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心の中に「仮想敵国」を持たないで〜トークイベント「2024年を和平の年に」で加藤登紀子さん

土田修(ジャーナリスト、元東京新聞記者)

 まもなく開戦から2年を迎えるウクライナ戦争。ウクライナ軍の反転攻勢の失敗と弾薬・兵員不足、それにウクライナに資金や武器を供与してきたアメリカや欧州諸国の「支援疲れ」が伝えられるが、国際社会から「停戦」に向けた取り組みや具体的な提案が出てくる気配はない。国家権力の犠牲者として死んでいくウクライナとロシアの若者たち(ウクライナの戦死者は40、50代が目立っているようだが)の命は、太平洋戦争時に赤紙一枚で招集され「お国のため」に死んでいった日本の若者同様、国家権力にとって「鴻毛より軽い存在」でしかない。

 昨年4月、広島G7サミット開催(5月)に向けて、学者や専門家、ジャーナリストらがウクライナ戦争の即時停戦を求め、「Ceasefire Now!今こそ停戦を」という声明を発表した。声明では「NATO諸国が供与した兵器が戦場の趨勢を左右するに至り、戦争は代理戦争の様相を呈している」とし、ウクライナ戦争が欧州の外に拡大することを防ぎ、「米朝戦争」や「米中戦争」によって日本海を戦争の海にしてはいけないという市民の願いと決意を表明した。

 「Ceasefire Now!」の声明発起人らは昨年来、都内でシンポジウムを開催し、ウクライナ戦争だけでなく、パレスチナ戦争についても「即時停戦」を呼びかけてきたが、1月24日には東京ウィメンズプラザで、加藤登紀子さんをゲストに迎え、「2024年を和平の年に」と題するトークイベントを開催した。

 オープニングは、発起人の中心メンバーの一人、伊勢崎賢治さん(東京外語大学名誉教授)のトランペットと珥堊曚離團▲縫好鉢瓮Εン・ウィンツァンさんのピアノによる演奏。曲は、1974年のアジェンデ政権崩壊時に殺害されたチリの音楽家ビクトル・ハラーの「平和に生きよ」で、スクリーンにハラーの肖像が映し出された。

 続いて、和田春樹さん(東京大学名誉教授)のプレゼンがあり、和田さんは「昨春、声明を出した時に多くの賛同を得られると思ったが、『プーチンを懲らしめろ』『ロシアを撤退させろ』といったロシアを非難する声ばかりが世界中に広がり、日本も同じだった。広島G7サミットではゼレンスキー大統領が招かれ、日本を含む西側諸国によるウクライナ支援体制が構築された。岸田首相は『今日のウクライナは明日の東アジアだ』と宣言し、防衛費の大幅増大を進める方針を打ち出した。ウクライナ戦争は欧州だけでなく、東アジアを含め、世界に拡大する恐れがある。次の世界大戦を止めるのは私たちの責任だ。まずはウクライナ戦争をただちに止めたい」と話した。

 伊勢崎さん、羽場久美子さん(青山学院大学名誉教授)のトークに続いて、歌手の加藤登紀子さんが登壇。「戦争は『敵国』を作ることから始まる。今、私たちは中国、ロシア、北朝鮮など『仮想敵国』を心に埋め込まれている。でもそれらの国は私たちの『隣国』だ。『敵国』ではない。『仮想敵国』は軍備を拡張したい人たちによって巧妙に作られている。どうか心の中に『仮想敵国』を持たないで」と訴え、「ゼレンスキー大統領が『最後まで戦う』と言うのを聞くと鳥肌が立つ。日本人が戦争を長引かせなければ原爆投下も沖縄戦も朝鮮半島の分断もなかった」「日本は戦争をしない国だ。この国に生きる者には戦争をしない権利がある。若い人たちには平和憲法を持っていることを誇りに思ってほしい」と続けた。

 ◇   ◇   ◇
 「Ceasefire Now!」の取り組みに関して、和田さん、伊勢崎さん、羽場さんのロングインタビュー記事を掲載する『即時停戦! 砲弾が私たちを焼き尽くす前に』が先月、社会評論社から出版された。同書では、西谷修さん、金平茂紀さん、東郷和彦さん、杉村昌昭さん、中野真紀子さん、四方田犬彦さんらのトークやエッセイのほか、フランスの月刊評論紙ル・モンド・ディプロマティークの関係記事を掲載し、アメリカ(NATO)の代理戦争になったウクライナ戦争とパレスチナ戦争について「即時停戦」を求める意義とその可能性について多角的に論評している。アソシエーションだるま舎・土田修編著、1800円+消費税。購入申し込みと問い合わせは、社会評論社(電03–3814–3861)またはmatsuda@shahyo.comへ。


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