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熟練が支えるクロネコDM便 「個人事業主」という仮面をはがせ

レイバーネットTV191号(10/11)報告
〈ヤマト運輸3万人一斉首切り〜組合つくって声あげる〉 私たちの身近なクロネコDM便を日本郵便に丸投げして、その配達員の雇用が危ないとは、 全くの寝耳に水だった。同じような仕事をしているヤマトと郵便局の方のお話を伺ううち に、仕事に誇りを持つ素晴らしさとそれに敬意を表さない会社とはなにかと思った。 (報告:笠原眞弓)

視聴アドレス: https://www.youtube.com/watch?v=cAvkpm58qCc 司 会:堀切さとみ ゲスト:朝倉れい子(全国一般三多摩労働組合書記長)     睨槐扈磧米穎組・ヤマト運輸国立営業所所属勤続26年)     戸村学(郵便局勤務・郵政ユニオン) ★「クロネコDM便」とは:大和運輸の一部署。カタログやパンフレット、チラシを郵便受 けに配達するもので、全国へ送ることができ、事前契約をした法人などが利用できる。 ◆マスコミを通しての衝撃の3万人首切り通知に黙っておれん! 2023年6月19日、そのクロネコDM便が日本郵便に全面移管されることが、マスコミ報道さ れた。ところが、当のDM便の配送担当者らには事前に何の話もなく、その時はじめて自分 たちの仕事がなくなり、その後の保証も何もないことを知る。 首を切られる当人である高本博純さんは、たまたま今年の1月に国立市で全国一般三多摩 労働組合(以下三多摩労組)などが行っている「困りごと相談」とお節料理の配布の現場 で出会い、職場のハラスメントの相談をしていた。 その時彼の話を聞いた多摩労組の朝倉れい子さんは、労働組合法の労働者と言えるし、労 働基準法上の労働者の可能性もあること、その場合は未払い残業代も請求できると伝える。 その時は個人事業主契約で、労働者でないからと高本さんは迷っていたが、6月の首切 り問題が起きた直後に彼は朝倉さんに電話をする。 ◆ヤマトと郵政はライバル同士だった 朝倉さんはクロネコDM便ができるころから、郵便局と郵便法をめぐっての争いを見てきた。 その過程で、配達料金を下げる必要があり、郵便局は単価を下げるために労働者を非正 規労働者に変えてきたし、DM便もさらに下げるために個人事業主に変えた。ヤマトは、そ の後さらにDM便が不採算部門になったための今回の対応だろうという。雇用関係があれば 労働者になぜそうなったかなどきちんと説明する責任があり解雇も容易ではないが、「個 人事業主」であれば簡単に切り捨てられるからである。 高本さんは、40代の終わりから26年間この仕事をしている。長期に働けると思っていたの に今回は、突然のことで戸惑っているという。 配達の単価は1件につき21円の契約で、1日5000円の収入が欲しければ、250件扱うことに なる。配達は夜の7時台に終わらなければならず、8時を過ぎると始末書を書く。配達の方 法は自転車、バイク、車など個人に任されていて、ガソリン代は自分持ち。月におよそ12 万円の収入だ。 今回のことでは、仲間同士で話し合うとか、勉強会をするという雰囲気は、職場にはない。 ◆我々は「個人事業主」ではないから闘う! 高本さんは、三多摩労組に個人事業主ではないと言われ、それなら会社と闘おうと労組員 になり、三多摩労組はそれを受けて会社に団体交渉の申し入れをする。するとヤマトから は「歩合給を払っているから労働者ではない」という、的外れの回答が返ってきた。つま り労基法でも「オール歩合はダメ」という条項がある通り、労働者でも歩合給で働く人は いっぱいいるので、この回答は何の意味もなく、労働基準法の労働者に該当すると詳しく 書いたものを会社に渡す。 ヤマトの場合、3万人の解雇というのは、社会的な影響が大きいので組合ニュースを発行 し、記者会見もした。東京新聞と朝日新聞が記事にし、MXテレビが取材をしたという。 ◆ヤマトの反論の破れはどこ? ヤマトはDM便の配達員を個人事業主とする反論を送ってきたが、全く法律に則していなか ったという。
1「個人事業主」は自主的な契約書を交渉して決めることができるのに、ヤマトはもう決 まった書式に、本人の氏名を入れればいいだけになっている 2 業務仕様書には、誰もが1通21円と決まっていて、交渉の余地がない 3 労働基準法の労働者の基準として、場所的、時間的拘束があり、それに該当する 以上3点のことから、個人事業主として自分の努力と裁量によって収入が増えていく余地 が全くないので、個人事業主とは言えないということだ。 ヤマトの弁では、自分の好きな時間に、自分の好きなところに配達しているのだと言って いるが、それはヤマトの_業務仕様書_を見れば、一目瞭然虚言なので、そこを法律的に闘 っていくと言い切る。 ◆「委託」って何なのか? 規制だらけでも「委託」? 高本さんは、仕事中は制服着用、名札と管理用の電子機器を首から下げて、完全に管理さ れている。 電子機器の画面に映し出されたのは、1、持出報告(1点づつバーコードの読み取り)2、 配完報告 (配達が終わった知らせ—このシステムだと、印鑑がいらない) 3、持戻報告(配達物 を差出人に戻す)4、終了報告……と続き、そのつど入力、確認が必要だ。これで個人事 業主とは、全く言えない。 ◆DM便をすべて引き取る郵政の労働者 戸村学さんに聞く では、DM便を引き受ける日本郵便はどうなのか。戸村学さん(郵便局勤務)は、開口一番、 大丈夫ではありませんと断言する。