本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:自ら腕と脚を切った奇妙な公企業
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1547666935514St...
Status: published
View


自ら腕と脚を切った奇妙な公企業…その中で死亡したキム・ヨンギュン

[企画(1)]発電整備会社…公企業退職者の雇用に転落

パク・タソル記者 2019.01.07 14:47

[編集者注]青年非正規職労働者の故キム・ヨンギュン氏が死亡してもう一か月になろうとしている。 生きていれば25歳を迎える彼は、韓国社会に「危険の外注化」という宿題を投げてこの世を去った。 この一か月はその宿題を解決するどころか、追慕するだけでも足りない時間だった。 その間、元請の西部発電はキム・ヨンギュンを奪ったそのベルトコンベアをまた動かそうと大騒ぎし、 労働部は労働者の声を無視して西部発電の利害だけに耳を傾けている。

チャムセサンは西部発電の主要下請企業の沿革と役員陣を調べ、数人の利害関係者の利益を中心として下請構造が再生産されていることを把握した。 公共事業は大企業に渡り、公企業を退職した役員は民営化された企業に行って安楽な地位を横取りした。 最初の記事ではキム氏が所属していた韓国発電技術の民営化の過程を見て、 2番目の記事では西部発電の他の主要下請企業の事例を調べてみよう。

韓国西部発電の設備は韓国西部発電の所有地だけで、 発電所の運転や整備などの大部分の業務は外注化されている。 現場で安全管理をしたり安全教育をする業務自体もほとんどが外注業者や代行機関に渡される。 西部発電の主要下請企業は韓国電力と5つの火力発電所出身者が要職についている。 公企業を分割して売却し、民間企業になったが、その民間企業にまた公企業出身の要人が座っていた。

私募投資ファンドの手に入った発電整備産業

現在、西部発電の下請企業で泰安火力9〜10号機の運転と整備を担当している、故キム・ヨンギュン氏が所属した韓国発電技術は、 本来韓国南東発電(以下南東発電)の子会社であった。 南東発電は2014年に韓国発電技術の株式と経営権をテグァン実業(株)に売却した。 当時の売却は政府の公共機関経営正常化対策により、 非核心事業分野の株式売却による積極的負債削減計画の一環だった。 言論はこれについて「公企業負債削減に関する初の公企業子会社民営化を達成した」と奉った。

当時、テグァン実業は韓国発電技術の買収者金を調達するために480億ウォン規模のファンド、カリスターパワーシナジー私募投資専門を作った。 これはテクァン実業のパク・ヨンチャ会長に近いイ・スンウォン代表が運営する私募ファンドであった。 イ代表は2014年に韓国発電技術代表理事に就任し、2018年末まで代表理事であった。 そして相変らず韓国発電技術の株式の52.43%をカリスターパワーシナジー私募投資専門が所有している。

以後、カリスターパワーシナジー私募投資専門は発電整備業界を攻撃的に買収して図体を膨らませた。 韓国発電技術('14.6)に続いて韓国プラントサービス('16.2)、エース技電まで買収('17.9)し、 民間発電整備会社の半分を一人占めした。

業界では私募ファンドの特性上、短期利益の創出に埋没して整備人材養成や技術開発を軽視するという憂慮が大きかった。 入札に参加した7つの民間整備会社のうち3つの会社を同じ大企業が実質的に所有することにより 不公正入札の環境を誘発するという問題も提起された。

政府はこうした流れを政策に率いた張本人だ。 民間に開放して競争体制を拡大するという基調は、2001年から最近まで続いた。 「2016公共機関長ワークショップ」で発表された 「エネルギー・環境・教育分野機能調整方案」によれば、 発電5社の設備に対する韓電KPS(整備市場を100%専門担当する公企業)の整備占有率を徐々に縮小し、 民間開放を拡大することが政府の計画だ。 韓電KPSが専門担当していた整備は2008年には70%の占有に減少し、 2015年には50%水準に墜落したが、さらに低い水準に調整するということだった。

発電所を退職した後に民間業者代表になった「本部長様」

[出処:公共運輸労組]

公企業から分かれた 民間企業は公企業出身の要人の雇用に転落した。

韓国発電技術のペク某代表理事は、南東発電の霊興火力本部長を歴任した人物で、 去る2011年9月に定年をむかえて退職した。 韓国発電技術にペク氏が名前を連ねたのは2017年7月だ。 社内理事だったペク氏はその年の12月に代表理事に就任した。 ペク氏は韓国発電技術ホームページのCEOメッセージで 「韓国発電技術は安全と保健をすべての作業の最優先課題としています。 安全な作業環境と適切な安全管理規定を設定して、 職員はそれによって事業場内で徹底した安全基準と手続きを遵守し、作業を遂行します」と 就任一声を明らかにした。

