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LNJ Logo 関西生コン労組つぶしを許さない東海の会:名古屋で交流集会開く
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●3月20日、名古屋での関生支部組合員との交流集会、55名が集う

7人無罪、コンプライアンス・ビラまき事件判決が問う表現の自由と刑事弾圧

愛知連帯ユニオン

 名古屋市熱田区の労働会館で開催された「関西生コン労組つぶしを許さない東海の会」主催の表記のテーマの集会は熱気のこもった発言、質疑が続き、関生支部組合員と支援の団結を一層強く打ち固めるものになりました。

 集会は植木事務局次長の司会で始まり、石田好江共同代表が「この2・6判決には私も大津地裁に行き、前段集会にも参加した。前段集会では発言者がみな、『今日の判決には期待できないが』と言っていたが、7人が無罪となった。その判決の解説をしてもらいます。今日、もうひとつは高槻生コンの事務員部会の女性組合員が発言する。事務員部会の会報を読んだが、労働組合が人間を成長させ、人間の信頼を回復させる機関だということが良く解る内容だった。楽しみにしています。」と挨拶しました。

 次に同じく会の共同代表の中谷雄二弁護士が5ページのレジュメを作成し、2・6大津地裁判決の意味を端的に解き明かしました。冒頭、中谷弁護士は、「無罪判決というのは普通、相当の説得力があるものだが、全然それがない。レベルが低い酷い判決。起訴されたから有罪だろうというこのような裁判官を相手に7人の無罪を勝ち取ったのは、法廷内外で相当の闘いがあったのだろうと思う。」と述べました。次に事件の概要と被告9名のうち7名無罪と有罪となった2名の判決内容を紹介、共謀共同正犯が安易に拡張される傾向がある中で大阪の7名について共謀が否定されたのは闘いの成果である、しかし判決の内容は極めて問題があり、犯罪の構成要件該当性だけが判断され、労組法1条2項の違法性阻却については全く判断されていない、と判決の問題性の核心に迫りました。

 続けて中谷弁護士は以下のように指摘し、判決の問題点を具体的に指摘しました。

「労働組合の本来の役割は、団結の威力を背景として、経済的自由に対する制約を求めること(実質的な対等の回復)にあるのだが、この判決は、本来企業が自由に決定できる事項を労組の団結の圧力や威力によって変えようとする活動は全て、「正当行為」にならないという論理となっており、本来検討すべき、コンプライアンス活動が労働者の経済的地位の向上に役立つかという観点を完全に欠いた議論になっている。」

「コンプラ活動を違法ではないとした大阪高裁星山決定について(コンプラ活動等が)必要以上に反復・継続する場合には、違法な業務妨害行為と評価すべき場合も生じ得るとしているなどと言及しながら、星山事件決定が68回のコンプライアンス活動を適法と評価しているにもかかわらず、大津地裁判決は約1ヶ月間で9回のコンプラ活動を違法としている。」

「近代刑法の罪刑法定主義とは主観的判断を排し、内心の理由だけで処罰してはならないとするものであり、法律家たるのも、条文に照らして規範を設定し、違法性を判断するものであるが、大津地裁判決は、行政や警察に通報するといった本件コンプラ活動について『指摘された事項の多くは、その中に一部それ自体は正当な指摘があったとしても即座に是正しなければならないようなものとは認められないし、社会常識に照らし軽微といわざるを得ない。仮に一定の違反があったとしても、その是正を求める手段として不穏当であり、企業にとって、強い心理的圧力を与えるものといえる。』等としている。」

「平穏なビラ配布は、憲法21条の保障の下にあり、名誉毀損等の違法な場合(最高裁判例−公益目的・公共性・真実or真実と信じるにたる相当な理由を持たない場合)のみが例外とされているが、大津地裁判決はこの点は全く判断していない。」

「関生を削るという取調検事の発言、組合をやめることを繰り返し求める取調刑事の発言、組合に残れば逮捕するし、組合を脱退すれば逮捕しないというあからさまな対応、大津地裁判決は検事発言を問題とせずに公訴権濫用に当たらないとしている」
 と大津地裁判決の欠陥を全面的に明らかにしました。

 そして、中谷弁護士は、関西生コン事件−なぜその理解が広がらないかと問題提起し、その要因として、(1)企業内組合が当たり前の意識 (2)長らくストライキ、ピケッティングなどの闘争を目にしないことによる実力闘争に対する違和感 (3)忘れ去られた他企業への要請・背景資本攻め(4)労働組合が自らの権利を、雇用関係がある使用者にしか権利行使が許されないという使用者側の論理・権力側の判例法理に屈すること を挙げ、これらを打ち破るべく、今こそ抵抗の時ではないのか?と結びました。

