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密陽765kV送電塔問題が私の問題である理由

[人権オルム]公然の収奪に同調しないために

ミンソン(人権運動サランバン) 2013.05.30 15:29

焼き付ける陽射しも暴雨も止められなかった。猫の手も借りたいというほど忙 しい農繁期、密陽の住民たちはその年の生活を頼る土地を後にして送電塔工事 を防ぐために毎日深い山の中の工事現場に向かう。作業員が出勤する前に到着 するためには、午前3時に出なければならない。一日の食事を持って七十、八十 のおばあさん、おじいさんが木のツエをつきながら、険しい山道を登る。8か月 間、中断している密陽地域の765kV送電塔工事が5月20日、韓国電力(以下 韓電)に よりまた強行され、密陽住民の日常が変わったのだ。5月29日までの10日間で 20人のおばあさん、おじいさんの多くが怪我をした。

密陽送電塔工事は単に密陽のおばあさん、おじいさんだけの問題だろうか? 韓電は密陽の住民が国策事業に過激に反対しているとし、地域の利益主義だと 誹謗した。国策事業だと言うのなら、なぜ送電塔が必要なのかをまず釈明する べきだが、韓電はむしろ自分自身が密陽住民の日常と人生の土地を破壊する ブルドーザーになっている。

ブルドーザー韓電

韓電が現在進めている工事は、新古里原発で生産した電力を蔚州郡、機張郡、 梁山市、密陽市を通り、昌寧の北慶南変電所までの90.5kmに161本の送電塔をた てて送電する「765kV新古里-北慶南送電線路建設事業」だ。そのうち、52本を 密陽の丹場面、府北面、上東面、山外面の4面にたてるという。これまで韓電は きちんと意見を収斂することなく、一方的に送電塔工事を進めてきた。2006年、 密陽住民の反対対策委員会ができてから今日まで8年の時間があったのに、韓電 は住民の声を無視したまま、工事強行だけに熱を上げた。工事阻止のためにお ばあさん、おじいさんらが2交代、3交代に分かれ、毎朝山に登り、作業員や 機械と対抗した。初めて用役が投入された2012年1月16日、「このくやしさを ぜひ世の中が認めてほしい」と言って焼身した故イ・チウさんの死で、密陽 送電塔問題が社会的問題になった。

超高圧送電塔の765kV送電塔は、45階のビル程度の140mで巨大だ。環境が破壊さ れるばかりか、騒音、電磁波などの問題も深刻で、住民の健康はもちろん、長 い間作ってきた生活の基盤が根こそぎ揺れるほかはない。特に密陽区間は送電 塔が村にとても近く、田畑の上、果樹園の上、学校の周囲も通るケースが多く、 さらに被害は深刻にならざるをえない。これまで密陽の住民は、765kV送電塔が 避けられないのか、はっきりさせるように韓電に要求して地中化(送電線を地面 に埋める)など、他の代案を検討する専門家協議体の構成を提案してきた。

無視し続けていた韓電は、冬季の電力需給危機のために不可避だとして工事を 強行し、公権力の投入も要請した。ところが工事の理由とした緊急な理由は、 実は電力需給危機のためではなく、UAEの原発受注を円滑にするためだったこと がわかった。そして密陽住民の人生は眼中にもないかのように、韓電は機械に 身を縛りつけて命がけで阻止するおばあさん、おじいさんに暴力で応え、警察 はそれを幇助した。

韓電の悪事を数え上げけば果てしない。8年間、全身で語ってきた密陽の住民に、 韓電は全く協議の努力もせず、765kV送電塔の受け入れだけを強要し続けてきた。 送電塔の被害が小さい村の住民を金で懐柔し、村共同体の間の対立を誘発し、 住民の生活の場所が持つ意味を貶め、密陽送電塔問題を金の問題に置き換えた。

「地価は二束三文になった」という哀訴はもっと補償をしてくれという要求で はなかった。大切に耕してきた土地と、その土地で心を込めて育てた命がみだ りに貶められるのが悲しくて言った言葉だ。生涯農民として暮らし、体で学ん だ土地の価値と生活の価値を守りたいということだった。価値は消え、価格ば かりが幅をきかせるこの社会は、自分勝手に密陽の住民を簡単に利己主義者と 呼ぶ。しかも韓電が「画期的」として打ち出した補償案の実状は、被害住民に 対する直接支援は全くない。それでも住民はその補償金をいっそ地中化に使っ てくれと要求している。それなのに、なぜ住民たちの要求は黙殺されるのか?

▲工事再開を防ぐ密陽住民と市民の姿[出処:人権オルム]

密陽-私たちすべてに関係する問題

外国と較べると、韓国は電力需要が急増しているため、供給のための送電設備 も増えるしかない。5月28日に開かれた「密陽送電塔と電力需給、争点と代案」 緊急討論会でも、参加者はこれまで供給拡大だけに集中してきた電力需給政策 の問題が、今回の密陽送電塔の問題で如実にあらわれたと指摘した。福島原発 事故にもかかわらず、老朽原発の寿命延長、新規原発建設が続いている理由だ。 2011年の市道別電力自給率を見ると、ソウルは3%、大邱は1.3%に過ぎないが、 密陽がある慶尚南道は210%に達する。このように非首都圏からソウル-首都圏、 そして広域都市に電力を引いてくる遠距離輸送方式が変わらない限り、超高圧 送電塔建設の問題はなくならない。また電力需給政策の方向が供給拡大ではな く「需要管理」に転換しない限り、第2、第3の密陽は続く。それで密陽送電塔 の問題は、今、ここで暮らしている私たちすべてに関係する問題にならざるを えない。

密陽送電塔工事が再開されてから10日目になる5月29日、40日間工事を中断して 専門家協議体を構成し、検証をすることにした。緊迫した状況が少しとはいえ 止まることは幸いだが、検証期間40日がどんな意味を持つへのいらだちは、す でに江汀で苦い思いをしたためだろう。今年の初めに済州海軍基地建設に対し 70日検証期間を持って、その期間中は工事を中断するといった。しかし、その 期間にも不法工事は強行され、これに抗議する住民への弾圧は続いた。検証期 間中なのに朴槿恵政権は済州海軍基地を間に合うように完工するという立場を 明らかにし、70日検証期間が単なる要式行為でしかないことを自ら立証した。

それでも私たちの役割は、密陽での「工事検証期間40日」を要式行為にさせな いように監視して要求することだ。これまで住民が提案してきたさまざまな代 案が、専門家協議体で真剣に議論されなければならない。そしてこれまで私の 便宜のために沈黙し、無視してきた状況と向き合う時間にしなければならない (電力需要を減らさない限り、供給拡大政策を政府と韓電が変えるはずがない!)。 だから密陽の住民と連帯することは、無限の電気消費に慣れた都市での私たち の人生を省察し、変える初めての瞬間でもある。みだりに追い出され、奪われ た「人」たちと会う時間、こうした連帯が続けば、私の人生だけではなく、 私たちすべての人生と人生の場所を守ることができる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-06-03 16:48:11 / Last modified on 2013-12-17 09:44:03 Copyright: Default

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