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すべての社内下請を正規職化する時

[間接雇用終わらせよう](1) 「すべての社内下請の正規職化」の意味

キム・ヘジン(全国不安定労働撤廃連帯) 2012.05.15 15:00

25日のストライキは今、闘争が必要であることを見せた

社内下請労働者は果たして今のくびきを投げ捨てて正規職になれるのだろうか? インサイトコリアで3年間の闘争の末に、大法院でから正規職に転換せよという 判決を受けて正規職になった時、そして錦湖タイヤで不法派遣の判定を受けた 労働者が正規職に転換された時、多くの非正規職は不法派遣を認められ法的に 勝てば、正規職に転換される可能性があるという期待を持った。そうして、 2005年に自動車社内下請労働者が不法派遣陳情をして闘争を始めた。しかし、 起亜自動車は華城工場で42人しか不法派遣を認められず、現代自動車は大多数 の労働者が不法派遣を認められたが、正規職化につながらなかった。むしろ、 闘争した多くの人々は解雇され、その後、長い法定闘争に突入している。

そして2010年7月22日、現代車社内下請労働者チェ・ビョンスン氏が、法院から 不法派遣で2年以上働いたので派遣法により、正規職と見なされるという判決を 受けた。ところがすでに経験したように、いくら法的に有利な位置にあっても それがすぐ正規職転換を意味しないことを社内下請労働者は知っていた。それ で現代自動車社内下請労働者はその年の冬に闘争を始めた。ところがその闘争 の重要性は、『闘争で法的な有利なことを現実化する』ではない。その時に25 日間工場を占拠した彼らが叫んだのは『すべての社内下請の正規職化』だった。 社内下請労働者すべてが不法派遣で被害にあったことので、不法派遣を認めら れて2年以上働いた労働者だけでなく、社内下請労働者全員が正規職に転換する のが妥当だということだった。

ある人は、その要求と闘争を心配した。法的に勝つ可能性が高く、そうなると 現代自動車がやむを得ず正規職に転換させるだろうが、なぜあえて占拠闘争を するのかということだ。この立場は2つの前提がある。一つは法的に認められな い労働者の問題を今解決できないということ、そして闘争すること自体が現代 自動車を刺激し、問題解決を難しくするという点だ。つまりうまく法的に解決 し、交渉で問題を解けという注文だった。

結局、25日ストライキは整理され、交渉の成果も残らなかった。だがこれは逆 に、闘争が不必要だということを示すものではなく、むしろ今こそ闘争が必要 だということを示したのだ。現代自動車使用者側は、労働者が大法院で勝って も、簡単には正規職雇用を渡すつもりがないということを赤裸々に見せた。 現代自動車は『この判決はチェ・ビョンスン個人の判決』と主張し、中央労働 委員会でのチェ・ビョンスン同志に対する不当解雇判定にもかかわらず、また 行政訴訟をするという。決して労働者の要求を簡単に聞き入れはしないという 意図だ。そのために法院の判決を現実にする闘争をしなければならないことを 見せる。

現代自動車非正規3支会と現代自動車支部では、社内下請労働者に関する特別 交渉要求を確定した。その要求は6項目で、現代自動車で働くすべての社内下請 の正規職化、社内下請労働者の手配と告訴告発、懲戒と解雇などを撤回して、 名誉回復と原状回復、会社側の不法行為と労働弾圧に対する公開謝罪、これ以上 非正規職を使用しないことを労組と合意、非正規職労働者を対象とする構造調整 の即刻中断、非正規職労組の活動保障だ。これらの要求は、今までの憂慮や批判 を越えて、相変らず『すべての社内下請労働者の正規職化』が重要だという 現代自動車非正規職労働者の意志を示すものだ。

『すべての社内下請の正規職化』の要求は大法院判決の限界を越える

すべての社内下請の正規職化の要求は、今回の大法院判決の限界を越えるとい う意志だといえる。インサイトコリアの労働者が大法院勝訴判決を受けた時、 その判決は『暗黙的勤労契約関係』を認めるものだった。言い換えればインサ イトコリアという会社は、実体がない会社なので、事実上、SK(株)が労働者を 雇用したと見るべきだということだ。そのため、2年以上働いたのかどうかとは 無関係に、つまり派遣法の条項とは無関係に、労働者はすべて正規職と見なさ れた。もちろん、インサイトコリアの労働者が正規職に転換したのは、判決に 安住せず、闘争で正規職労組を民主化し、正規職労働者と共に『解雇者復職 闘争委員会』を構成して共に戦ったからだ。そしてその時の判決は、明らかに 2年という条件なく正規職と見なせということだった。

