渡部通信（1/18） : 「学習指導要領」は法律ではない

渡部通信（1/18） : 
明けない夜はない（229）＜「学習指導要領」は法律ではない＞
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「毎日新聞」（2024年1月18日）に

「奈良教育大付属小で不適切授業 9教科・活動で授業時間不足など」

の記事が出た。しかし、「学習指導要領」は法律ではない。
また、どうしてこんなことが大々的に叩かれるのか。
まるで、犯罪者扱いだ。

「学習指導要領」はあくまでも「大綱的基準」である。
それを文部省は一方的に「法的性格」を持つとしてきた。
それに対し、日教組に結集する教職員たちは、
それは戦前の教育に戻ることだとして強く反対してきた。

しかし、1995年、日教組中央は文部省との「パートナー路線」を歩み、
以下の下の五項目について闘いの旗を降ろした。
①「日の丸・君が代」
②学習指導要領
③職員会議
④官製研修
⑤主任制
その結果、1999年「日の丸・君が代」は法制化された。
2006年には教基法が改悪され「愛国心」と
「教育振興基本計画」がもりこまれた。
そして、幼児教育から生涯教育までそれで貫かれるようになり、
文科省は学習指導要領は「法的性格」を持つと強調するようになった。
その結果、総ての教育内容は統制され、
「国家主義教育」が貫徹されるようになった。

そして教育の自由は全く封殺され、
今回の奈良教育大付属小のような炙りだしが
行われる所まで来たといえよう。
「パートナー路線」と「五項目」合意が
いかに罪深いものだったかということである。

日本はもはや「民主主義国」でもなければ
「人権」を守る国でもなくなってきている。
それに代わり、ファシズムと貧困と戦争の社会になりつつある。
それは、至る所にみられ、金持ちや権力者は威張り、
多くの弱き者は苦しい日々を送る戦前のような社会になってきている。

しかし、戦前、それは行きつく所まで行き破綻した。
そして戦後の「民主的な社会」「民主的な教育」に生まれ変わった。
それを自民党は一貫して壊し、安倍元首相は公然と
「戦後レジームからの脱却」とのべ、
「教育基本法」を改悪、「戦争法」を強行、
日本を戦前のように戦争のできる国にした。
そして、岸田首相はさらにその道を暴走し、
行きつくところまで行くつもりだ。
だから、今後も同じような破綻の運命をたどるだろう。

なぜなら、すでにこうした「国家主義教育」の下で、
多くの教職員は苦しみ、教員になる若者さえ少なくなり、
実質的な教育破綻が起きているからである。
また、教える内容も全国一律で、
何よりも「日の丸・君が代」や「道徳」などが第一で、
実生活に基づいた批判的精神や
科学的思考は二の次になっているからである。

その結果、「君が代」を歌えないといった中学生に、

管理職は「他の子どもたちの迷惑になる」「歌っているふりをしなさい」
などと述べている。これのどこに道徳があるというのか。
卑劣な人間になりなさいと述べているようなものだ。

旧教育基本法の第1条（教育の目的）には、
「*教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、*
*真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、*
*自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行なわれ*
*なければならない。*」と述べてある。

これに照らせば、現在行われている教育は、
この高い理想を失って、いかに貧しく、
内容のないものになっているかが分かる。
そして、先ほど紹介したような管理職でなければ、
管理職にはなれないようになっているのである。
やれやれ、本当に落ちたものだ。
だから、こんな人間や学問をを馬鹿にしたような教育は、
決して長くは続かないだろう。

そもそも、学問を法律で決めることなどできはしないのだ。

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