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LNJ Logo 児玉繁信 : 高市首相は発言を撤回せよ!日本にとって真のリスクは中国ではない
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高市首相は発言を撤回せよ! 
  児玉 繁信 〈全労協全国一般 福山ユニオンたんぽぽ・執行委員〉

1)高市発言とは? 
 11月7日、高市首相は国会で、「台湾有事となり、中国が軍事力を行使すれば、日本の
「存立危機」なので集団的自衛権を行使し、参戦する」と発言しました。
 今回の高市発言は、「一つの中国」の約束を破るものであり、かつ武力攻撃をすると公
言したものです。中国政府は「内政干渉」だと強く抗議し、発言の撤回を求めています。

2)高市発言から始まったのではない!
 高市首相は、うっかり間違えて発言したわけではありません。「発言は撤回しない」と
いう立場をとっているのがその証拠です。
 日本政府はアメリカとともに「対中国戦争態勢」を築き上げてきました。共同の実戦訓
練を繰り返し行ない、その規模と実戦レベルを拡大・強化し続けています。数年来、さら
に踏み出しました。南西諸島に敵基地攻撃能力のあるトマホークミサイル(核弾頭搭載可
能)を配備しており、このミサイルは明らかに中国を狙っています。2021年に共同通信が
対中国の作戦計画である「日米共同作戦計画」を暴露しました。公然の事実です。2022年
12月16日には「安保三文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画
」)を策定し、この態勢づくりを始めました。高市発言はこの延長上にあります。これを
国会答弁で公言したのが、新しいだけなのです。高市発言から対立が始まったのではあり
ません。メディア報道の間違った点の一つです。
 それから、台湾は法的には国家ではありません。日本も米国を含む同盟国も台湾を国家
として認めていません。高市発言は「一つの中国」、すなわち「台湾は中国の一部だ」と
認めた日中共同宣言(1972年)、日中平和条約(1978年)に反しています。

3)忘れてはならないこと
 一方、中国の立場は数十年間変わっていません。台湾は内政問題であり、日本やアメリ
カの軍事介入を招くものではないとする立場です。したがって、中国の批判は「理由のな
い対応」ではありません。態度を変えているのは、一方的に日本政府です。

4)発言後の高市政権の対応
 高市首相や茂木外相、また外務官僚は、「国会答弁は撤回しない」「日本の立場は変わ
らない」と言い続けています。「発言を撤回すると高市の支持層が反発する」のが理由だ
とする報道もあります。日本政治が、いかに国際情勢に疎いか、内弁慶かがわかります。
 また「日本の立場に変わりはない」と発言し、メディアもこれを繰返していますが、こ
れは嘘です! この数年来、急速に日本政府はアメリカと共同し中国包囲網を作りあげて
きており、日本政府の立場は大きく変化しました。

5)毎回同じシナリオの繰り返し
 同じシナリオが繰り返されています。
○日本が中国を挑発する(−−侵略を進出に書き換える、南京虐殺を否定する、慰安婦被
害を認めない、靖国神社に参拝する、対中国軍事力を強化する、敵基地攻撃能力を持つ・
・・・・)
○中国が応酬する
○米国が「民主主義の防衛」だと介入する
○日本メディアが中国を非難する

6)右派・従米でないと首相になれない日本の政治
 高市首相は、長年にわたり中国を挑発してきた強硬なナショナリストとして育ってきま
した。自民党内で首相になるためには、過去のアジア中国侵略の歴史を反省しない歴史修
正主義者(=右派)であり、かつアメリカに忠実でなければなりません。これが日本の政治
家、官僚育成システムとなりました。中国政府の反撥は、かつて日清戦争で台湾を侵略し
て占領・支配(1895年 〜1945年)し、日本敗戦で撤退しながら今もなお、自らの過去と真
摯に向き合おうとしない日本政府に対する警告なのです。
 高市首相は、台湾をめぐる紛争に日米の「集団的自衛権」を公に結びつけることで、特
にアメリカに向けて政治的得点を得ようとしました。自民党政治家と官僚は、これまでず
っと米国の安全保障の傘に隠れながら、自らを新たな「軍事大国」と見せかける路線を推
し進めてきました。高市もその一人です。