だがキム・ヨンギュン氏がコンベア事故で命を失った後に出てきた同僚の証言を調べると、 会社はコスト削減のために安全装備をきちんと支払わず、 故キム・ヨンギュン氏の場合、私費で懐中電灯を買い、 両手をすべて使わざるを得ない作業にヘッドランタンはぜひ必要な装備なのに支給されなかった。 公共運輸労組韓国発電技術支部によれば、全体約750人の役職員中、 期間制勤労者は約150人だ。

韓国労働研究院は「公共部門所属他勤労者勤労条件事例調査(2016.12)」で 「発電設備運転市場に新しく進入した民間企業の契約職採用公告が出ている」とし、韓国発電技術の例をあげている。 韓国発電技術が2015年10月に採用業者に出した発電設備運転採用公告を見ると、 忠南、泰安、仁川、霊興の火力発電所の機械・電気・環境化学分野で働く労働者をすべて「契約職」として採用している。 こうした契約職採用は2018年度も同じだった。

韓国発電技術のペク代表理事は、 株式会社エコールライトの代表も兼職している。 ペク代表理事は2011年に南東発電を定年退職した後、 南東発電が特殊法人として設立したエコールライトへ席を移した。 2012年に代表理事に登載して、現在も職を維持している。

エコールライトは石炭殻リサイクル人工軽量骨材の製造業者で、 事業の初期には廃棄物の石炭殻をリサイクルして人工軽量骨材を作る世界初の設備だ広報したが、 結果は公企業の無理な事業拡張による「不良事業」で終わってしまった。 2013年の監査院監査でも人工軽量骨材事業の経済性検討などが不適切だったという指摘を受けた。

2010年に年間20万トン生産規模で工場を着工した特殊法人(SPC)エコールライトは、 設備運営能力と運営資金不足で2013年9月に休業を宣言し、 参加企業もすべて放棄して運営も南東発電にまかせた。

軽量骨材工場は当初、民間事業体との相互出資方式で推進されたが、 事業に参加した民間業者が投資企業を見つけられずに後に退き、 南東発電は共同で負担する工場設備資金を代りに支払い、特典疑惑に包まれた。

2015年9月、国会産業通商資源委員会所属の朴完柱(パク・ワンジュ)議員は 「常識では理解し難い各種の特典にもかかわらず 南東発電は解決方案を出さずに結局、国民の負担につながっている」とし 「特典事業に続いて不良運営という悪循環を解消する方案を早く出せ」と指摘した。

南東発電が人工軽量骨材事業をするために使った投資額は工場新築228億ウォン(最初の設計の166億ウォンから増加)、 遅滞金未収60億ウォン、運営人件費30億ウォン、 計画予防整備工事費10億ウォンなど、何と約328億ウォンになる。

南東発電はエコールライトとユジンテック(運営資金投資家)に対して 遅滞金名目で36億ウォンを請求した状態だが、 予算を埋めるには非常に足りない金額だ。

発電労組のある関係者は 「業界内では検証されない技術により、とんでもない設備まで作ったことについて議論が多かった。 やむを得ず南東発電がまた運営しているが、 当初の妥当性調査も不足で、色々な面で提起された疑惑がいまだに解消されていない」と話した。

この他に実際の発電社など公企業出身者が民間の要職を占める割合は相当だ。 2017年8月当時、7つの民間発電整備会社 (スサン・インダストリー、クムファPSC、韓国発電技術、エース技電、ウォンプラント、韓国プラントサービス、イルジン・パワー)のチーム長級の人のうち、 韓電KPS、韓電、韓水原、発電社出身者が約100人になる。 そのうち韓電KPSの出身者は59人を占めた。

社会公共研究院は2016年6月に発表した「公共部門安全・危険の外注化、実態と改善方向」で 「現場の人員不足が続く条件で、外注化の拡散は結局、日本のような原子力現場の危険性を増大させる結果になりかねず、 特に安全と密接に関係する火力発電整備業務を外注化すると多くの問題が発生しかねない」とし 「発電整備に特化された韓電KPSの業務を民間に開放すると、 韓電KPSの既存の役員が会社を作って整備業務を引き受けるようになったり、 最低価落札制によって無資格の業者がこの業務を引き受ける憂慮もある」と明らかにした。

2017年10月、産業通商資源中小ベンチャー企業委員会の国政監査で 民主党のキム・ジョンフン国会議員は公共機関の退職者が民間発電整備会社の幹部に就職するなどの道徳性問題を指摘した。 キム議員は韓電KPS株式会社の社長に対し 「民間整備業体を養成して、競争力を拡大し、こうしたのに実際にそれが正しいのか、 むしろ競争力の拡大ではなく雇用甘やかしだったのではないか」とし 「なぜ民間市場を作って競争力拡大という名で、 あえてKPSの退職者の雇用を二重三重に広めるのかわからない」と批判した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-01-17 04:28:55 / Last modified on 2019-01-17 04:28:59 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について