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報告:ウクライナ債務の無条件帳消しを!2.17-2.19行動

2022年2月24日のロシア・プーチン政権によるウクライナ全面侵攻から2年、2014年3月にマイダン革命の混乱に乗じたクリミア併合から10年を迎える。いまこそ日本の労働者市民によるウクライナの抵抗運動とロシア反戦運動への連帯が求められている。

◆ビジネス優先の復興支援

日本政府、経団連、日本貿易振興機構(ジェトロ)、ウクライナ政府は2月19日に「日本ウクライナ経済復興推進会議」(以下、経済復興会議)を開催。158億円の無償資金協力のほかに、56の経済協力の合意文書が交わされた。

しかしここで語られた「経済復興」とは、安定した社会の実現によって庶民を苦しみから救済する「経世済民」としての「経済」の復興ではなく、ビジネス優先の融資(借金)中心のショックドクトリン=新自由主義政策の導入をベースとした「経済」の復興であり、それは「経世済民」とは真逆の未来をもたらすだろう。

◆民衆の連帯としての支援を

このような政府・財界主導の「経済復興」に対して、昨年来、ロシアの侵略に抵抗し、ウクライナにおける労働者市民による政治をかかげてきたNGO「ソツィアルニィルフ(社会運動)」などの左派民衆組織に連帯する「ウクライナ民衆連帯募金」(https://note.com/uarentaibokin/)の活動に取り組んできたメンバーを中心にして「ウクライナひまわり連帯行動」を結成し、スタンディングと集会、そして申し入れ行動を行った。

2月17日正午、新宿南口で行われたスタンディングには20名ほどが参加。ロシア軍の無条件完全撤退、サハリンの液化天然ガス購入中止、戦争犯罪者プーチンの逮捕、そして「ウクライナ債務の無条件帳消し」などを訴えた。午後の学習会はノンフィクション作家の加藤直樹さんが「侵略下の社会運動と抵抗」、ATTAC首都圏の稲垣豊さんは「ウクライナ債務の無条件帳消し」について提起した。

◆2014年ユーロマイダンに参加した左翼

加藤さんは、ウクライナとロシアの17世紀以来の歴史的関係から説き起こし、2014年2月のユーロマイダン(マイダン革命)時の左翼やアナキストの対応について説明した。親ロシアのヤヌコヴィッチ大統領辞任・亡命に追い込んだユーロマイダンでは、治安部隊との対峙の最前線ではフーリガンを中心として組織されていた極右民族主義者らが登場していたが、マイダン(広場)で掲げられていた要求のほとんどは民主的なものであり、そのなかで社会的な要求を提起するために多くのアナキストや左派グループもこれに批判的かつ積極的に参加した。ただし、左翼の一部はウクライナ民族主義への反発からロシア民族主義に合流し、その後の東部の分離主義運動に参加していった(ウクライナ共産党は当初からヤヌコヴィッチ政権支持)。その後、ロシア政府がユーロマイダンの混乱に乗じてクリミアを併合し、東部地区の分離運動を軍事的に支援する戦争に発展した。

◆ウクライナ「社会運動」を知り、連帯したいと思った

2014年秋にミンスク合意によって一定の停戦が実現したのち、ユーロマイダンに参加した左派グループや東部地区の住民らを支援するフェミニストグループ、鉱山の街クリヴィ・リフの労働組合に参加する活動家らとともに「ソツィアルニィルフ(社会運動)」を結成して、今日まで活動を継続してきた。加藤さんは、「22年2月のロシア侵攻では、侵略に抗議するのは当たり前だと思っていたところ、日本の左翼やリベラルから出されるウクライナへの批判に驚いた」と言う。しかし、その後、ウクライナの「社会運動」の仲間たちが抵抗運動に参加する心情を吐露する文章に触れたことで、ウクライナについて学び、彼らと連帯したいと思うようになった。

