

だから一度ぐらい、新聞に対するこれまでの国家の支援がメディアの公共性に いかに大きな寄与をしたかを評価することが必要だ。国家の直間接的な支援を 受けてきた新聞が、社会構成員のメディア・コミュニケーションの権利の伸長 にどれほど寄与したのか、新聞産業の振興がつまり社会構成員のメディア参加 の権利をどれほど保障したのかを振り返ることだ。

チョ・ジュンサン副所長は新聞委員会の設置を主張した。独立合議制の行政機 構として、新聞法の改正で関連の条文を作り、「新聞委員会設置および運営に 関する法律」を別途制定することができるという意見だ。

チョ・ジュンサン副所長は「新聞産業全般の衰退の中でも慢性的な新聞産業の 透明性は高まらない」とし、新聞産業の不透明性を解消し、支援する方案で、 全国総合日刊紙の新聞製造原価と購読料の差額直接支援、新聞購読者の購読料 税額控除などの間接支援制度を提示した。新聞委員会を通して新聞産業の危機 の実体を透明に確認し、皆が自身の恥部を表面化する一種の大妥協を経なけれ ば、新聞産業の振興はできないという主張だ。

チョ・ジュンサン副所長は「新聞委員会の設立は、新聞産業の衰退を解決する 方法を新聞産業の内部で探すことでなければならず、政治的妥協がなければ不 可能」と断言した。新聞委員会設置により、新聞産業の透明性を確認し、世論 の多様性を保証するため、選別保障とは異なる次元で新聞産業を救わなければ ならないという趣旨だ。

問いはもっと巨視的で根本的である必要があるが、変化するメディア融合環境、 新聞・放送、ニュース通信などのメディアに対する国家の支援と規制がどのよ うな哲学的原則を通して行われなければならないかだ。

メディアへの国家の支援は、国家の発展のためではなく、メディアの発展のた めでなければならず、メディアの発展はメディア産業の発展の前に社会構成員 のメディアの権利を伸長させることを優先するべきではないだろうか。その点 で、支援法としての新聞法、4年の功過を明確にする一方、社会構成員のコミュ ニケーションの権利の観点から進化を模索することが必要だ。新聞産業の主体 が専有してきた「公的基金」の運営原理と恩恵を、メディア参加主体に回すこ とでもある。

現実は資本の所有集中を強化する方向に駆け上がっているだけだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-12-14 16:09:16 / Last modified on 2008-12-14 16:09:16 Copyright: Default

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