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LNJ Logo 「会計年度任用職員にも労働基本権を!」訴訟、結審の傍聴を
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情報提供 : 指宿昭一

レイバーネットの皆さま  10月23日(木)11時から、東京地裁530号法廷で、「会計年度任用職員にも労働基 本権を!」訴訟の口頭弁論が行われます。  結審予定です。原告の意見陳述を行う予定です。  口頭弁論終了後(11時30分頃から)、弁護士会館5階・508号室で、裁判報告集会を 行います。  ぜひ、裁判傍聴、集会参加をお願いします。 弁護士 指宿昭一 「会計年度任用職員にも労働基本権を!」訴訟 Call4 HP https://www.call4.jp/info.php?type=items <https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000116> &id=I0000116 2020年4月、「会計年度任用職員」制度が発足しました。それまで「特別職非常勤職 員」として働いていた多くの非正規公務員が、「会計年度任用職員」に切り替えられ ました。政府は、「特別職非常勤職員」と異なり、「会計年度任用職員」には労働基 本権が認められないと主張しています。この訴訟は、憲法で保障された労働基本権を 取り戻すことを目指すものです。 【訴訟を起こすに至った経緯】 当事者の一人であるメアリー・ハンソン・ダガティさんは、1981年6月にアメリカか ら日本にやってきました。ダガティさんは、2003年4月以降、「特別職非常勤職員」 として東京都に任用され、都立芦花高校などで英語の「外国語指導助手」 (Assistant Language Teacher: “ALT”)として働いてきました。担任などを持た ない英語に特化した先生です。ところが、2020年4月、地方公務員法が改正されて 「会計年度任用職員」という制度が導入され、ダガティさんの待遇は一方的に「会計 年度任用職員」に切り替えられました。1年の契約期間が二度更新された後の2023年3 月、翌年度以降の再任用は行わないと通知されてしまいました。 同じく当事者の一人であるアンソニー・ドーランさんがアメリカから来日したのは 1995年9月でした。2015年4月に「特別職非常勤職員」として任用され、以後、「外国 語指導助手(ALT)」として都立高校で勤務してきました。ところが、ダガティさん と同様、「会計年度任用職員」の導入により、2020年4月より期間1年の「会計年度任 用職員」に切り替えられ、やはり2023年3月頃に、翌年度の再任用は行わないと通知 されました。 【原告らが立ち上がった経緯】 ダガティさんとドーランさんは、「特別職非常勤職員」だったころから、外国語指導 助手(”ALT”)の待遇の向上や国籍差別の改善などを求めて、労働組合に加入して いました。この訴訟の原告に名を連ねる「東ゼン労組」という団体の「ALT支部」で す。2人が「特別職非常勤職員」だったころ、ALT支部は2人の雇用主である東京都教 育委員会に対して、非常勤労働者の雇い止め問題について「団体交渉」を申し入れる ことができていました。 「団体交渉」とは、一般に雇い主に比べて立場が弱い労働者が、個別に交渉をしてし まうと不利な条件を押し付けられてしまうことを防ぐため、団体(労働組合)として 交渉することをいいます。憲法28条で保障された労働基本権の内容の一つで、日本で は労働組合法などで認められています。「団結権および団体交渉権条約」といった国 際条約が1949年に発効するほど、古く歴史のある権利です。OECD加盟諸国すべてで認 められています。 ところが、2020年7月、ALT支部が、都教委に対して、新型コロナウイルス感染症の対 策や安定した雇用などを求める内容の団体交渉を申し入れたところ、都教委は、「会 計年度任用職員」には労働組合法が適用されないと主張して団体交渉に応じることを 拒否し、以後、一切の話合いに応じることはありませんでした。ALT支部は、不服申 立機関の東京都労働委員会に救済申立てを行いましたが、2022年7月19日、申立ては 却下されてしまいました。 