渡部通信(3/20) : 明けない夜はない(239)
<政府の行為によって再び戦争の惨禍が>
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3月15日、自民・公明両党は次期戦闘機の第三国への輸出について合意した。
3月26日にも閣議決定する方針だ。
その内容は、
・次期戦闘機の共同開発を「我が国の安全を確保する上で中核となる」
・輸出に際しては「個別案件ごとに閣議で決定する」
とあり、輸出の対象国は以下の15か国だ。
<アメリカ><イギリス><フランス><ドイツ><イタリア><スウェーデン>
<オーストラリア><インド><シンガポール><フィリピン><インドネシア>
<マレーシア><ベトナム><タイ><UAE=アラブ首長国連邦>
いずれも親欧米日諸国である。ここでスエーデンが入っているのは、最近中立をやめ
NATOに入ったからだろう。またベトナムが入っているのは対中国包囲網に有利だと
考えているからだろう。
ところで、岸田政権発足以来、日本の軍拡は段階を画して進み、
「新しい戦前」とまで言われるようになって来た。
とりわけ、2022年12月に閣議だけで決定した「安保関連三文書」
はその大きな転換点になった。そこでは「仮想敵国」として、
公然と中国やロシアや北朝鮮が述べてあり、そのための
「敵基地攻撃能力の保有」や「防衛予算の倍増」が語られている。
さらに「国民 が我が国の安全保障政策に*自発的かつ主体的に*
*参画*できる環境を政府が整える」とまで述べてある。
それ以降の軍拡は「台湾有事」を前面に出し急ピッチで進められ、
今回の武器輸出での閣議決定になろうとしている。
私も属する「都教委包囲首都圏ネット」主催の今年の『2・12総決起集会』で
大内裕和・武蔵大学教授は、沖縄・南西諸島の軍事要塞化について、
「これは戦争準備というより、戦争実行体制だ」と述べた。
まさにそうである。
今では、大分などにも大きなミサイル弾薬庫が作られつつあり、
昨年11月29日に屋久島沖に墜落した米軍のオスプレイが、
事故原因や再発防止策について説明もないまま3月14日に飛行を再開している。
それだけ戦争が近いということだろう。
そうした中で、自民党の麻生氏は昨年8月に台湾を訪問、
講演で「台湾有事」に言及、「戦う覚悟を持て」と述べた。
また今年1月にはアメリカを訪問し、
「(台湾海峡有事は)日本の存立危機事態
<https://www.asahi.com/topics/word/%E5%AD%98%E7%AB%8B%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E4%BA%8B%E6%85%8B.html>
だと日本政府が判断をする可能性が極めて大きい」
と述べている。これは「安保関連三文書」に書かれていることを
具体的に言ったもので、麻生氏個人の考えではない。日米で共有している認識だ。
そして、これらの麻生氏の発言を受けて、
岸田首相は、4月10日に訪米しバイデン大統領と会談する。
中身は「台湾有事の際にどうするか」になるのは目に見えている。
他でもない戦争を前提にした話し合いである。
しかし、日本は戦後、戦前の反省を踏まえ「平和憲法」を制定した。
その前文には
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、
・・・この憲法を確定する」と書かれた。
そして9条には「戦争は永久に放棄する」、
そのために「戦力は持たない」「交戦権を認めない」と書かれた。
しかし、この間安倍政権や岸田政権がやってきていることは
全く正反対のことばかりだ。憲法を完全に無視し、踏みにじっている。
しかも国の最高機関である国会で決めるのでもなく、
閣議だけで次々と決めていく。
これは「民主主義」でもなければ「法の支配」でもない。
<強権政治>であり<ファシズム>である。
そしてその行き着く先は、
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が」起きることになるだろう。
そういえば大内さんの演題は、
<21世紀ファシズムと戦争にどう立ち向かうのか>だった。
現在、困難な中ではあるが、
日本各地でこうした「戦争実行体制」に反対する闘いが続けられている。
私が住む東京杉並区でも「9条の会」や「1000人委員会」などが
粘り強く街宣を繰り返している。
またそれらの団体が参加する『9条変えるな!杉並市民アクション』が
講演会やデモ、街宣などを続けてきている。
来る3月24日には、『9条変えるな!杉並市民アクション』主催で、
<新しい戦前にさせない杉並集会>が開かれる。
講演者は、一橋大学名誉教授・渡辺治さんである。
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