 第2部では関生支部の組合員4人の発言がありました。

 大浜資材分会の赤川執行委員は物心両面に渡る支援にお礼を述べた後、2月6日の大津地裁判決について、「そもそもコンプラ活動やビラまきといった労組の当たり前の活動など事件にもならないものを事件とした弾圧で無罪は当然、しかし、声を上げなければ7人が無罪になることはなかった」と指摘、「和歌山事件では大阪高裁が産業別労働組合の行動権を認める画期的な勝利判決があり、私たちは行動を強めているが、これに対して、大阪広域生コン協同組合は、私の職場である大浜資材他3つの会社に対して連帯の組合員を排除するように通達、会社の呼び出しに私が組合脱退を拒否すると翌日から自宅待機となった。裁判と労働委員会では判決と命令待ち、他の2職場は会社に謝罪させたり、不当労働行為の認定を勝ち取ったりしています。」と職場闘争について報告、「闘いの毎日を送り、大阪広域協組が態度を改めるまで頑張りますので、引き続きご支援をお願いします。」と結びました。

 続いて大浜資材分会のT分会長が発言、「『組合を辞められないなら仕事はさせられない』と言われ、自宅待機下での闘いを続けている。2013年に組合加入、劇的に労働条件が良くなるかな、と思ったが、自分でできることをやることが大事と気づき、組織拡大などに取り組んできた。今回の弾圧は関生支部にとっては3回目の大きな弾圧、世代交代を実現した。組合員であることに誇りを持っている。先輩たちの闘いを引き継ぎ、次にバトンを渡せるよう、必ず組織を盛り返していく」と決意を明らかにしました。

 次に、TYK高槻生コン分会の女性組合員のKさんが発言、まず、現在の争議について、「高槻生コンは労働債権から組合がオーナーになった会社、社長になることになった門田氏の勝手な行動が目立ちだし、2018年の弾圧でそれが酷くなった。関生支部が世代交代し、代表取締役を交代させると、門田氏は勝手に生コンプラントを大阪広域協組副理事長の大山に僅か1千万円で売り渡し、組合員2名を懲戒解雇、外全員を整理解雇した。今、日々雇用の手帳を取得して闘っているが、必ず完全勝利するまで組合員一同は闘い続けるつもりだ」と述べました。話は連帯ユニオンに事務員部会を作った経緯に移り、「以前勤務している会社で事務員の給料が何故安いのかと社長に聞くと、『事務員は金を生まないだろう』と言われた。関生支部に来てから、春闘で、ミキサードラーバー以外にも製造に携わる組合員の賃金要求はあったが、事務員の要求はなかった。疑問を湯川委員長にぶつけると、『自分たちでやってみたら』と言われ、3人で事務員部会を結成することになった」と説明しました。最後に自らが2011年に受けた弾圧について「清掃・産廃収集の会社で退職勧奨を受けた男性ドライバーと共に関生支部に加入した。会社が団交で組合員にだけ昇給していないことを示す資料をたまたま見つけ、5ページプリントアウトをして組合に渡した。そうするとコピー用紙5枚を窃盗したと逮捕され、勾留、起訴されて、懲役2年執行猶予3年の判決を受けた。母子家庭で子供のことも心配だったが、毎日『Kさん、頑張れ』と宣伝カーの声が聞こえた。友達は2,3人しかいないが、仲間は100人いる、私には組合を辞めるという選択肢はない」と語ってくれました。

 最後に2・6判決で無罪となり、和歌山事件でも無罪となった大原執行委員が発言、今回の弾圧について、逮捕・勾留・保釈が3度繰り返され、子供たちの交際にも影響があり、正月に親戚が集まれば「家族のために働いているのに、なんで組合を辞めないのか」と言われることもあったが、家族の支えの中で闘いぬいた経緯を話し、「5年と1日目に無罪判決、和歌山事件の無罪判決は嬉しかったが、今回は畑山裁判長が逃げたなと思っただけ。検察は控訴できずに無罪が確定、刑事訴訟法による補償が30万円支払われることになったが、こんなことでは償われない。残る2名と湯川委員長の控訴審無罪を勝ち取り、再び生コン業界を正常化する」と決意を語りました。

 活発な質疑の中で、熊沢誠共同代表(写真上)からは、「コンプラ活動はアウト業者へのピケットライン、そこは譲らず主張すべき、権力が絶対に認めたくないのは産別労組のストライキ権、そこを乗り越えていくべきだ」と組合への叱咤激励がありました。

 まとめで、柿山事務局長から、「東海の会の特徴は、2回目の集会に西島組合員に来てもらい、『今だけ、金だけ、自分だけ、という考えが組合に入って変わった』と聞いた、それ以来、関生支部組合員と直接交流することを大切にしてきたことだ。今日も組合員からの発言で私たちの方が勇気をもらった。これからも勝利するまで共に頑張ろう。4月7日には全国同時行動の街宣に取り組もう。」と結びました。


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