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311子ども甲状腺がん裁判〜二度目の証言台に立つ若者たち

堀切さとみ


*開廷前の門前集会には毎回たくさんの人が集まる

 12月6日。東京地裁103号法廷で、311子ども甲状腺がん裁判が行なわれた。
 第八回目のこの日、七人の原告のうちの二名が、二度目の意見陳述をした。前回から裁判長が代わったため、新しい裁判長に原告の話をじかに聞いて欲しいと、弁護団が要請したのだ。
 ところが裁判所はその要請を「衝立を準備するのに人員が必要だから」という理由で拒んできた。原告にとって姿を晒して法廷に立つというのは、どれだけの勇気と負担がかかることか、裁判所もわかっているはずなのに。
 それでも、二人の原告は衝立なしで証言台に立った。

 がんを告知された後も続くつらい検査、つらい治療、手術後の苦しさ、再発の不安。「甲状腺がんは死ぬ病気じゃないから」という人たちに、彼女たちの言葉をぜひ聴いて欲しいと思う。何の落ち度もないのに、当たり前の日常が奪われ、いつまでたっても過去のものにならない。しかし、被害と向き合い続ける日々が、原告たちを成長させていることも明白だった。

 20代のAさんは「放射能を気にする子と気にしない子に分かれていて、自分は後者だった。それでも県民健康調査はありがたいと思ってた。過剰診断だったと言われているが、それなら何のために検査したのか」と言った。
 10代のBさんは「小学生になる前に事故が起きた。将来のことを考える間もなくガンになり手術し裁判の原告になった。今は大学生になり、この裁判に責任を持てるようになった。海洋放出は複雑な思いだ。長く続くこの裁判に挑戦していけたらいいなと思っている」と言った。
  二人とも堂々としていた。Aさんは終わってから「緊張したけれど言いたいことは言えた」と担当弁護士に告げたそうだ。裁判官は、若い原告の思いを放置しないでほしい。人間の心に誠実であって欲しいと思う。

 東電側の代理人は、がんと原発事故との因果関係がないこと、年間100ミリシーベルト以下では人体へのリスクがないことを繰り返した。UNSCEARの権威に頼り、つらつらと文書を読み上げるだけの35分間は眠気を誘うものだった。原告側代理人たちが毎回スライドを使って分かりやすく説明するのと対称的で、わざと分かりにくくしたいのだという印象だけが残る。


*口頭弁論後の記者会見


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