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改悪入管法施行にあたっての声明文

2024年6月9日

入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合

代表 指宿 昭一

 昨年6月に成立した改悪入管法が、6月10日に施行されます。

 入管にますます強大な裁量権を与える改悪入管法は、その施行によってこれまで以上に難民や非正規滞在外国人に対する人権侵害を引き起こしうるものです。その内容は、ー国に送還されれば命の危険がある難民申請者の強制送還を可能にする送還停止効の例外規定、監理措置制度によって収容を解いた外国人に対する監視と管理の強化、A還拒否に対する罰則規定などです。

 私たちがこれに対抗し闘っていくためには、これらの改悪をどうして入管が行なったのか、その狙いと背景をふり返っておく必要があります。

 今回の入管法改定に政府が着手したのは、2019年6月に大村入管センターでナイジェリア人被収容者Aさんがハンガーストライキのすえに餓死した事件をきっかけにしてのことでした。Aさんのハンストの背景には長期収容があり、その痛ましい死により入管の長期収容問題があらためて注目されました。

 Aさんを長期間(3年半もの間)にわたり収容したのは入管です。入管は仮放免等の措置によりAさんを収容から解放することもできましたが、そうしませんでした。収容の継続・長期化は入管の政策・方針がもたらしたものであり、その責任はもっぱら入管にあります。

 ところが、入管はこの事件の後、「送還を忌避する者」の存在が「迅速な送還に対する大きな障害になっているばかりでなく、収容の長期化の大きな要因になっております」(2019年10月1日、法務大臣の記者会見での発言)として、長期収容の責任を「送還を忌避する者」に転嫁しました。そして、どさくさに紛れて、入管にとって送還をもっとやりやすくするための法改定をくわだてたのです。

 そもそも、長期収容は、入管が意図的にもちいてきた送還促進の手段です。監禁して自由を奪い、精神的肉体的な苦痛を与えることで帰国を強要する目的で、入管は収容を長期化させてきたのです。入管は従来からこうした人権侵害をともなう犯罪的手法によって送還を促進しようとしてきたのであって、しかしそれでも帰国しない人を「送還忌避者」と呼んでいるのです。

 この「送還忌避者」と入管の規定する人びと(入管庁の公表する資料によれば2012年から現在にいたるまで3,000から4,000人の間で推移しています)を、もっぱら送還の促進によって減らしていこうという方針を入管庁はとってきました。この「送還一本やり」と呼ぶべき方針によって、入管は収容を長期化させ、その過程で先述のAさん餓死事件や名古屋入管におけるウィシュマさん死亡事件を引き起こしました。死亡にいたらなくても、長期間にわたる、あるいは仮放免を経ての再収容・再々収容によって、心身を病み、収容を解かれた後もうつ病やPTSD等の症状に悩まされている人は少なくありません。

 過酷な長期収容を経て、また無権利状態と言える仮放免での生活を強いられて、それでも帰国しないのは、自国に帰れば命の危険がある、あるいは家族が引き裂かれる、生活基盤がもはや出身国にはないなど、それぞれ帰国できない深刻な理由があるからです。そうした人びとについて、きわめて狭い範囲でしか日本での在留を認めず、徹底的に送還によって排除しようという入管の方針は、実現不可能であることがすでに明らかです。改悪された入管法のもと、今後も入管がこの方針に固執するならば、収容死をふくむおびただしい数の深刻な人権侵害がくり返されることは避けられないでしょう。さらに、改悪法によっていっそう強大になった入管の裁量により、難民や非正規滞在者にとってこれまで以上に深刻な事態が生じることも考えられます。

 そうならないためには、入管を送還一本やりの方針から転換させなければなりません。つまり、入管が「送還忌避者」と言っている人びとについて、もっぱら送還によって排除しようとしている現在の方針を断念し、より広範にその在留を正規化していくことで問題を解決していこうという方向に転換するよう、私たち市民が連帯して働きかけることです。

 それはひとつには、現在きわめて厳しい在留特別許可の基準を大幅に緩和することです。もうひとつには、国際標準での難民認定を行ない、難民として認定すべき人を適正に認定していくことです。そのように入管の制度運用を変えさせる、あるいは正常化させる闘いが、改悪入管法下ではいっそう必要になります。

 入管行政が送還一本やり方針から脱却し、在留を認められるべき人たちが在留資格を得て安心して暮らしていけるようになるために、私たちは今まで以上に、難民などの当事者、そして全国各地で展開された入管法改悪反対アクションを共に闘った様々な分野の支援団体、市民、学生、専門家と手を取り合い、入管の人権侵害と闘っていきます。

 入管の収容施設での人権侵害は「密室での人権侵害」と呼ばれてきました。しかし、そこは「密室」とは言えなくなりつつあります。収容された当事者が継続的に声を上げてそこでの人権侵害を告発してきたこと、その声を受け取った市民らがそこでの実態を問題化すべく行動したことで、近年、入管に対して厳しく批判的な目を向ける人の数は飛躍的に増えました。入管がみずから行なう人権侵害を隠し通すことはますます難しくなっているのです。

 そうした状況を生じさせたのは、無理な送還一本やり方針に固執することで、長期収容下で隠しきれないほどのおびただしい人権侵害事件をつぎつぎに引き起こした入管にほかなりません。改悪された入管法で強化された裁量を武器に、入管が今後とも同じ方針を続けようとするならば、その過程で不可避に生じる深刻な人権侵害はたちまち暴露され、これを許さない怒りの声が国内外であがり入管を包囲するでしょう。

 道理はわれわれにあります。連帯して共に取り組みましょう。

以上


Created by staff01. Last modified on 2024-06-10 11:30:01 Copyright: Default

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