だが今回の大法院の判決は、論理的にも矛盾している。現代自動車が不法派遣 を行ったということは、派遣をしてはならない製造業で現代自動車が直接管理 監督をして、労働者を派遣の形式で働かせたということだ。だが法院はこうし た状況に『派遣法条項』を適用し、2年以上働いたので正規職と見なすとした。 不法派遣は派遣法の適用を受けてはいけない。発注元の現代自動車が労働者を 雇用したと見なす暗黙的勤労契約関係を認めなければならない。だから2年が 1日になっても、現代自動車の社内下請として働いた労働者は正規職に転換しな ければならない。だが大法院は不法派遣に合法派遣の条項を適用した。結局、 不法派遣も合法派遣と同じ効力を持たせてしまったわけだ。

派遣法がこのように不法派遣を黙認する効果を持つだろうということは、すで に予想されていた。いかなる場合も間接雇用、中間搾取は認めてはならない。 中間搾取を禁じる職業安定法に例外条項を作り、合法派遣を可能にしたものが 『派遣法』だ。だがこの派遣法で不法派遣全般を規制しているので、結局派遣 法は合法であれ不法であれ、すべての間接雇用を正当化させる。その結果社内 下請で2年以上働かなかった労働者はたとえその不法派遣の被害者でも全く救済 されない。

現代自動車の社内下請労働者は、このようなおかしな大法院の判決に正面から 抵抗している。社内下請企業は名ばかり社長に過ぎないのなら、その中間搾取 構造をなくしても、社内下請労働者を現代自動車が直接雇用すべきだというこ と、その当然の権利を要求しているのだ。私たちが大法院判決の限界を黙って 受け入れれば、中間搾取は認めてはならないという当然の原則が壊され、不法 派遣をしても2年以下なら良いというおかしな論理が形成される。結局労働者が 2年になる前に解雇すれば、社内下請という中間搾取構造が合法化されるのだ。

私たちが派遣法を撤廃しろと言って戦った理由は、用役という名で社内下請と いう名で、請負という名で多様に行われる中間搾取の構造を断ち切るためだ。 それによる低賃金と雇用不安、元請の使用者責任を認めないことによる労働権 剥奪という現実を越え、間接雇用労働者全体の権利を今回の現代自動車非正規職 労働者の要求は、まさにその点を明らかに見せている。

非正規職内部の分割と階層を越える意志

『すべての社内下請の正規職化』という要求は、正規職と非正規職の団結を叫 んだその気持ちで、1次下請と2次、3次下請の差と階層を越えるという意志だ。 現代自動車は、正規職労働者を大規模に新規採用せず、安定した労働力を維持 するために、1次下請労働者の労働条件と雇用をある程度保障してきた。もちろ ん、それは社内下請労働者の苦しい闘争の結果でもある。しかしその代わりに 2次下請労働者、3次下請労働者、そして臨時下請けまで、無数の下請労働者の 階層が生じていた。

社内下請労働者はそれらの労働者をすべて抱いて共にするために努力してきた が、現代自動車資本は徹底して1次下請を中心として賃金と労働条件を改善し、 他の下請との差を広げてきた。発注元との交渉どころか業者廃業という弾圧に 対抗するのも苦しい社内下請労働者は、つらい闘争を経て、かろうじて名ばか り社長の下請業者と交渉ができた。だが2次や3次下請企業ではさらに、そんな 闘争も容易ではなかった。それですべての社内下請労働者と共にする闘争は、 うまく進まなかった。人員も把握できない臨時下請けの組織と闘争は、思いも よらなかった。

だが現実的な限界を理由にこうした階層を少しずつ受け入れ始め、大工場社内 下請運動は、階級的団結の可能性と運動的視野の拡張へと少しずつ後退し始め た。1次下請を中心にして、ある程度賃金と労働条件、そして雇用の安定を保証 されることに安住し、全社内下請労働者の課題を自分の課題と受けとめること、 そして窮極的には元請に使用者責任を問い、正規職化の可能性を作ること、 そして工場の塀を越え、全間接雇用労働者の問題を共に抱きしめて行くのは容易 ではなかった。そのために正規職と非正規職の共同闘争と階級的団結を旗じるし としてきた大工場社内下請運動は、前に進めないのだ。

現代自動車社内下請労働者は今、『すべての社内下請の正規職化』要求を提出 する。しぶとい弾圧に耐え『現実性』の枠組みに安住するようになった自身の 運動を振り返り、法的に認められる社内下請と、そうではない労働者の間の 階層をもう認めないという決心である。

