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岸田首相の米議会演説を「日本国民」はどう聞くか

2024年04月13日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会
   

 岸田文雄首相は12日(日本時間)、米議会上下合同会議で演説しました。支持率22%(朝日新聞の3月世論調査)の首相の言葉に重みはありませんが、対外的には日本を代表する者の演説です。軽視することはできません。
 岸田氏は何を表明したのか。特徴的な言葉を抜き出してみましょう(12日付朝日新聞デジタル・演説全文より)。

「米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。そして必要なときには、より良い世界へのコミットメントを果たすために、尊い犠牲も払ってきました」

「この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています」

「日米同盟の抑止力の信頼性と強靱性を維持するために、日米間の緊密な連携がこれまで以上に求められています」

「世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません」

「日本国民は、自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります」

「今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。私は隊員たちを称賛し、感謝し、そして、隊員たちが両国から感謝されていることが、私たちの総意であると知っています」

「日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります」

「日本は長い年月をかけて変わってきました。第2次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました」

「今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止によって強化されています」

「日本は…ウクライナに対し、対無人航空機検知システムを含む120億ドル以上の援助を表明してきました。このシステムの供与は、NATOによる支援策の一環であり……そう、日本は、地球の裏側にあるNATOとも協力しているのです」

「日本はかつて米国の地域パートナーでしたが、今やグローバルなパートナーとなったのです。日米関係がこれほど緊密で、ビジョンとアプローチがこれほど一致したことはかつてありません」

「日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたいと思います」

「「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます」

 米議会での演説ですからアメリカを賛美するのは当然でしょうが、それにしてもこれはひどすぎます。戦後、アメリカが覇権主義によっていかにアジア、世界の「自由と民主主義」を破壊してきたか。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク、アフガン、そして沖縄の実態をみるだけで明白ですが、それらは一切捨象され、美化されています。

 そして、自衛隊と米軍の一体化に賛辞を送り、アメリカの核の脅しである「拡大抑止」への期待をあけすけに表明し、中国、ロシア、朝鮮民主主義人民共和国への敵意をむき出しにしています。

 「グローバル・パートナー」とは、アメリカに全面的に追従する日米運命共同体のことです。

 かつて中曽根康弘首相が「日本列島不沈空母」「日米運命共同体」と口走ったときは国会で大きな問題になりました。さらに70年代には「専守防衛」を掲げる自衛隊の行動範囲はどこまでなのかという線引きが論争になりました。

 しかし今や、それらは一切問題にされず、自衛隊と米軍の一体化・軍事同盟は、線引きどころか、「地球の裏側」までまさに「グローバル」に広がってきています。
 問題は、それらがメディアでも、国会でも、問題にされることがなくなっていることです。

 これが日米安保条約=日米軍事同盟の実態です。岸田氏は「この先もそうであり続ける」と同盟相手国の議会で宣言(公約)したのです。

 それでいいのか。このまま沈黙してアメリカとの運命共同体に身を任せていいのか。そんな社会を子孫に残していいのか。問われているのは主権者である「日本国民」です。

Created by sasaki. Last modified on 2024-04-13 06:55:12 Copyright: Default

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