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LNJ Logo 核燃料サイクルの町は今〜六ケ所村議会議員選挙の菊川けいこさんを訪ねて  
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六ケ所村議会議員選挙の菊川けいこさんを訪ねて

野村 保子(ライター)


 六ケ所再処理工場を有する下北半島六ケ所村の村議会議員選挙を訪ねた。立候補した菊川けいこさんは両親が開拓した土地を受け継ぎ農業で生計を立てながら核燃サイクルに反対し続けてきた。村議会への挑戦は3回目である。


*菊川慶子さん

 全国の原発から出る使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、さらなる核燃料を作るのが核燃料サイクル。しかし、「もんじゅ」が事故によって頓挫した現在、再処理工場は無意味なものになっているはず。
 今回訪ねた六ケ所村は再処理工場、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センターが威容を誇り、港や関連企業が林立し巨大核燃サイクルコンビナートとなっていた。春から夏にかけて海から吹く強い風は「やませ」と呼ばれる。立っているだけで吹き飛ばされそうな強風の中、咲き誇る桜やチューリップの花々が揺れていた。

 前々回の村長選に挑んだ遠藤順子さんが選対本部に詰め、事務所スタッフの小野田さん、埼玉から堀切さとみ監督、鵜沼さん、福島から黒田さん、函館から野村が参加し、女性色の強い選挙模様となった。定数16人に立候補者が18人でそのうち女性は菊川さん一人である。これまで女性議員はゼロだった。ちなみに青森県は女性ゼロ議会が37.5%で全国1位。農業も漁業も政治も女性の力なしには築けないはずなのに戦前からのジェンダー感覚が村の中に今も充満している。


*日本原電の社宅

 街宣が始まり、菊川さんは畑や家々に向かって「核燃に頼らない村を」と声を上げる。再処理工場建設のために移転した家の立ち並ぶ一角で「核燃に頼らない村」「縄文遺跡を活用した村おこし」「豊かな農業漁業の振興」を訴えた。過疎地では通りを歩く人は殆どいないことは驚きだ。用もなく外に出ること、特に女性は用なく外を出歩くことが嫌われる。

 22日最終日の昼、葉ワサビやアサツキなど裏庭で採れた野菜で作った料理を囲み、午後からの最後の街宣の英気を養う。釣り上げた魚料理を持参する支援者もいて遠くから集まった女たちと細やかな男たちが支える手作り感のある選挙だ。


*応援スピーチする筆者 このような光景は菊川陣営以外にみることはなかった

 投票は23日で開票は午後8時から。午後10時すぎに大勢が判明。現地から届いたのは菊川けいこ、30票。愕然とする。最終街宣の手応えがあり候補者の話しを真剣に聞いてくれた女性や高校生がいたと聞いた。それが過去2回の立候補時より、20票ほど得票を減らした。
 菊川さんのコメントは「申し訳ありません。六ケ所の状況がどんどん厳しくなっているのだと思います」と。533票から270票まで16人が分けあった開票結果だった。1票でも票の上積みをしたいと言葉を選んで声を上げたが、女性たちの声を拾い上げることができなかった。核燃サイクルを止めるために命に繋がる女性の声を丹念に拾い上げる努力を今後も続けなくてはと肝に銘じた選挙の夜だった。


Created by staff01. Last modified on 2023-04-25 09:30:31 Copyright: Default

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