今ヤマトが扱っているDM便を郵政が引き受けると、 現在の3〜4倍の業務量になる。今でさえ目いっぱいで、しかも16時45分には終わることに なっている中で、ヤマトのDM便を増やすことは難しいと。現に、DM便を当初20%から徐々 に増やしていく予定だったが、現在12%増やしただけで、目いっぱいになっているので日 本郵便側がDM便を全量引き受けられないと思っているというのだ。 「人手」ということであれば、ヤマトで働いていた人たちが日本郵便に移行することは出 来ないのかという質問に、戸村さんは答える。 郵便業務は1日2日で出来るものではなく、経験を積んで身につくもの。かなり自由な働き 方をしていた人たちが、日本郵便のやり方になじむかどうか、日本郵便側も懸念を持って いるのではないかという。 ◆驚きの発言 「2025ビジョン」日本郵便の首切り計画 ここで、戸村さんの驚きの発言が飛び出す。「いま郵政では「2025ビジョン」というのが 言われている」と。これは、3万5千人の首切りをめざしたものだ。そんな時に、ヤマトか ら3万人の受け入れは出来ないだろう。 社内では他にもパワハラがあり、自殺者がいるがオープンにされていない事件もある。 ◆社会的弱者が切り捨てられる社会 ヤマトでは、更に3万人の他に、契約社員やパートの人たちも、5千人が解雇されるという。 パートの中には、障がい者も含まれているとか。 ヤマトはこれまで障がい者の雇用をDM便で行ってきて、イメージ的にも良い印象を作って きたが、その人たちも今回の解雇には含まれている。DM便ばかりでなく、荷物の仕分けな ど、配送業務の後方支援の職種では、生活保護を併用している精神疾患を持つ人なども多 く働いている。その人たちも首切りの対象になるという。 ◆始まった解雇反対の署名
身近なことなので、ネット署名が始まっていて、すでに6万人に達しているという。 署名サイト: https://chng.it/BVDz5mKbrY ◆会場、視聴者から 質問:今回の会社の目的は、ある人は「儲からないからやめるのがヤマト/儲からな くても取扱数を増やしたい郵政」と言った。ということで、2つの質問がある。問1、会社 の真の狙いは何か? 2、配達員は家族構成まで分かるし、名前を書いていないものでも 正しく配達していくには、熟練しかないと思うが。 ・戸村さんは答えて 今回の事は、国の指導があるのでは?と思うけれど現場が求めているのは、熟練者です。 質問者:郵政が民営化したのに公営化に戻る感じですね。 戻った方がいいですよと戸村さん。「もの」が84円で全国に届くなんて、すごいこと。何 人もの手がかかわって、正しく配達されるのですよ。配達員は、荷物が1個でも100個でも 行かなければならない。 質問者:それだけのお怒りは分かります。ストライキ、やりましょうよ!
戸村:私は春に「一人ストライキ」をしましたよ(笑) ・朝倉さんが補足する ビックデータがらみではないか! 長年ヤマトと郵政がDM便をめぐって争ってきたのに、ここにきて手を打ったのは、うがっ た見方をすると、今の日本ではビッグデーターの取り扱いが大きな金儲けの手段になって いるからでは。今郵便法に守られて個人情報は保護された形になっているが、そのデータ ーを国が管理して、国の金儲けの手段にしたい気持ちがあるのかもしれないという。 裁判までしていったん落ち着いたのに、郵政の方のメリットは考えられない。従って働く 人の負担や適切に配達されることは、両社ともどうでもいいことではないかと思う。 ・高本さんは契約書の第1条から違反しているヤマトへの怒りを語る  契約書を守っていない。第1条で「誠実」をうたっている。それなのに会社は我々に誠実 ではない。交渉の中で、小出しにしてきて「慰労金(10年以上働いた者に対して一律7万 円)」とか仕事の斡旋も言ってきたが具体的な斡旋ではなかった。 ・会場から:一般の人にとっては「再配達」が身近なもので、そのことを取り上げている が
・戸村さん:現場を知らない提案ですとバッサリ。再配達の有料化というが、料金の徴収 方法はどうするのかが問題。「家にいたのに」と言われると、どうしようもない。実現し ないと思うと。 ・朝倉さん:労働力を機械に置き換えていくことではないか?と考えている。利用者の分 かりやすい問題で処理してしまうと、働く人の存在が落ちてしまう。郵便物は「親書」で すから「相手に届くまでは何度でも配達」が原則です。 最後に一言 戸村:SNSを見ていたら「まだ雇用期間が2、3カ月あるのだから、自分で次の仕事を探せ よ」との書き込みがあった。それだけでは済まされない話ではないか。世の中全体が、真 剣に考えてほしいと思う。 高本:70過ぎているので、ぜひ来てくれというところはないのでは。こういう年寄りが、 路頭に迷わないように、誠意ある対応を願う。 朝倉:個人事業主扱いされている問題がある。高本さんは20年以上働いているので、契約 社員だったら、5年で無期転換されているはず。そうなれば、雇止め、契約切れは無い。 「労働者性」があれば、救済する法律を作るべき。ところがいま日本は、労働者性があっ ても、救済する法律はない。それを勝ち取るために私たち労組が頑張っている。困ってい る方、是非ご連絡を。ヤマトはじめ様々な労働問題の相談に応じている。 連絡は→三多摩労働組合 043-571-1953 ◎次回放送は10月25日(水)19:30から 「原発汚染水問題」 ゲスト:おしどりマコさんケンさん  ご期待ください。

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