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改悪入管法強行採決目前〜「難民をほとんど見つけることができなかった」参与員の発言にさらなる矛盾発覚!

松本浩美

●「年間90人から100人未満」。国会発言「延べ2000人」に届かない!

 6月6日に強行採決と言われている改悪入管法案。政府が改悪の根拠としているのは、難民審査参与員 柳瀬房子氏(写真)による「難民をほとんど見つけることができなかった」という発言である。柳瀬氏は、参与員制度の始まった2005年から2021年までの16年間で「2000人以上と対面」と発言(2021年4月21日衆院法務委員会)。政府はこれを根拠とし、実際に難民に該当するケースは非常に少ないとアピールしてきた。

 しかし、同氏が実際に対面した人数について、矛盾した発言をしていることを示す音声データが、6月3日、難民問題に取り組む弁護士グループによって公開された。

 音声データは難民支援にあたる市民と柳瀬氏との間で、5月30日に行われた電話でのやりとり。ここで柳瀬氏は「面談は年間90人から100人未満」と発言。さらに、「(対面審査)年間80件、90件は必死です」とも付け加えている。電話の通りだとすると、16年間で延べ2000人以上には届かず、国会での発言と矛盾する。

 柳瀬氏の発言については、多くの疑問が寄せられてきたが、ここに来てさらに大きな揺らぎを見せている。

●変遷する柳瀬氏の数字

 柳瀬氏の発言のうち、具体的に示された数字は少ないがそれらも変遷をたどっている。

 2019年11月には対面審査1500人と発言(2019.11.11 収容・送還に関する専門部会)。そして、2021年4月の2000人。2019年11月〜2021年4月の約17か月間で対面審査500人が増えている計算になる。これについても、電話の通りであれば350人なので矛盾する。 なお、この500人という数字に関して、斎藤健法務大臣が5月30日の定例記者会見で「1年半で年間500人の対面審査は可能」と明言したものの、同日夜には「不可能」と訂正した(注)

●柳瀬氏は公の場で説明する義務がある

 この電話の音声データは、前述した市民から弁護士グループから提供されたもの。公開に踏み切った理由を指宿昭一弁護士(写真下)は次のように話す。

「6日に強行採決を控え切羽詰まった状況にあり、法案の審議にかかわる重要な情報なので公開した。プライバシー侵害に当たらない。これだけ問題になっているのだから、柳瀬氏は公の場で説明する義務がある」

 最後に、6月1日議員会館前で行われた抗議行動における指宿弁護士(写真上)のスピーチを紹介する。

「政府は柳瀬氏による『日本に難民はいない』という発言をもとに、3回目以後の難民申請者は制度を濫用しているだけだから、強制送還していいとしてきた。しかし、立法事実は完全に崩れた。政府与党の議員に問いたい、あなたたちは入管と心中するつもりですか! 我々は許さない。絶対に阻止しましょう!」

 立法の根拠がデマとフェイクの上に築かれていることが次々と明るみに出てきた。入管法改悪反対! 強行採決絶対反対!

(注)https://d4p.world/news/21282/ など


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