| 〔週刊 本の発見〕風刺漫画集『パレスチナに生まれて』 | |
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アラブ民衆から圧倒的支持を得た風刺漫画『パレスチナに生まれて』(ナージー・アル・アリー著、露木美奈子訳、いそっぷ社、2010年、1600円)評者:佐々木有美
「私の仕事は、難民キャンプやエジプトやアルジェリアにいるパレスチナ同胞や自分の意見を表明する場所がほとんどない全アラブ世界に住む素朴なアラブ民衆のために思いを述べることだ」とアル・アリーは語っている。彼が暗殺された1987年2月には、ハンダラは、その数か月後に起こるインティファーダ(民衆蜂起)を予言するように、仲間のこどもたちと石をもってイスラエル兵に向かっている。
以下、本書より3点を紹介する。
本書の解説によれば、アル・アリーは、思想的には汎アラブ主義(アラブ世界を統一しようとする思想と運動)の共鳴者だったそうだが、いかなる政治組織にも属さず、政治的理想を求めた。彼は、アラブ世界に根深く存在する残酷な刑法や女性差別などの人権問題をはじめ、欧米の中東支配、中東和平のまやかし、パレスチナ人たちの抵抗運動を描き続けた。イスラエルとその背後にいるアメリカの蛮行はもちろん、アラブ諸国の支配者たちの腐敗と二枚舌を鋭く衝く彼の漫画からは、アラブ世界全体の民主化こそ、パレスチナ問題の解決のもう一つのカギだということが伝わってくる。 10月7日から始まった今回のジェノサイドも、アル・アリーが亡くなった1987年以降、何度も繰り返されてきたパレスチナの受難の延長にある。アメリカは、国連の停戦決議に一貫して反対し続けている。正義はどこにあるのか。ハンダラは、見続け、抗議し続ける。 Created by staff01. Last modified on 2023-12-27 23:43:59 Copyright: Default | |