その後、先ほど述べたようにダガティさんとドーランさんは、2023年3月以降の再任 用を拒否されてしまいましたが、これは、待遇の改善を求めて都教委に対して交渉を 求めたことに対する報復であると感じ、交渉手段が一切ない状況に無力感を募らせて います。 団体交渉という交渉の手段がなければ、労働者は雇い主である都教委や学校から提示 される条件やルールをそのまま受け入れるか、受け入れを拒否して雇用を失うか、と いう二つの選択肢しかなくなってしまいます。2人のような外国語指導助手(” ALT”)の人たちが対等に労働条件の交渉を行うためには、労働組合法が適用されな ければなりません。 「会計年度任用職員制度」の施行によって、非常勤公務員から労働条件の維持向上の 手段が奪われ、もともと不安定・低賃金雇用を強いられてきた非常勤公務員がさらに 不安定な地位に追い込まれた状況を社会に訴え、問題を改善するために提訴を決意し ました。
▲提訴時の様子 【問題の所在】 1.はく脱された団体交渉権 2020年4月1日に地方公務員法と地方自治法が改正される以前は、ALT(Assistant Language Teacher)、図書館司書、消費者相談員、女性相談員、学校給食センターの 職員など、地方行政の現場で働く非常勤職員は、「特別職非常勤職員」(地方公務員 法3条3項3号)とされ、地方公務員法の適用が除外されていました。そのため、「特 別職非常勤職員」は、民間の労働者と同様、労働基本権を有する労働者として、団結 権・団交権・争議権を行使することができ、労働委員会の制度を利用することもでき ました。 ところが、「会計年度任用職員」制度が発足したことにより、それまで特別職非常勤 職員とされてきた多くの非正規公務員は、一般職の会計年度任用職員に一方的に切り 替えられ、これまで保障されてきた団体交渉権を行使することができなくなりまし た。 ALT支部などの組合は、「会計年度任用職員」制度発足前は、組合員に関する雇止め 問題について東京都教育委員会と団体交渉を行い、実質的に雇止めを食い止めるなど の成果を挙げてきました。ところが、法改正によって、団体交渉権をはく奪されてし まったため、雇止めや労働条件に関する団体交渉を行うことができなくなりました。 労働組合は、憲法28条の保障する団体交渉権に基づき、使用者と労働条件について交 渉を行い、就業規則や労働契約よりも強力なルールである労働協約を締結することの できる権利を保障されています。団体交渉権がなければ、労働者が使用者の定めた労 働条件に不満があったとしても、個人で交渉する以外の選択肢はなく、使用者の定め たルールに従うほかないのが現実でしょう。 2.非常勤公務員の不安定な地位 ところで、定年までの雇用が保障された常勤の公務員に対する労働基本権の制限の合 憲性が問われた事件で、最高裁判所は、労働条件確保のための人事院勧告制度が存在 することを合憲性の根拠に挙げています。しかし、非常勤の公務員は、常勤の公務員 と比べて極めて低い賃金しか支払われず、人事院勧告制度は実質的に機能していませ ん。また、民間労働者であれば適用される労働契約法の適用もないため、有期労働契 約更新への期待権は認められず、不安定な地位に置かれていることは、大きな社会問 題になっています。 このような中、団体交渉権は、非常勤公務員の労働条件や雇用の安定を図るために行 使できる最大の武器でした。それを一方的にはく奪する今回の法改正には大きな問題 があります。 【訴訟を通して実現したいこと】 「会計年度任用職員」制度の施行前には、民間の労働者同様の団体交渉権を認められ てきた特別職の非常勤職員は、一般職の会計年度任用職員へと任用替えされたこと で、団体交渉によって労働条件を向上させる手段を奪われてしまいました。今回の裁 判は、原告の組合員だけの問題ではなく、62万人に上る「会計年度任用職員」全体の 問題であると言えます。 「会計年度任用職員制度」は、非常勤公務員の労働条件の改善を目指して創設された 制度であるものの、実際には、労働条件が改善したという報告はほとんどなく、非常 勤職員から労働基本権を奪い、さらに不安定な地位へと追い込む結果となっていま す。 今回の裁判を通して、非正規公務員の置かれた状況に焦点を当て、その労働基本権の 確保と労働条件の改善に繋げたいと考えています。

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