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韓国:公務員年金削減で議論、「公的年金拡充」の要求に拡大か
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反転を試みる「公務員年金改革」世論、「国民年金との統合も可能」

公務員年金削減で議論、「公的年金拡充」の要求に拡大か

ユン・ジヨン記者 2014.09.24 19:17

政府とセヌリ党の公務員年金削減の方針がむしろ「公的年金拡充」という世論に反転する兆しを見せている。 公務員年金改悪を始め、国民年金などの公的年金が後退するという憂慮とともに、 政府と民間金融会社関連団体が「私的年金拡大」を試みており、 政府に対する不信も広がっているからだ。

その上、公務員当事者も国民年金の所得代替率を上げれば公務員年金を国民年金と統合できるという「公的年金強化」論を持ち出した。 一般国民との報酬、退職金、各種制度などをはじめ、 年金水準も公平性を合わせていかなければならないという要求だ。

[出処:チャムセサン資料写真]

公務員年金死守闘争を続けている全国公務員労働組合のイ・チュンジェ委員長は、 最近多くのメディアとのインタビューで 「国民の立場に同意する。 必要なら国民年金と公務員年金の統合も可能だ」と明らかにした。 政府と与党の公務員年金削減案に反対するだけでなく、 公的年金制度そのものの改革が必要だという指摘だ。

事実、公務員年金は国民年金とは基本的な性格が違う。 公務員年金は公務員の在職当時低賃金と低い退職手当て、労働三権などの制約を年金で保全する「後払い賃金」の性格が強い。 そのため公務員としては「特典」と誤解される公務員年金を国民年金と統合し、 その代わりに賃金や退職手当てを公平に合わせて引き上げると同時に、 各種の制約をなくす方案も考慮してもいい。

公務員労組が「公務員年金と国民年金との統合」に言及したのは、 公務員年金を「特典」と見る国民との断絶を最小化した後、 「公的年金強化」という大きな枠組みの要求を作り出すためと見られる。 公務員の所得水準などを一般国民の水準に合わせた後、 現在の所得代替率が顕著に低い国民年金を強化していこうという趣旨だ。

実際に下位職公務員の賃金は民間企業よりかなり低い水準だ。 中小企業の初任年俸平均は2450万ウォン、大企業初任平均は3700万ウォンだが、 9級公務員の初任年俸は1900万ウォンに終わる。 公務員-民間企業との賃金水準の格差は年齢が上がるほど、 職級が上がるほど、さらに深刻化する構造だ。 公務員は超過勤務手当も4時間までの支給上限が決められている。 公務員の賃金などの制度改善がない状態で年金が削減されれば、 結局「賃金カット」に帰結するほかはない。

公務員労組のイ・チュンジェ委員長は 「国民が公務員との公平性を話していて、まだ公式化された議論ではないが、 労組の内部でもこれに関する意見が多かった」とし 「報酬と退職金が低く、労災が適用されないなどの各種の制約があるので、 公務員年金に特殊性が与えられている。 だがこうした各種の不利益制度を公平に合わせれば、国民年金との統合も可能だ」と説明した。 現在、労組は国民年金に関する公務員年金関連の研究用役を発注しており、 11月頃に1次報告書が出てくる予定だ。

労組の主張に対し、一部の保守言論は強く批判している。 朝鮮日報は9月23日付の社説「公務員年金改革、労組が防げば国民も我慢しない」という社説で 「国民も国民年金を厚く受け取りたい。 そうしたくないのではなく、金がなくて受け取れない」とし 「公務員労組はそうした事情を明らかに知りつつ、 国民にケンカを売るような行動をしている」と批判した。

これについてイ委員長は 「保守言論や大企業の立場としては、 金持ち増税を避けるためにこうした主張をする。 年金財源に関し、こうした論理なら現在、先進国はすべて破産する」と反論した。 実際にOECD平均公的年金支出率は8.4%だが、韓国は0.9%に過ぎない。

イ委員長は「国民年金は最悪の年金だ。 国民と公務員が要求しているのは、 国民年金の所得代替率を最低50%に合わせようということ」とし 「基礎年金、国民年金財政の枯渇についての心配が多いが、 そのためにまず社会的に議論をして、 公的年金に対する中長期対策をたてることが優先だ。 その中で公務員年金を一緒に議論しようという趣旨」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-09-26 18:22:52 / Last modified on 2014-09-26 18:22:53 Copyright: Default

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