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公共産別が第一歩を踏み出す

[寄稿]公共サービス労組発足の意義とその課題

ナ・サンユン(公共連盟)/ 2006年12月04日10時51分

全国公共サービス労働組合(以下公共労組)は11月30日に創立発起人大会を開催 し、規約の制定と3か月を任期とする初代役員を選出したことで、歴史的な第 一歩を踏み出した。これで12月15日に予定されている運輸労組の発足とともに 公共部門における産業別労組運動に画期的な転機を用意する契機になるものと 見られる。

公共部門での産業別労組建設運動は、遡れば94年の鉄道、ソウル・釜山地下鉄 の同時ストライキの主役であった全地協の結成と科学技術労組の発足、そして 公労代(公共部門労働組合代表者会議)活動が出発だといえる。99年の公共連盟 の建設は、各個躍進した公共部門産業別労組運動を統合する契機になった。だ が公共連盟は建設以後、内部的に産業労組への転換と建設について絶えず考え てきたのだ。産別特別委の建設と試案の提出が何度か繰り返されたが、結局、 本格的な産業労組の建設は現執行部になった2005年に始まった。

公共連盟における産業労組の建設過程は決して順調ではなかった。産別特別委 が建設されて議論が始まったが、議論ばかりがさかんで大きな進展のないまま この6年間、数人の小産別労組を建設するに留まっていた。そして2005年に始 まった産業労組建設事業は、その開始から激しい論争と葛藤を示し、少なから ぬ憂慮を呼んだ。

その間、産業労組建設の議論に関する核心的な論点は、およそ四つだった。 四つの争点はすべてつながっており、結局は二つの陣営の論争に発展した。

まず、産業労組建設の目的だ。なぜ産業労組を建設しようとするのかという問 題だった。交渉力の拡張に重点を置く立場と、未組織非正規労働者の組織化を 中心として、階級的大衆組織を建設するという主張が対抗した。交渉力に中心 をおく立場では、組織構造と交渉構造を一致させるべきだと主張し、反対の立 場は組織構造と交渉構造を一致させる必要はないと主張した。

二つ目は、いくつかの小産業労組を経て統合していくのか、あるいは一気に一 つの産業労組を建設するかの論争だった。他の産業労組と違って公共連盟の条 件上、さまざまな業種を包括しているため避けられない論争だった。結論は、 公共労組と運輸労組の二つに分離建設し、最短の期間内に公共運輸労組に統合 することで整理された。

三つ目は、やはり公共連盟の構成組織の特性を反映するもので、地域を中心と するのか、さもなくば業種を中心にするのかという論争だ。普通の産業労組は 地域を中心とする組織構造を形成するが、さまざまな業種で構成されるという 条件と、これまで業種を中心とする事業を展開してきたことの慣性により、2 つの主張が鋭く対抗した。結局は地域と業種を併行する構造に整理された。も ちろん、地域中心の組織構造に順次転換していき、そのために地域には議決、 財政、人員などを加重することにした。

四つ目は企業を独自の基礎単位と認めるのかの問題だった。企業別労組を克服 するために産業労組を建設することを前提とするという点から見れば、企業を 組織骨格の基礎単位とすることは正しくないが、企業別労組の慣性を一時に解 消することはできないという点で認めざるをえなかった。

約1年6か月の時を経て四つの争点を中心とする論争が終わり、公共連盟は9月 27日の臨時代議員大会で、公共労組建設推進を決議した。しかしすべての論争 が終わったわけではない。臨時代議員大会後に設置された規約制定委員会は、 公共労組の規約の設計で、再び論争に包まれることになったのだ。

9月27日の臨時代議員大会で11月30日を発足日に確定させたため、わずか二か 月しかないという時間的な限界もあったが、規約により具体的な組織の構造と 運営を設計したところ、どのようにしてさまざまな条件を反映させるかという 問題に直面せざるをえなかった。その結果、前の論争の争点がまた繰り返され るという様相が現れた。

規約議論の過程で最も大きな争点として登場したのは、傘下組織の設計に関す るもので、地域本部と業種本部、そして支部の設置基準をどうするのかという 問題だった。これは結局、以前の論争の延長だった。地域本部に議決権と財政 で加重値が与えられ、超企業支部にも議決権と財政で加重値をおくという形で 争点を縮小していった。それにもかかわらず、内部民主主義を拡大しようとい う点には大きな意見の差が発生することはなかった。女性割当制、非正規割当 制はもちろん、召喚と弾劾の発議、できるだけ簡単に議決できるようにし、 執行体系の独占的構造を防止する方案も相当数含まれた。

では公共労組と運輸労組の発足が持つ意味とは何だろうか?

現段階での民主労組運動の中心性が、量的な側面や破壊力という側面で金属と 公共運輸部門にあることを否定することは容易ではない。そうした側面で金属 に続いて公共運輸部門で本格的な産業別労組運動が始まったのは、今、民主労 組運動は企業別から産別中心への変化が確定的だということを意味する。これ 以上、企業別労組中心の活動は難しいということだ。

また、公共部門は単一の産業ではなく超産業的であり、公共部門に所属する事 業場は非常に多様な条件を持っている。規模の差はもちろん、全国的に現場が 分散している全国事業場が多いという特徴、そしてとても多くの業種で構成さ れている点など。こうした多様な条件を持つ公共部門で単一労組である産業労 組を発足することは、他のさまざまな産業でも産業の境界による産業労組を建 設することが決して不可能でも難しくもないということを確認させる。

それにもかかわらず、現段階の公共労組が持つ限界と課題は何か?

公共連盟に所属する5万人の運輸労働者を除いても、約7万余人の組合員がいる が、3万人ほど出発し、組織対象の過半数に及ばない。もちろん、12月、1月に 転換投票を予定している労組が少なくない。連盟の外でも公共労組への加入を 準備している組合員がいる。2月に予定されている組合員直接選挙による執行 部の選出以前に、加入組合員数は楽に4万人を超えるものと予想されるが、未 転換の労組を至急、公共労組に加入させなければならない。

二つ目には公共労組は現在、規約だけで存在し、組織運営の細かい内容を含む 各種の規定が備わっていない。民主的な組織運営が保障され、階級的指向の内 容を含めるように、早い時間内に制度的な枠組みを完備しなければならない。

三つ目に、短い期間で公共労組を発足させたため組織の形式に集中する結果を 招いた。組合員との十分な疎通と交流が足りなかった。また、公共労組が担当 する事業について充分に入れることができなかった。つまり現場とのコミュニ ケーション・システムを構築して内容を満たす努力が絶対的に要求される。特 に産業労組建設の本来の目的が何かを明確に確認し、階級形成という観点から 事業内容を作っていくという課題が与えられている。

第一歩を踏み出したに過ぎない。その第一歩が大きな一歩になるのか、あるい は単にひとつの足跡にするのか、それは公共労組にかかっている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-12-04 19:06:13 / Last modified on 2006-12-04 19:06:17 Copyright: Default

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