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LNJ Logo 香港:基本法23条の立法に関する香港レイバーライツモニターの声明
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〔レイバーネット国際部・I〕

香港からイギリスに逃れた労働組合活動家らが運営する香港レイバーライツモニター(香 港勞權監察)による香港基本法23条立法化に関する声明です。 中文 https://x.gd/tuRB8 英文 https://x.gd/NesFj 香港基本法の第23条では「香港特別行政区は自ら法律を制定し、中央人民政府に対する反 逆、分離、扇動、転覆、または国家機密の盗用の行為を禁止し、外国の政治組織や団体が 地域で政治活動を行うことを禁止し、また地域の政治組織や団体が外国の政治組織や団体 と連携することを禁止しなければならない」と定めており、中国政府は1997年返還当初か ら、同条文を立法化することを香港政府に求めてきました。 2003年には法制化に反対する香港市民50万人のデモによって政府の目論見がくじかれまし たが、2019年の香港の反乱に対する弾圧と2020年の国家安全維持法の制定を経て、今日の 制定に至りました。香港レイバーライツモニターは、同法の制定によって労働組合の争議 行為もまた国家安全の範疇に組み込まれることになり、国際活動を含めて制限される危険 性が高まったと批判しています。(稲) ============== ◆香港基本法23条の立法に関する香港レイバーライツモニター(香港勞權監察)の声明 【23条の立法は香港を全体主義の奈落に追いやり、市民的権利と労働組合の権利を著しく 侵害する】 2024年3月20日 我々は、香港政府が議論なき立法会議と結託して、基本法第23条【※】に基づく国家安全 保障に関する法案を乱暴に可決し、すでに壊滅的な打撃を受けている市民的自由と労働組 合の権利をさらに抑圧したことを強く非難する。 この基本法23条にもとづく立法は多くの論議が必要な多くの問題に関連するが、その立法 プロセスは非常に性急で、わずか1ヶ月の審議期間しかなく、反対意見を表明した団体や 人々は無差別に中傷され、レッテルを貼られた。これでは、コミュニティにおけるオープ ンで理性的な議論にはつながらない。さらに重要なことは、この法案が実質的な民主的監 督や権力のチェック・アンド・バランスなしに、傀儡的な立法府によって極めて迅速に審 議、可決されたことである。 2020年に香港国家安全維持法が施行されて以来、少なくとも11人の労働組合員を含む270 人以上が国家の安全を脅かしたとして逮捕・起訴された。多くの労働組合や市民団体が強 力な政治的圧力によって解散や活動停止を余儀なくされ、労働者主導のデモ行進が中止・ 禁止され、一部の異論派や労働運動活動家が海外で指名手配されるなど、状況はすでに非 常に深刻である。 今、香港政府は、国家の安全を守るという名目で、より広い影響範囲とより厳しい政治的 恣意性を持つ基本法23条を立法化することで、香港をさらに全体主義社会の深淵に追いや ることになるだろう。 第一に、基本法23条の法制化は法執行者に思想警察としての権限を与え、思想と言論の自 由を締め付けが強化される。 同法に含まれる「扇動的意図」という容疑は英植民地時代 から引き継いだ古い遺産であり、現代社会における言論の自由という国際基準に合致して いないことは明らかである。香港政府がこの時代遅れの法律を援用し続けることは、「意 図」だけで犯罪が成立し、罰則の最高刑を懲役10年に大幅に引き上げるものであり、地域 社会を委縮させるに違いない。容疑の中には「香港特別自治区住民の異なる階層間の憎悪 や敵意を引き起こす意図」も含まれておりお、労働組合や労働団体の労働争議がこの法に 抵触する可能性が常に生じることになる。近年、政府が言論の自由を攻撃するために「扇 動」罪を利用する例が多く、例えば、3冊の児童向け絵本を出版した香港言語療法士組合 の5人の組合役員が1年間拘留され、19カ月の実刑判決を受けた。より厳しい法律の成立に より、人々の思想や言論に対する統制は今後ますます横行するだろう。 第二に、新法は組織化と結社の自由にも深刻な脅威を与え、労働組合を含む市民社会の空 間を大幅に狭めている。 新法は保安局局長[警察庁に当たる組織で、現在の李家超行政 長官は同局長出身]に対し、「国家の安全を脅かす」という極めて曖昧な理由で、香港に おけるすべての団体の活動を禁止し、違法と宣言する大幅な権限を与えている。この条例 はまた、当局はすべての組織体に対して、その構成要員、業務、財務に関する情報を警察 に提出するよう求める権限を与えており、組織のプライバシーと独立性を著しく侵害して いる。同法の立法化は、現行の「社会団体条例」[英植民地時代に制定された民間団体を 規制する法律]を改正し、その適用を労働組合組織にまで拡大するもので、新たに追加さ れた政治的統制に関する条文すべてが労働組合に拡大されることになる。 さらに、新法が新たに導入した「域外干渉罪」は、香港の労働組合組織と国際的な労働組 合組織との正常な交流や接触を脅かすことになる。同法におけるいわゆる「域外勢力」の 定義は広範かつ曖昧で、外国政府やその機関だけでなく、あらゆる「国際組織」や「香港 外で政治的目的を追求する組織」も含まれるため、外国の労働組合や海外の労働組織はす べて「域外勢力」の定義に含まれる可能性がある。さらに、この容疑に抵触するためのハ ードルは極めて低く設定されており、香港の労働団体が国際的な労働組合と協力し、香港 の労働権や人権状況を批判するコメントや調査を発表し、その批判内容が香港当局により 「不正確または誤解を招く」と見なされた場合、新法に抵触する可能性がある。また、香 港の労働組合が多国籍企業との労働争議に関与し、外国の労働組合の支援を求め、その過 程で経営側に「精神的ストレス」や「名誉毀損」を与える可能性がある場合も、犯罪を構 成する可能性がある。このような曖昧な犯罪構成要件は権力者が法律を悪用する余地を与 え、香港の労働組合がそのプレッシャーから国際的な労働組合組織との交流や協力を断ち 切らざるを得なくすることにつながる恐れがある。 香港は国連の国際人権および労働権にかかわる多くの条約に加盟しているため、これらの 条約の加盟地域としての義務を果たすべきであり、市民の権利と自由の保護は国際基準に 沿ったものでなければならない。香港国家安全維持法の施行後、国連の自由権規約人権委 員会は審議報告書を発表し、香港における国家安全維持法と扇動罪は人権規約に反してお り、反対意見を弾圧する道具になっていると明言し、香港政府に対して関連条例の公布の 停止と廃止を求めている。しかし、香港政府はこれを無視するばかりか、粗暴なやり方で 国家の安全保障に関する法令の適用範囲をさらに拡大し、人権を抑圧することで、自由権 規約人権委員会の提言に逆行している。 我々は香港政府に対し、基本法第23条にもとづく立法を直ちに撤回し、自由権規約人権委 員会が香港政府に対して行った提言を履行するよう強く要求する。 香港レイバーライツモニター

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