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非正規職-正規職連帯、一緒に暮らすための自然な叫び

[撤廃連帯-チャムセサン共同企画:非正規職10年展望(5)]

非正規職と共にしたイーランド労組正規職組合員たちの闘争の記憶

ホン・ユンギョン(イーランド一般労働組合事務局長)/ 2009年11月24日8時58分

1999年12月、とくに寒かったある冬、労働組合に問い合わせをしてきた非正規 職労働者と会うために、冷凍庫のような物流倉庫を訪ねた記憶が鮮明だ。その 出逢いは3か月後に非正規職分会の結成につながり、これは2000年のイーランド 労組265日ストライキ闘争の出発点になった。

「暮せない50万ウォン! 暮らすには70万ウォン!!」これが2000年6月16日にスト ライキ闘争を始めた非正規職組合員たちのスローガンだった。しかしこの涙ぐ ましく素朴な要求は、ストライキ初日から凄惨に踏みにじられた。

▲2000年ストライキ闘争当時の「非正規職撤廃」パフォーマンス

3日後、事務専門支部と食品分会がストライキに合流した。そして半月後、賃上 げ時期が違い、不法の議論があった2001アウトレット組合員たちも全員ストラ イキに賛同したことで、非正規職組合員たちが先に始めたストライキはいつの まにかイーランド労組全体のストライキになっていた。

それまで労組は臨時代議員大会を開き、間接雇用労働者も組合員として受け入 れる規約改正を断行した。労働部から不法派遣と判定されても使用者側の請負 契約解止で一日で解雇されていた労働者も共に戦うつもりであった。多くの人 が恐れていたが、予想通りその戦いは容易ではなかった。だが265日のすさまじ いストライキ闘争の結果、不法ストライキ労働者も直接採用して、順次的な正 規職化に合意した。

ではこの闘争で、正規職組合員は脇役だったのか? 決してそうではない。IMFを 味わい、膚で感じた雇用不安の刃、経済危機の苦痛を労働者に専担させたイー ランド資本の下で押さえつけられてきた悲しみが彼らをつき動かした。そして 不法派遣労働者も受け入れさせたストライキの結果は、当然彼らにもさまざま な成果をもたらした。最大の成果は外注化と年俸制導入阻止だった。当時、す でに2001アウトレット組合員が働いているレジに不法派遣の労働者が入ってい たが、ストライキで撤回され、パク・ソンス会長のレジ外注化計画は何と7年も 遅れた。すべての管理職に順次導入された年俸制は、まだ2001アウトレット現 場職員には適用されない。

もちろん2000年ストライキが長びいた時は正規職組合員から不満が出ていた。 「非正規職問題を解決するために私たちが犠牲になっているのではないのか?」 ストライキが終わった後も、一部ではそんな不満が残っていた。だが何年がたっ た後、激しかった闘争が正規職自身の最大の盾になり、結局、闘争の成果は正 規職が一番たくさん受けたという事実を組合員たちも認めるようになった。

▲2007年ストライキ当時ワールドカップ占拠座込み場で組合員たちが作ったピケ(正規職/非正規職差別に抗議)

2007年510日ストライキ闘争の時もそうだった。初めは皆が一つになって戦った。 隣の席の非正規職の同僚がくやしく切られていくのを見て、正規職が先頭に立っ て戦った。カルフ労組の時から少なからぬ時間、同じ組合員として、同じ問題 意識を持ち、現場で動いてきた組合活動がいたから可能だった。

しかし時間が長くなると、当然ながら不満は増えた。あまりにも社会的に「非 正規職闘争」という照明をたくさん受けるようになり、正規職は「ストライキ に勝利しても私たちにはあまり成果がないのではないか?」、「まさに非正規職 組合員も現場に復帰した人が多いのに、私だけが残ってストライキ闘争を続け る必要があるのか?」等の言葉が出てきた。しかし彼らのうち、少なからぬ人員 が最後まで粘った。最後まで労働者の義理を、「労働組合」という大切な共同 体を守った彼らは、堂々と現場に復帰して現在も現場の主導権を握っている。 たとえホームエバー売却で労組が分離する痛みを体験したとはいえ、 ホームプラステスコ労組は成果を抱いて発展し続けている。

もし正規職組合員が自分の問題ではないと言って途中で放棄していれば、結果 はどうだったろうか? 非正規職の少数だけが残って闘争を続けていったなら、 現在のような成果をあげられなかったろうし、これは非正規職の運命だけでな く、正規職の運命も脅かしただろう。使用者側はさらに分離政策を押し進め、 ストライキでなんとか防いだ外注化はさらに早く推進されたかもしれない。

