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韓国:『経済を救う』は『非正規職を救う』ではない | ||||||
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「『経済を救う』は『非正規職を救う』ではない」[寄稿] 35日間高空籠城を続けるパク・ヒョンサンGM大宇非正規職支会組合員
パク・ヒョンサン(GM大宇非正規職支会)/ 2008年01月30日16時04分
GM大宇による非正規職労組への暴力的な弾圧を糾弾し、労組加入を理由に不当 解雇された組合員の全員復職を要求して、交通CCTV塔で高空籠城を始めてから 30日が過ぎた。 非正規職労働者が真冬の30メートル上空で凍えて死のうがどうしようが、李明 博大統領当選者と業務引継ぎ委員会は経済成長によって非正規職問題も解決す るという主張を繰り返すだけだ。『経済を救う』ことが最優先課題だとし、今 年の経済成長率6%を目標に提示した。だが、本当に韓国経済が困難な状況で、 経済成長さえすれば非正規職問題も解決するのか。残念だが違うようだ。 韓国経済は、数年間4%台後半の成長率を記録している。2007年度だけでも韓国 経済は4.9%の成長率を記録し、これは1.2%を記録した米国の4倍になる。あえて 米国と比較しなくても、4%台後半の経済成長は経済学的に韓国経済が安定した 成長をしていることを示すという。だが人々はみな経済が苦しいという。経済 が6、7%ではなく4、5%しか成長できないからか。違う。安定的な成長にもかか わらず、多くの労働者庶民が経済が悪いと思う理由はまさに『社会二極化』に ある。 IMF以後、サムスンのような大企業は、1998年を除き毎年史上最大の収益を更新 している。だが、こうした大企業の目覚ましい成長の恩恵は、『サムスン特検』 で見られるように、財閥の秘密金庫を満たしたり、秘密金庫を維持する餅代に 使われただけのようだ。その間、ほとんどの労働者は成長の恩恵を享受できな いまま、むしろ『88万ウォン世代』になった(世界一流企業といわれるGM大宇自 動車で働く非正規職労働者の基本給も88万ウォン前後だ。夜昼二交代勤務で毎 日2時間残業、土日の特別勤務でやっと生きられる程度に暮せる)。『利川火災 事故』は、生きるために命がけで働くほかはない『88 万ウォン世代』の惨憺 たる現実を示す事件といえる。 結局、『サムスン特検』と『利川火災事故』は、韓国社会の二極化を劇的に見 せる事件だ。「経済が苦しい」という言葉は社会二極化の不正確な表現でしか ない。成長が問題なのではなく、成長の成果を分配する社会的構造が深刻な問 題だ。いくら7%、10%経済成長しても、こうした構造的な問題が解決されなけ れば、決して『経済』は良くならない。 経済的二極化は法の領域でも、その二極化が深刻にあらわれている。サムスン の脱税、便法、不法に対する検察、法院、国税庁などの保護があったことは天 下に知られている。サムスンだけだろうか! 現代の鄭夢九会長とハンファのキ ム・スンヨン会長への甘い処罰は、程度の差はあれ法的保護がサムスンだけの 特権ではないことを十分に予想させる(仁川地域ではGM大宇がその面目を遺憾な く示している)。 これと比べて、非正規職労働者たちは法的保護の死角地帯に置かれている。最 低賃金法、4大社会保険法などが適用されない非正規職労働者は多い。特に憲法 で保障された労働三権と労働組合活動は、非正規職労働者にとって解雇の同義 語だ。『労働組合認定』がほとんどの非正規職労組の要求事項だという点は、 これをよく示す。正常な労組活動が保障されないので、非正規職労働者は高空 籠城のような非正常な活動に追いやられるのだ。法と原則により処罰するとい う李明博当選者の言葉が、労働者だけに向けられているのは、それこそこうし た現実に対する無知に始まったと見なければならない。 非正規職問題の解決には社会的次元の解決策も重要だが、それ以前にすでに法 で規定された非正規職労働者の労働三権と労働組合活動がまず保障されなけれ ばならない。労組を設立して活動することは憲法でも保障された基本権である だけでなく、賃金と労働条件を改善するための自助努力だからだ。非正規職問 題が社会的な問題で、個別企業の責任がないわけではない。 特に大企業元請社は、その責任が重い。それにもかかわらず、下請け業者の問 題だと責任を回避するのは、大企業の社会的責務における誤りだ。下請け企業 が元請の指示なく、生産と労務管理をするのは事実上不可能だというのは常識 で、元請使用者性を認める判決が続々と出ているが、自分たちとは無関係だと 言い逃れるのは大企業の態度ではないのではないか! 国税庁と検察に捧げる餅代と労組の弾圧に使われる費用が非正規職労働者の賃 金と労働条件の改善に使われたら、『88万ウォン世代』という言葉は消えてあ まりあるだろう(GM大宇は高空籠城直後、施設保護を理由に約150人の用役チン ピラを工場の中に常駐させているが、毎日約1500万ウォンの費用がかかること が確認されている)。世界的企業という看板にふわさしく、GM大宇も非正規職労 働者問題を解決するために責任ある姿勢を持たなければならない。 高空籠城20日目の1月15日、小学校の同窓のある友人から電話がかかってきた。 韓国で大学を卒業した後、米国のニューヨークとLAで10年間ホテルの支配人と して働いている友人との電話通話の内容の中で2つのことが記憶に残っている。 一つは韓国に戻りたくても経歴認定どころか6か月の非正規職で就職しなければ ならないので意欲が出ないという哀訴、もう一つは高空籠城中だという私の近 況を聞いて「まだ韓国はそうなのか」という嘆きの口調だった。あるいは韓国 社会の深刻な非正規職問題は、10年間韓国社会の外で暮してきたその友人に、 韓国籍を放棄しろと強要しているのではないだろうか? 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2008-02-02 04:17:42 / Last modified on 2008-02-02 04:17:43 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ | ||||||