◆IMF・世銀・G7による債務の罠

稲垣さんは、ロシア侵攻後のG7やIMFによるウクライナ支援は、戦後の西側陣営の支配システムとしての「債務の鎖」そのものだと指摘。いまこそウクライナ債務の無条件帳消しの声を上げるべきだと訴えた。現在のウクライナ支援は2015年から実施されてきたIMFによる新自由主義改革の延長にある。ウクライナはIMFから融資を受けるために厳しい緊縮財政計画の策定や債務返済を続けてきた。それらの計画には国有企業民営化や農地売買促進などの新自由主義政策が含まれている。いわゆるショック・ドクトリンだ。

◆ショック・ドクトリンで平和は訪れない

この2年の日本政府によるウクライナ支援約70億ドルのうち、世界銀行グループへの拠出金55億ドルなど、ウクライナの復興に使われるというが、実際には日本や欧米の民間企業進出を経済的に保証するもの。世界銀行による支援とは融資のことで、つまり借金。債務返済は4年後の27年から始まる。仮に一定の和平が達成されていたとしても、IMF・世界銀行の融資条件である新自由主義政策によって、医療や教育など公共サービスはビジネスの対象とされ、エネルギー産業や交通インフラの民営化にともなう値上げ、農地売買の一層の自由化による巨大アグリビジネスの参入など、いくつも懸念はある。いま日本政府やG7諸国などが実施している「債務救済」(ほとんどは債務支払い繰り延べ)は支援対象国をさらに借金と新自由主義政策に従わせるための政策だ。プーチンの侵略戦争に苦しむウクライナ民衆が、戦後はIMFや日本の借金に苦しむようなことがあってはならない。同じように経済制裁で凍結されたロシア資産(それはプーチンらオリガルヒがロシア民衆と自然環境から搾取した富である)をIMF・世銀や日本資本への借金返済に充ててはならないだろう。

◆申し入れは権力の壁に阻まれたが、ひまわり行動の訴えは世界に拡散

学習会の議論では債務問題を分かりやすく市民に訴える必要などが提起され、ウクライナ連帯ネットワーク(SUN)の2.23スタンディングアクションや2.26「ウクライナ――抵抗の文化/文化の抵抗:赤尾光春さん講演集会」(下記参照)など、今後のウクライナ連帯に関するいくつかの取り組みが紹介された。

その後、外務省が所管するJICAのウクライナ関連債務の無条件帳消しを求める上川陽子外務大臣宛の要請書(下記参照)の提出を2月19日の経済復興会議の当日に申し入れていたが、外務省の担当課から断られたので、会場となっている経団連や外務省飯倉公館へ直接持参こととなった。しかしアポがないということで外務省は受け取りを拒否、警視庁警備課は会場のはるか手前で阻止線を張って排除するなど、さすが日本の支援会議だけあって誰の支援かがよくわかる対応だ。

2.17の告白スタンディング・学習会や2.19の申し入れなど一連の取り組みに対して、欧州ウクライナ連帯ネットワーク、そして韓国でもウクライナ民衆への抵抗に連帯してきた社会進歩連帯から、メッセージをもらった。また、2.19の申し入れの様子も参加した仲間がすぐにSNSでウクライナをはじめ全世界の仲間に拡散してくれた。

ウクライナの抵抗する人々ともに、ロシアの抵抗する人々とともに、全世界のたたかうひとたちとともに、ウクライナ民衆連帯に立ち上がろう!〔レイバーネット国際部・I〕

資料
★2.17-19ウクライナひまわり連帯行動
・呼びかけおよび賛同人(2.15現在)
https://note.com/uarentaibokin/n/n799381622b37
・2.17-19スタンディング/申し入れの写真
https://x.gd/AgCXm
・上川陽子外務大臣宛の要請書
http://attaction.seesaa.net/article/502396946.html

★2.26赤尾光春さん講演集会「ウクライナ――抵抗の文化/文化の抵抗」
(詳細案内)https://note.com/uarentaibokin/n/nf5f1d25777f2
2月26日(月)/東京・神保町区民館3F/18時開場、18時半開始/会場費700円/主催:ウクライナ連帯ネットワーク(SUN)、ウクライナ民衆連帯募金


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