完全護憲の会ニュース94号 : 若者の近未来がかかる大事な選挙

●完全護憲の会ニュース94号

いよいよ総選挙、10月31日が近づいてきました。
若者の近未来がかかる大事な選挙。でも今いちばん窮地に立たされているのが若者層かも
しれません。過酷な仕事に追われ、候補者の主張を見比べるより寝るのが先決だったり、
どうせ変わらないんだからと諦めたり、政治のドロドロなんか考えたくもない人たち…。
それでもなお、今度だけはなんとかして、一人でも多く意思表示して下さることを祈りま
す。
民主主義が限界に来ています。私たちはみんな運命共同体、一人の一票にみんなの暮らし
がかかっています。みんなで協力し合って投票所へ！！
  ※下記3番目の項目以降はツイッターのDappi疑惑＋国民投票の課題です。深刻な問題な
のでご一読いただければ幸いです。
  ※岩上安身さんのIWJはもっか総選挙情勢について続々スクープの号外を発信しておら
れます。大赤字を抱えながらも獅子奮迅の活躍中。会員登録すると充実のメールが毎日届
きます。
     https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/49675

●第100代・岸田文雄首相が誕生、10月4日に新内閣が発足しました。支持率は45％、49％
、59％（朝日、毎日、日経）、いずれも過去最低クラスで、「不支持率」40％（毎日）も
。ネットでは新任・先代・先々代の首相や与党議員に絡みつく黒い霧の振り返り記事が増
えました。しかし岸田首相は14日にさっと国会を解散、19日公示・31日投開票という最短
の選挙日程を発表。
新首相の「鮮度」が良いうちに総選挙との観測、たしかに自民党にとっては絶好の環境で
す。
6月半ば、管前首相は野党の求める通常国会延長を拒否して閉会、7月も臨時国会召集要求
に応じず、自民党の失策や疑惑の追求TV中継も休止。23日から8月は東京五輪に明け暮れ
、9月は総裁選一色。やっと臨時国会が召集された10月4日は首班指名、組閣、8日は首相
の所信表明…。
自民党は延々と電波ジャックして総選挙に突入しました。
最初から巧妙・周到な選挙戦略だったのか？という疑問を、今後の教訓にしましょう。

●岸田首相の所信表明は、新自由主義を否定したり「分配なくして次の成長なし」などま
るで野党のコピーに見えますが、順番はあくまで「成長＞分配」、肝心の金融所得課税や
所得倍増は消滅（株価が落ちたため？）。「家族や仲間との絆」の力を呼び起こすのが「
私の使命」なので、共助＞自助＞公助。広島出身で「核兵器のない世界」に触れるも、ク
リーンエネルギー戦略の実態は原発・核燃料サイクル推進と荻生田経産相。（日本は小型
核兵器も含め、核武装には原発が必要？）
改憲については党首討論会で「もちろん（不退転の決意）」と回答。
   ＊「成長と分配の好循環」アベノミクスとおんなじだ、優柔不断め　―室井佑月の「
嗚呼、仰ってますが。」　2021/10/2
     https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/296390
   ＊岸田内閣には「政治とカネ」疑惑大臣が9人も！ 今後も不祥事続出の予感【リスト
付き】　2021/10/06
     https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/295662
   ＊広島県連1.5億円の河井事件に不満爆発！ 岸田首相に突き付けられた「アベ切り捨
て」の“踏み絵”　2021/10/08
     https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/295719

自民党はこの10年近く、「議論の府・立法府」である国会を無力化したいかに見える言動
と、息を吐くようにウソを吐くと言われても、恥の認識が見えないことが致命的です。今
まで多くの詐欺的セールストークや宣伝に惑わされてきた私たちは、もう騙されないとい
う決意が必要ですね。

●「赤旗」日曜版10月24日号が重大なスクープ、ツイッターのDappi疑惑を報じました。
この問題は世論や投票行動、とくに国民投票にも大きな影響を与えかねません。とりわけ
若者層は新聞を読まずネット情報に頼るので、徹底的に解明する必要があります。
赤旗の続報や他サイトのフォロー情報を加えた概要は以下の通り：