ところが『すべての社内下請の正規職化』が現実的に可能なのか、現代自動車 という巨大資本と戦って、果たしてこの要求を貫徹することができるのか、多 くの人々が疑問を持つ。もし民主労組運動すべてが団結して最善を尽くして戦 えばわからないが、今の現代自動車非正規職3支会だけの力ではこの要求を完全 に貫徹できると見るには難しいだろう。だが『すべての社内下請の正規職化』 という要求が重要な理由は、社内下請労働者が本当に苦しくてすべての要求を 完全に貫徹できない時、どんな態度を取るべきかを示すものだからだ。

この要求の精神は、そんな苦しい瞬間が来た時、法的に正規職になれきる労働 者の要求を完全に貫徹できなくても、最もつらく悪い条件にある労働者の要求 をまず考慮するという意志の表現だ。それがこの要求に反映されている精神だ。 1次下請労働者が、不法派遣を認められた労働者が、そうした決意を持ってこの 戦いに臨めば、他の社内下請労働者も信頼して共に闘えるだろうし、それがた とえ今回すべての要求を貫徹できなくても、その後、全社内下請労働者の闘争 を進める最大の力として、資産になるだろう。私たちの運動はそうした階級的 団結を蓄積することによって発展してきたのだ。

工場の塀を越えて全労働者の権利のための闘争に

25日間工場を占拠し、現代自動車の社内下請労働者は現実の限界を越えようと した。だが正規職という厚い壁は越えられず、不法派遣をしながら巨大な資本 を蓄積する現代自動車使用者に対する社会的な公憤は作れなかった。そして、 この闘争が現代自動車社内下請を越え、全間接雇用労働者の意志と怒りを集め る闘争に発展させることができなかった。今新しく準備する闘争は、その限界 を越えなければならない。

もう正規職の壁を越えなければならない。だがこれが連帯しなくなければなら ないという意でない。正規職と非正規職の連帯は相変らず重要だ。ところが共 に闘争するということは一方に支えないでお互いが独立的に立っている時、可 能になることだ。非正規職労働者たちが正規職ときちんと連帯闘争をしようと 思ったらまず2次下請と3次下請労働者たちを積極的に組織しなければならない。 今こそ社内下請すべての要求で闘う意志を示し、全社内下請労働者が力を合わ せようと訴えなければならない。その力が組織され、自ら闘う力が形成される 時、正規職に依存せず、正規職と同じように闘い、互いの闘争に力を補えるよ うになる。

またこの闘争は、社会的に広がらなければならない。現代自動車が犯した行為 は明らかな犯罪行為だ。一個人がしたことではなく、現代自動車という空間で 働く数千の社内下請労働者を不法に搾取し、労働権を奪う行為だ。こんな犯罪 行為が経営権という名で合理化されている。現代自動車の鄭夢九はこんな犯罪 行為をしても罰せられない。企業を処罰しない社会的雰囲気が次第にこうした あくどい犯罪行為を作り、その犯罪行為は結局サムスンで見られるように多く の人々の命を奪ったりもする。

これ以上、企業の経営を理由とする不法行為と労働権の侵害を容認してはいけ ないということを社会的に知らせなければならない。労働者の権利を認めない 会社は、結局彼らの利益のために社会の公共性を破壊し、他人の人生を破壊す ることを知らせなければならない。

そしてこの闘争は工場の塀を越え、全ての間接雇用労働者の要求と闘争に発展 しなければならない。派遣の名で間接雇用を認め、はなはだしくは派遣できな い業種にも派遣法により免罪符をあたえるような行為を、もうこれ以上させて はならない。労働者をこき使い、巨大な富を積み上げ、使用者としての責任は 負わないこの奸悪な制度をもう容認してはいけない。人間は商品になってはな らず、誰も他人の労働に割り込んで中間搾取をしてもいけない。こんな当然の 話一つをするために、とても多くの間接雇用労働者が辛い闘争を続けてきた。

現代自動車の不法派遣判定を契機に始まったこの闘争が、間接雇用をなくし、 元請が本当の使用者だということを明らかにして責任を取らせるような闘争に 発展するように、皆が力をつくそう。その道に現代自動車社内下請労働者の 勝利も可能で、『すべての社内下請の正規職化』という要求の意味が本当に 生き返るだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-05-16 01:37:43 / Last modified on 2012-05-16 01:38:05 Copyright: Default

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