▲2007年ストライキ当時ワールドカップ占拠座込み場で「働きたい」の花横断幕を共に作る姿

時をさかのぼり、1997年のイーランド労組初めてのストライキ闘争の時のことだ。 57日のストライキ闘争で、労組設立後4年で団体協約を締結した。感激的な瞬間 だった。しかし最後の合意過程で信じ難いことが起きた。正規職組合員はたった 3人しかいない契約職組合員の正規職化が約束されなければ、現場に復帰しないと 強く主張したのだ。結局、3人の契約職は4か月後に正規職化を約束され、12年たった 今もしぶとく生き残っている。私はその時も非常に驚いたが、今でも疑問だ。 何が彼らをそうさせたのか? 決して教育をたくさん受けたり、意識が透徹して いたのではない。誰が強要したのでもない。労組の日常活動とストライキ闘争 を一緒にして、共に汗を流し、共に涙を流して、同苦同楽したということ、 それ以外に何の説明が必要だろうか?

そうだ。重要なことは理論ではない。頭で理解することでもない。体で体得し ていかなければならない。ホームエバー(現在ホームプラステスコ)の労働者た ちは、正規職と非正規職が共にしてきた労組活動を通じて自然に共に闘争する ことが当然だと感じ、連帯に来た労働者たちが私たちを不思議そうに見るのを むしろ変に思った。同じ事業場で、同じ仕事をしているのに、正規職と非正規 職という名前で差別されるのはくやしいということは小学生でも判断できる。

問題は、それが当然視されているこの『資本優先』、『企業優先』という社会 的な雰囲気だ。競争で他人を押しのけることが能力があることで、私が生き残 るためには他人の犠牲に目をとじたり、時には助長しても許される社会、いつ からこんなことになったのか、残念なだけだ。

なぜ正規職が非正規職を組織して共に闘争しなければならないのか? 返事は簡 単だ。一緒に暮らすためだ。一緒に暮らすことを放棄して手を離した瞬間、船 は沈み、緩慢な死だけが残される。虎は決して私たちの足だけを望まない。足 を出せば腕をくれと言い、腕を出せば全身を出してやらなければならないだろ う。すでに足が切られて走れない、抵抗できない人を生かす虎がどこにいるか? 例え生き残れても、腕と足を切られたままで生きていくよりは、力を合わせて 正面から対抗して戦うか、足が完全なら逃げた方がはるかに賢明ではないだろ うか?

「510日の非正規職闘争で成果があったというが、多くの幹部が解雇され、今も 非正規職問題は解決していない。ではそんなに激しい闘争がぜひ必要なので しょうか? また非正規職問題の解決法があるのでしょうか?」

最近上映された2007〜2008年の510日闘争を描いたドキュメンタリー映画、 「外泊」の観客との対話の時、ある観客がした質問だ。難しい。難しい質問だ。 私はこう答えた。

「誰も激しい闘争を望んだのではありません。だが2007年6月末、私たちに選択 の余地はありませんでした。生存権の崖っぷちに追いやられたわれわれは、一 定の犠牲があるとしても、相対して戦うか、さもなくばそのまま崖から落ちる か、2つの選択しかありませんでした。私はその時、あきらめずに戦ったことを 後悔していません。たとえ今、個人的にはかなり苦しい状況に置かれていると してもです。非正規職問題の解決法はよく分かりません。ただしこの場にいる 人々から、非正規職問題はまさに自分の問題だという思いで非正規職化を当然 だと思う社会に変えるために力をあわせることから始めるべきだと思います」

▲「外泊」上映で'観客との対話'のために釜山国際映画祭に行った

この前、ある座談会ではこんな話をした。

「非正規職問題は既存の組織の意図的な割当があれば、少しでも解決するはず だ。まさに既存組織を維持することより、未組織、非正規職のために、金と人 の30%以上を割り当てなければならない」

現実から一歩離れているから言える言葉かもしれないが、何か画期的な意識転 換と試みが必要だと考える。

私は理論はよく知らず、代案を提示する能力もない。ただしこの16年間の闘争 の一線で、現場の要求から逃げずに闘ってきただけだ。振り返れば後悔はない が、惜しみは多い。最近私自らに休暇を与えて今一度私を振り返っている。反 省する部分は多い。今は組織の成果と誤りから離れて、個人的な傷と惜しみが 大きく見られるのでとても疲れたようだ。また初心に帰る日を夢見てみる。

『非正規職運動展望討論会』、27日(金)午後2時マネNGO記念館
前国不安定労働撤廃連帯は来る27日(金)午後2時マネNGO記念館で 『非正規職運動展望討論会』を開催します。 この文は討論会に先立ち非正規職運動の展望を調べる撤廃連帯と チャムセサン特別企画五つ目の文です。今回の討論会では非正規職労働者運動 10年を評価して、今後の10年を見通すための議論で構成される予定です。 非正規職労働者そして現場で非正規職労働者たちとともに 組織化に悩んでいる多くの方々の関心お願いします。-〈編集者 注〉

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-11-25 09:07:41 / Last modified on 2009-11-25 09:07:43 Copyright: Default

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