「（政権批判の）野党やメディアをウソ情報で攻撃する…ツイッターの匿名アカウント『
Dappi』」、その回線契約者であるO社（2001年設立）の「得意先は“自由民主党”」（民
間調査会社）。
O社社長は、自民党本部の金庫番である事務総長の親戚だと自ら名乗り、17年には事務総
長の「親族」の所有地に新築した建物を登記、そのとき組んだ住宅ローンは、一般客が口
座開設できない「衆議院支店」だそうです。
O社には自民党の東京都連や政経塾、議員の資金管理団体が支出しています。
さらにO社の取引先、S社（1976年設立）は長年、自民党と極めて密接な（ダミー会社とま
で言われる）関係を築いています。自民党は毎年「寄附・交付金（負担金）」として約40
00万円をS社に支出、過去には自民党の幹部議員が入れ替わり立ち替わりS社の代表取締役
を務めていました。岸田首相も2年以上在任、甘利幹事長の名も。
2008年、当時の福田康夫首相が国会答弁で、自身も在任していたことを認め、「非常勤か
つ無報酬の取締役に就任するのが慣例」、信頼関係重視の「充て職」だと説明しています
。
ただ、自民党の実力者・事務総長は、S社の取締役に10年以上在任していました。
（下記3番目のサイトは赤旗スクープ記事の画像が見やすく、Dappi疑惑への反論もご参考
）
   ＊Dappi運営会社と“安倍の懐刀”自民党事務総長・元宿氏との関係！ 社長は“自民
党事務総長の親戚”を名乗り、元宿氏の親族の土地に家を
2021.10.21
     https://lite-ra.com/2021/10/post-6053.html
   ＊匿名ツイアカ「Dappi」に新疑惑！ 運営法人の取引先企業幹部に岸田首相、甘利幹
事長の名前　2021/10/20更新
     https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/296085
   ＊共産党「Dappi運営企業社長は自民党本部事務総長の元宿仁の親戚」 　2021年10月2
2日
     https://www.jijitsu.net/entry/Dappi-jimin-motojuku

●Dappiの回線契約者が企業だとわかったのは、立憲民主党の小西洋之議員と杉尾秀哉議
員が昨年12月、Dappiツイートを名誉毀損で訴えて情報開示請求を開始、今年ようやく回
線契約者にたどり着いて10月6日に情報が開示されたからです。
Dappiアカウントは最初2015年にツイートを開始、その後ツイッターのルール違反で凍結
され、19年6月に現在のDappi2019が引き継いだと見られます。
ツイート履歴の分析結果によると、ほとんどが平日の9～18時に発信され、年末年始や夏
期休暇の頃はツイートが無いという仕事ぶりから、ブラックな職場ではなさそうとのこと
。
また、大量のDappiツイートをリツイート（拡散）した外部アカウントは、自ら発信した
ツイートの回数が異常に多く、不自然だそうです。
   ＊法人運営型右派アカウントDappiのツイートは不自然な拡散をしていたか　鳥海不二
夫・東京大学大学院工学系研究科教授　10/18(月)
     https://news.yahoo.co.jp/byline/toriumifujio/20211018-00263479

法人による運営がほぼ裏づけられたネット工作アカウント。その実在が明らかになったの
は初めてかもしれません。これまで安倍応援団の極右ぶりは聞いていましたが、これは次
元が違います。

●Dappi疑惑が示唆する深刻な問題は、法人組織が密かにデマや歪曲情報を作って世論や
投票行動を操り、民主主義の土台を崩し、平和憲法を壊しやすくすること。ネットで調べ
た範囲ですが、もっかの事実関係は：
・企業が回線契約し開設したツイッターアカウント。ツイート参加者が一括匿名で発信で
きる。
・活動は、自民党の政敵を標的にしたブラックキャンペーン、事実上のネット工作。自民
党関係者しか入手できない内部資料に基づくツイートもあり。
・法人が一般的な勤務形態で運営し、組織として集団で発信し、不自然な拡散がされてい
る。
・アカウントの回線契約をした企業は、社長が自民党・要人の親戚で、「得意先」が自民
党。また、同社の「取引先企業」は、自民党と長年密接な関係にある。
・両社とも、自民党からの定期的な収入がある。

この疑惑も「運営が勝手に忖度した」「ツイートは自己責任」と矮小化・尻尾切りの余地
はありそうですが、「政治的な裏工作をする会社組織」が実在するのは事実です。
本来、「背後関係の疑い」を生んだだけで内閣は総辞職、自民党の関係者は全員土下座で
す。

●第2第3のDappiモドキ会社組織はないのでしょうか？　自民党がらみの選挙妨害やネッ
ト工作疑惑は数々ありますが。
2010年5月に発足した「自民党ネットサポーターズクラブ（J-NSC）」は、「反安倍をたた
く宣伝工作部隊」とも言われます。Wikipediaには会員19000人のボランティア団体で、活
動は自己責任、と。実態は？
ネット選挙運動が解禁されたのは2013年4月、その2か月後に自民党組織「Truth Team（T2
）」が発足。「Internet
Democracy」のためにネット世論を分析し、「誤解に基づく情報」を修正？　民主主義の
ために監視・修正パトロール？
政党独自の警察・司法？？
   ＊自民党「Truth Team（T2）」がキックオフ！　ネット上の国民の声を活かし、新し
い政治のカタチを　2013/06/19
     https://www.jimin.jp/news/policy/129875.html
   ＊他党の選挙妨害も！自民党の公認ネットサポーターの正体はネトウヨだった!?　201
5.01.10
     https://lite-ra.com/2015/01/post-776.html

