小泉、河野は徹底批判すべし〜労働時間規制の緩和が重要なテーマ

東海林智（ジャーナリスト）

　自民党の総裁選は、総選挙へ向けた事前運動でしかなくなってきた。９人も候補が出ていて、テレビは公職の選挙ごとく、候補の主張を等分に報道するもんだから、日々のニュースの大きな部分を占めている。実質的に首相を決める総裁選と言っても、好き勝手に出来もしないホラ話を打ち上げる。散々ホラ話を聞かされたあげく、自民党が刷新されたような印象を付けられ、衆院選に持ち込もうという腹だ。最も露骨なのは、小泉と河野。小泉などは総裁（首相）になったら、「できるだけ早く総選挙」と露骨に、そして、はしゃいでいる。何もせずに、あなた方のホラ話に投票しろというのか。野党と論戦もせずに、選挙に持ち込むのだという。ボロが出る前に、だまくらかして選挙へ向かうわけだ。

　その小泉が言っているのは、「労働者の働き過ぎを防ぎ、健康を守るのは当然だが、現在の残業時間の規制は、原則として月45時間が上限。企業からも、働く人からも、もっと柔軟に働けるようにしてほしいという声がある」という現行の労働時間規制の見直しだ。まず、一つ。労働時間の原則は１日８時間だからね。にしても、この人の父親が、規制改革と言って、非正規労働者を増大させ、労働者を分断し、正社員には長時間労働で過労死・過労自死を強いてきたことに一切の反省もなく、父親ばりに規制緩和を口にする。小泉が経団連会長と話して、合意したのは、選択的夫婦別姓ばかりでなく（これは出来レース）、実は労働時間規制の緩和が重要なテーマだったことが、もろばれた。

　経団連は、政府と機を一つにして労働基準法の規制緩和を画策中だ。労基法の規制からのデロゲーション（適用除外）を使用者と労組や労働者個人との〝合意〟でできようにしようと画策している。小泉が言っているのはまさにそういうことだ。「柔軟に働けるようにしてほしい」という、労働者からの要求は「死ぬまで働きたい」という要望か？。

　この世間知らずぶりは、河野太郎も同じだ。解雇規制緩和をして雇用を流動化すると。雇用の流動化は自民党がこの間、散々やってきたことだろう。労働を商品のように扱い、働く者の尊厳を奪ってきた。金を払えば、解雇できる制度を作り、流動化を進めると今更言う。

　この二人に共通していることは、政治家一家に生まれ（そのことは本人のせいではないけどね）、ろくに働きもせずに政治家になったってことだ。せめて、労働者の話を聞けよ。（同氏のFB投稿より）