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朴元淳市長は「無期契約職の陥穽」を越えられるか?

非正規労働センター月例フォーラム、『ソウル市非正規対策』方案を議論

ユン・ジヨン記者 2011.12.13 13:55

就任前から『ソウル市と所属機関、投資機関、支援機関などで常時業務を継続 して遂行する非正規職の正規職化』を公約にした朴元淳(パク・ウォンスン) ソウル市長の動きは、労働界をはじめとする社会的な耳目を集中させた。

非正規職問題が全社会的な問題になっている状況で、ソウル市が非正規職の正 規職化をすれば、公共部門に蔓延した非正規職問題をはじめ、社会的な弊害と して腐った非正規職問題の端緒を提供できるためだ。

だがこのような関心と期待以上に、パク市長が非正規職法を越える正規職化の 解決法を実現できるかという憂慮もある。歴代政府の公共部門の非正規対策の 流れと、地方自治体の非正規職正規職化政策を参考にすると、二極化と差別を 解消する事実上の非正規職対策は存在しなかったためだ。

パク市長は、非正規職の正規職化政策について、来年に実態調査を行い、具体的 な解決法を用意する立場だ。まだ正規職化の詳細な政策方向や懸案解決計画などは 明確に作られないわけだ。

そのため労働界では、これまで中央政府と地方自治体が施行してきた公共部門 の非正規職対策を越える実質的な非正規職問題の解決をパク市長に要求している。 これに伴い、韓国非正規労働センターは12月12日の午後、民主労総で月例労働 フォーラムを開き、ソウル市の非正規職対策に関するさまざまな議論を続けた。

歴代政府の公共部門非正規職政策、『進展』はなく『退歩』だけ

公共部門の業務と機能の民営化を進めた金泳三政権以後、金大中政権はIMF救済 金融による公共部門の構造調整で、正規職の削減と非正規職への代替、新規の 事業への非正規職と外部人材活用の増加といった政策を拡散した。これは金大中、 盧武鉉、李明博政権につながり、公共部門の非正規職急増に帰結した。

そのため政府は2003年と2006年の二回にわたり、公共部門の非正規職に対する 全数調査を実施した。このような実態調査に基づいて、参加政府は2006年8月、 公共非正規総合対策を発表した。だが、政府の公共部門非正規職対策は事実上、 多くの限界を含み、当時から批判の対象になっていた。まず政府が全数調査と 深層調査を実施する過程で、調査対象から除外したり規模を縮小するなどで、 非正規職の規模を縮小したことが発端になった。

また、常時業務労働者の無期契約職化も多くの問題を内包していた。発表を行っ たキム・ソンヒ高麗大教授は、「政府の対策では常時業務を事前に決めず事後 に判断することになっていて、同じ業務でも勤務期間を基準に常時業務と判断 されるほど働くまでは、期間制で使うことを許容している」とし「また、常時 業務の正規職化ではなく無期契約にしたが、これは勤労条件の改善なく雇用だ けを保障することを意味する」と説明した。実際、2007年以後、無期契約職に 転換した非正規職は、ほとんどが賃金などで同じ労働条件で働いている。

公共部門の外注化を拡大した面もあった。キム教授は「機関業務を核心業務と 周辺業務に区分し、周辺業務では外注化を認め、公共部門人材の外注化を拡大 したり既存の強引な外注化を容認する役割を果たした」と診断した。

11月28日、李明博政権とハンナラ党が発表した公共部門非正規対策も、これと 違わない。彼らは1年以内に継続的業務への従事者の9万7千人の非正規職を無期 契約職に転換すると発表した。だが、無期契約職は賃金と福祉などは非正規職 の処遇とおなじで、相変らず賃金と勤労環境での差別は改善されない。だから 労働界では、今回の政府の対策が2004年と2006年、参与政府の時に実施した 公共非正規対策の複製品でしかなく、事実上退歩した政策だと評価している。

地方政府の非正規職改善案もまた、地方自治体の権限範囲を越えられない限界 を示す。ソウルの蘆原区、城北区、冠岳区と光州光山区、京畿道城南市などで 実行された非正規解決法も、正規職でも非正規職でもない、新しい雇用形態の 『無期契約職』への転換で施行された。ただし、地方自治体の非正規解決法は、 政府が排除した間接雇用も包括している点で一歩前進したという意味があった。

朴元淳市長、『無期契約職』の陥穽を越えられるか

こうした政府と地方自治体の公共部門非正規職対策の流れの中で、朴元淳(パク・ ウォンスン)市長は非正規職法の限界を越えるという課題を抱えている。

間接雇用に追いやる直接雇用人件費中心の総額人件費制、非正規職の間接雇用 化を促進、鼓舞する公共部門経営評価制と共に、国民の目に映る数値しか考慮 しない公共部門の管理機制を変え、同時に非正規法の全面改正に着手しなければ 今までの限界を克服できないからだ。これについてキム教授は「ソウル市は、 まさにこうした法制度的な制約と公共部門政策の限界を越える政策水準を展開し、 次期政権の非正規職解決法の端緒を見せる重要な位置と時期に置かれている」 と説明した。

特に朴元淳市長の正規職転換計画も、2年以上の常時勤務者の無期契約職転換と いう非正規職法の限界の中で行われると見られ、政策的な限界を克服する独自 の解決方法を見つけなければならないという要求が続いている。

これにより今回のフォーラムでは、パク市長にこれまでの地方自治体の非正規 法の枠組みを越え、非正規職解決法をさらに進展させるよう注文した。キム教 授は「まず、直接雇用された契約職の正規職化が実状は無期契約職というあい 昧な境遇で、完全な正規職との差別はあまり改善されていないという点に注目 し、代案を立てなければならない」と強調した。直接雇用契約職の身分を保障 し、勤続と経歴により適正な待遇が受けられる正規職と比肩できる号俸体系と 経歴開発体系を導入しなければならないということだ。

また彼は非正規職管理本部の新設と、各事業所、傘下機関に散っている非正規 職の独自の人事管理体系構築などで、身分を保障する装置が追加的に用意する よう注文した。正規職の賃金水準と比肩できる賃金体系と目標値を設定して、 5年以内に差別を解消する計画を提示しろという主張も提起された。

続いてキム教授は「非正規法の限界だけでなく、公共部門の管理制度と政策が 非正規職の差別改善と逆行する事実を明確にし、今後の制度改善に示唆する点 を提示しなければならない」とし「また、公共部門の人材管理を、身分制から 職務別の水平的分業構造に転換する出発点に立っていることを認識し、全般的 な人材管理構造を改善しなければならない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-12-13 22:59:39 / Last modified on 2011-12-13 23:00:02 Copyright: Default

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