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LNJ Logo 報告 : 経済安保が社会を壊す! 参議院議員会館で緊急集会
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戦争遂行のための治安法「経済秘密保護法案」に反対しよう!

根岸恵子

 十分な議論も審議もされないまま、衆議院であっさり通過してしまった「重要経済安保情報保護法案」(経済安保)。民間企業の従業員にも身元や思想に関わる調査を義務付ける「セキュリティ・クリアランス」を含む経済版の秘密保護法だ。これによって戦争ができる国へとまた一歩進んでしまう。4月25日、この法案に対し、反対集会が急遽「経済安保法に異議ありキャンペーン」主催で行われた。広い会場に多くの人が集まって、報告者の話に耳を傾けた。

 この日の報告者は、東北大学名誉教授で科学史・技術史が専門の井原聡さん、弁護士で現日弁連秘密保護法・共謀罪対策本部副本部長、秘密保護法対策弁護団共同代表の海渡雄一さん、ジャーナリストで市民バイオテクノロジー情報室代表、日本消費者連盟顧問の天笠啓祐さん、名古屋経済大学名誉教授で日本経済史が専門の坂本雅子さん。

 経済秘密法案は4月9日、わずか20時間の審議衆議院本会議で採決された。軍民共用技術に携わる大学や民間企業の研究者や技術者の身辺調査を内閣府の職員が行う。その際性的志向や飲酒の有無などプライバシーの侵害に当たることまでが調査の対象となりうる。また、家族や同居人の名前や生年月日、国籍等まで調べられ、どこまでが調査の対象なのかは不明。これは戦前の国家総動員法と国家総動員秘密保護法規定に相当し、秘密保護法や共謀罪と共に戦争遂行のための治安法に他ならない。

 井原さんは「これは学術会議を引き込み、大学改革と称し政界財界人が大学をガバナンスし、学術会議を政財界のシンクタンクとし、経済の国家統制化の仕掛けをつくる。戦争準備する国づくりに待ったをかけたい」と述べた。

 海渡さんは法案の問題点を挙げ、「情報の集積と秘密化を可能とする仕組みは、全ての情報を内閣総理大臣のもとに一元化するもの。数十万人の身元調査ができる仕組みが恣意的に運用されれば全国民が調査可能となる。日本社会を監視社会化し、表現の自由に対する委縮効果をもたらす可能性がある」とこの法案の危険性を訴えた。

 天笠さんは、国家安全保障体制の総合化への流れを時系列にあげ、安全保障が国民の日常生活まで入り込んできた、安全保障は国民を守るものでなく、国を守るもので軍が行動するのを保障するもの。国全体が戦争できる体制にするための有事体制づくりの経緯を述べた。例えば、海洋基本法は、海を守ってきた漁民を排除するのが目的。「緑戦略」は企業の行う農業がこれからは主役になること、民間企業を農業に組み入れハイテク化(ゲノム編集、植物の工場化)を目指している。食料・農業・農村基本改正案は、食糧安全保障政策を前面に掲げ、非常時国が農家に指令ができる。セキュリティ・クリアランス法案を含め、戦争に向かう法案。国民一人一人が犠牲になる。これらの法案は絶対に阻止すべきものだと訴えた。

 最後に坂本さんはオンラインでの参加。この法案は米国に呼応したもの。米国の戦略に乗っかって、米国が世界の覇者であり続けるための中国を排除する目的。日米で先端技術の共同開発を行うのに、これは非公開となり、日本にも秘密にされてしまう。米国の縛りによって日本の経済、企業発展がどうなるのかと危惧する内容。

 報告の後、会場との質疑があり、最後に会場に参加した人が全員「経済秘密保護法案に反対します」のボードを掲げて終わりとなりました。

 経済安保法案は連休明けにも参議院を通ってしまう可能性もあり、何とかもっと声をあげて廃案にしたい。そのために国会前行動が5月7日と9日に行われる予定。また共同テーブルなど各団体でも集会が開かれる予定。ぜひ参加して、声をあげていきましょう。


Created by staff01. Last modified on 2024-04-27 10:33:15 Copyright: Default

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