7)しかし、経済的現実はシンプルだ!
 現在の中国と日本の関係も考えるべきです。中国は一発も撃たずに日本経済を壊滅させ
る力をすでに持っています。中国政府は渡航や留学の自粛、海産物輸入を停止しましたが
、今はまだ本格的な制裁を検討する前の段階です。更に貿易制限(特にレアアース)とな
れば、日本経済は莫大な損失を被ります。洗剤やビタミン剤の原材料から便器まであらゆ
る生活物資、リチウム電池、太陽光パネル、EV用モーターや兵器に使われるレアアースは
中国から来ています。レアアースは、ミサイルや最新レーダーなどに使用されているので
、高市発言はレアアースを止める理由に十分相当するでしょう。
 いまや中国は世界の製造の巨人です。日本の対中国貿易は、香港・台湾経由を含めれば
、約30%を占めており、アメリカのほぼ倍です。好むと好まざるとにかかわらず、日本は
いまや中国経済圏のなかにいます。それなのに日本は、アメリカの指示に従い最新半導体
製造装置の中国輸出を禁止してきました。高市首相は何も考えていません。
 この崖っぷちから退く必要があるとすれば、それは日本側です。なぜなら中国がひるむ
ことはないからです。影響は中国より日本側のほうがはるかに大きいのです。
 高市政権がチキンレースを続ける理由は、米軍を駐留させ、米国の核の傘に依存し、外
交政策をワシントンに操られている現在の日本政治の仕組みがあるからです。

8)日本にとって真のリスクは中国ではない
 ワシントンの軍国主義的な軌道に深く引き込まれ、一般の日本国民が望んでもいないし
利益にもならないアメリカの中国戦略の最前線に押しやられるのは日本なのです。このこ
とを多くの日本市民はわかっていません。これがとても危険です。
 高市首相も政府も、「発言は撤回しない」態度をとっていますが、中国との外交交渉を
する力がありません。これまでも「アメリカの核の傘があるから」と「虎の威を借る狐」
として振る舞いながら、外交解決能力は欠けていました。
 ここで浮上する唯一の手段は、アメリカ・トランプ政権に仲介を頼むことです。ジョー
ジ・グラス駐日本米大使は素早く「アメリカは日本と共にある」というメッセージを発し
ました。そもそもアメリカの対中国戦争政策に忠実に従ってきたことで問題を引き起こし
ているのに、アメリカに仲裁を頼めばより危険になります。アメリカへの従属度はさらに
強くなるでしょう。
 アメリカの戦略は、製造大国・中国にはもはや対抗できないので、中国東海岸・台湾で
地域戦争を起こして、中国を弱体化させることであり、その主戦力は日本です。アメリカ
にとって日本は、ウクライナと同じく駒の一つです。アメリカの言うなりの高市政権・官
僚・自衛隊・自民党には、この現実が見えていません。アメリカに依存を深める以外の手
段を持っていません。これは日本国民にとって、本当に危険です。

9)メディアの腐敗!
 日本のメディアは、少しもこの歴史と事実を報道しません。TVワイドショーは日本政府
の立場を擁護する報道しかありません。SNSでも高市支持が大半です。高市首相の支持率
が高い主な理由です。しかも、彼女の熱狂的支持者たちは、観光客(特に中国人)、外国
人、移民への憎悪を吐き出すのが好きです。
 多くの人々に問題がどこにあるのかわからなくしています。
 日中対立はおそらくすぐに解決しません。高市政権は脆弱で、長く続かないかもしれま
せん。ただし彼女の後任が、同じか、もっと悪くなる可能性もあります。そのため、市民
運動の役割は大きいのです。

(2025年12月1日記、ミニコミ誌『インフォメーション』から転載)

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