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LNJ Logo 声明 : JR東日本の顔認証カメラシステムは直ちに運用を中止し廃止すべき
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JR東日本の顔認証カメラシステムは個人情報保護法に違反しま す。直ちに運用を中止し、廃止すべきです。

2021年11月8日
共謀罪 NO !実行委員会・「秘密保護法」廃止へ!実行委員会

JR 東日本の顔認証カメラシステム導入は、個人情報保護法に違反するものであり、直 ちに運用を中止し、システムを廃止すべきです。

今回の JR 東日本の顔認証カメラシステムは、「指名手配犯」、駅の「不審行動者」、駅 構内で事件を起こし、服役し、「出所した者」を対象とするとされています。これは、駅 構内などで撮影された乗客の顔と、データーベースに登録されている「指名手配犯」など の顔画像を自働照合し、照合が一致した者の手荷物検査を駅の警備員がおこなうことや警 察に通報するというものです。

顔画像は、最も厳格に保護されなくてはならない生体情報の一つです。JR 東日本の駅 利用者は1000万人はくだりません。今回のシステムがいかに多くの市民を対象とした ものであり、プライバシー保護、個人情報保護上問題なのかは明らかです。

個人情報保護法は、顔画像は個人情報と位置づけていますが、その取得には本人から同 意をとることを義務付けていません。この点、世界の個人情報保護制度をリードする EU の GDPR(一般データ保護規則)が、市民からの個人情報取得については本人からの同意 をとること、自己情報コントロールを原則としていることと比較し、日本の個人情報保護 制度がいかに立ち遅れているかは明確です。

因みに、日本の個人情報保護制度は、人種、信条、病歴、犯罪の経歴などの要配慮個人 情報のみ本人から同意をとることを必要とするとしています。それ以外の個人情報の取得 には本人同意を必要とするとしていません。JR 東日本の顔認証カメラ導入は、日本の個 人情報保護制度のこうした不備を悪用したものであり、認めることはできません。 1、顔データは個人情報です。個人情報である以上むやみやたらと顔を撮影してはならな いはずです。 JR 東日本を利用する乗客の数は膨大です。同社は、その膨大な顔データをどう処理す るのかも明確にしていません。乗客の顔データはどう管理され、いつ破棄されるのかなど、 同システムの運用方針が不明確です。デパートや会社などの空間と違い、駅は公共の空間 であり、そこでの顔データの取得である以上、本来、極めて慎重な対応をもとめられるべ きです。ところが、JR 東日本は全く逆のことをおこなっています。

次に利用目的の通知又は公表がキチンとおこなわれていません。JR 東日本は、100 0万をくだらない駅利用者に、同システムが運用されていることをどういう手段で、どう 説明したのでしょうか。JR 東日本の措置は、個人情報保護法18条(取得に際しての利用目的の通知等)に違反するものといわなくてはなりません。同社は個人情報保護員会と 相談し、その同意をえて、顔認証システムを導入したと説明していますが、その相談の内 容、同委員会の了解の内容をキチンと説明すべきです。

2、JR 東日本の顔認証式カメラシステムは、その対象の一つに「不審者」をあげていま す。報道によると、駅構内で「不自然な行動をとっていると映像によって検知された人物」 に対して、警備員が声をかけて不信と判断した場合に、その映像から顔の特徴を記録して データベース化し、その人物が次に駅構内に訪れた際に、直ちに検知できるようにするシ ステムのようです。しかし、このシステムには大きな疑問を禁じえません。

それは一つ目に、警備員が声をかける対象を、映像からどのように判断するのかという 点です。次に、JR 東日本は、警備員が声をかけた対象について、どのような基準で「不 審者判定」をするのでしょうか。さらに、JR 東日本が、「不審者判定」をした結果、その 対象者の顔写真等の個人情報をデータベースに残す手続きについて、個人情報保護法に即 して対象者本人にどのような説明をするのでしょうか。

このように考えていった時に想定できるシステムとして、AI(人工知能)の導入によ る「不審者判定」および「データベース化」に行き着くのですが、JR 東日本は実際のと ころ AI の導入を前提としているのでしょうか。 AI の導入を前提としているのなば、AI に「不審者判定」の学習をおこなわせるための データが重要になります。そして、このデータと「不審者」を結びつける方法が重要にな ります。したがって、JR 東日本が AI を使って「不審者」を特定するのならば、どのよう なデータを扱い、どのような方法を用いるかなど明らかにする必要があります。それは、AI を使い不審者を特定しようとする行為は、「人為的に不審者を作り出す行為」だからです。

JR 東日本の顔認証カメラシステムは、個人情報保護法第十六条の二 (不適正な利用の 禁止)、第第十七条一項(適正な取得)に違反します。

3、「出所者」のデータベースへの登録は、憲法に違反し、個人情報保護法に違反します。 服役し、出所した者は、既に刑期を終えた存在です。JR 東日本が出所者を監視カメラ の対象にし、データベースに加えようとしたことは出所者への偏見を助長し、社会復帰を 阻害する、断じて許されない行為です。批判の拡大を恐れ、JR 東は監視認証システムの対象から外したとされていますが、何が問題であったのかを明らかにすべきです。 「出所者」情報の取得は、本人からの同意を必要とする要配慮情報です。それほど、プ ライシー保護、個人情報保護上重要な情報です。JR 東日本は個人情報保護委員会と相談 し、本人の同意を必要としない個人情報保護法の例外規定にあたるといわれ、顔認証シス テムの対象にしたとしていますが、それは第十七条(適正な取得)二項の例外規定の第何号にあたるのか、その理由は何かの説明が必要です。

JR 東日本の顔認証システムは、市民のプライバシー、個人情報を侵害するものです。 個人情報保護法に違反する顔認証システムの運用を直ちに中止し、そのシステムを廃棄することを強くもとめます。


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