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〔週刊 本の発見〕『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』 | ||||||
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お金を稼ぐことだけが偉いのか『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話』(カトリーン・マルサル著、高橋璃子訳、河出書房新社、2021年11月17日刊)評者=わたなべ・みおき
お金を稼ぐこと(だけ)が偉い、と思わされ、お金に換算されないことには価値がないと思わされてきた。それほどまでに経済学は世界に影響力を持っており、個人の思考をも侵食してしまっている。それを自覚し、立ち向おう! そうすれば社会は変えられる、と呼びかけてくれる本だ。 経済学の父と呼ばれるアダム・スミス。経済学は「経済人」なるモデルを作り、複雑なこの世を理解しようとしてきた。よって、当たり前だが経済学だけでは世の中を理解することはできないのだが、いつのまにか、経済学の理論や数字で表せないものは世の中に存在しない、と思わされてきてしまい、その経済学を基に政治がおこなわれてしまっている。その結果今や「生きる」こと自体ができない、苦しい状況になっているのではないか。(写真下=アダム・スミス)
そして経済学が社会に与える影響を無視できない以上、経済学に「思いやりや共感やケアの概念」をいれるべきであると、著者は言う。『存在しない女たち』(キャロライン・クリアド=ぺレス)、『ケアするのは誰か』(トロント・ジョアン)に通じる視点である。 コロナ禍で医療関係者をはじめ、食べ物を作る、運ぶ、ゴミを処理する等の仕事が注目されこれらの仕事は生きるのに必要不可欠であるとして「エッセンシャルワーカー」と持ち上げられたのは記憶に新しい。だが医者以外はたいてい給料が安く、いわゆる3Kと言われる仕事であるし、医者だって超長時間労働だ。まして、コロナ禍でも途切れることなく提供されてきた「家事」に至っては、原則として無償である。 生きること、日々の暮らしをきちんと継続していけるようにするのが、本来政治のやるべきことだ。この根幹を、「思いやりや共感やケアの概念」を持って行われる「仕事」を行っている私たちこそが、もっと堂々と主張していこう。そうすることで少しはましな世の中になるはずだ。 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人、志水博子、志真秀弘、菊池恵介、佐々木有美、根岸恵子、黒鉄好、加藤直樹、わたなべ・みおき、ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2022-08-10 23:32:07 Copyright: Default |