安倍氏といえば「#ケチって火焔瓶」で有名な、22年も前の下関市長選。対立候補の中傷
ビラを「事務所が」人にバラまかせ、報酬が約束より少なくて暴力団が安倍事務所と自宅
に火焔瓶を投げ込んだ事件です。安倍氏側は全員お咎め無し。
安倍氏には、手段を問わず敵をねじ伏せる「無法な体質」が根深くあるのかもしれません
。

●安倍元首相が執着する憲法の改正4項目は①自衛隊明記 ②緊急事態条項 ③合区解消・
地方公共団体 ④教育の充実。
自民党と維新の会は平和憲法を積極的に改変希望なので、穴だらけの国民投票法を歓迎し
ます。
本間 龍さんの著書『メディアに操作される憲法改正国民投票』（岩波ブックレット
2017/9/6刊）は、ネット工作には触れていませんが、国民投票は現状すでに自民党が圧倒
的に有利である事実関係をリアルに伝えています。本書の①紹介と②内容説明と③著者略
歴（Amazon）を以下転載：
  ①「支持率が落ちるも改憲に固執する安倍首相。だが、現行の憲法改正国民投票法には
致命的欠陥がある。投票運動期間中の広告規制がほとんど存在しないのだ。改憲派のメデ
ィア戦略を一手に握るのが電通であることもあまり知られていない。これらを放置したら
一体何が起こるのか。手遅れにならないために、第一人者が警鐘を鳴らす。」
  ②「国民投票の帰趨を左右するのは広告宣伝、ここで改憲派は圧倒的に有利な状況にあ
る。投票運動期間中のメディア規制がほとんどないのをいいことに、豊富な資金力をもと
に巨大広告代理店=電通が一手に作成するテレビCMを大量投入できるのだ。国の将来を決
める局面で、国民は、果たして公正な判断ができるのか?」
  ③「博報堂で18年間、一貫して営業を担当。2006年同社退職。博報堂時代の経験から、
原発安全神話を作った広告を調査し原発推進勢力とメディアの癒着を追及。また、東京オ
リンピックなど様々な角度から大手広告代理店のメディアへの影響力の実態を発信するな
ど、幅広く活動」

共著もあります：『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』（本間 龍、南部義
典　集英社新書　2018/4/17）

電通はとくに安倍政権とWinWin双方両得のようです。昨年はコロナ禍のお蔭で？前年同期
赤字から大幅黒字転換、“安倍政権の情報操作部隊”としては上記「Truth
Team」を発案したとか、沖縄県知事選で話題になったデニー知事への激しいデマ攻撃にも
関与したとの内部情報がある由。
   ＊電通の"2年ぶり黒字"に「安倍政権が仕事回した」「血税中抜きで儲けた」のツッコ
ミ！実際「官公庁・団体」の売上が873億円と倍増　2020.08.14
     https://lite-ra.com/2020/08/post-5575.html

●ネットには以前から不自然な動きがありました。例えばかつての掲示板「２ちゃんねる
」（西村博之氏個人が開設・管理）は匿名性が高く、研究者が専門分野で議論する掲示板
がある一方、過激な罵詈雑言や偽情報が飛び交う荒れた掲示板が多く見られました。多様
な騒動が起きた中には、反日や反米と決めつけて、目を覆う誹謗中傷の嵐になったケース
もあります。
この種の煽りや荒らしには威嚇の効果があり、批判すれば実名・住所を晒されたり、重い
トラウマや自死にもつながり、恐怖から口をつぐみます。
「組織的な工作員が小遣い稼ぎで煽っている」と言われていました。パソコンを操作すれ
ば1人で何人もが書き込んだように見せかける方法もある、と。仲間が少なくても、標的
サイトを一斉攻撃してサーバーをパンクさせたり閉鎖に追い込むことも可能、と。
日々進化するコンピュータ技術を駆使すれば、ネット洗脳力は飛躍的に大きくなります。
とくに安倍政権になってネットも右傾化が激しくなり、「気持ちが悪い、不気味」という
声もありました。

マスコミや検察のみなさん、是非Dappi疑惑を究明して下さい。
これを放置すると同様の組織が増殖・エスカレートし、国民はますます事実や真相を知る
ことができません。
         （Ｗ・Ｏ）

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  ※ 下記は当会刊行の冊子シリーズです。
     最新刊の冊子シリーズ11、後藤富士子弁護士著『日本国憲法の司法
―「法治国家」から「法の支配」へ』を筆頭に、シリーズ8～10もご好評をいただいてお
ります。
     ご希望の方はシリーズ番号と部数と送付先を本アドレス宛にご一報下さい。
     https://kanzengoken.com/?page_id=6302

★ 完全護憲の会 刊行物のご案内（2015年4月～）★
（１）シリーズ１『日本国憲法が求める国の形』（実費300円）
     （付・日本国憲法全文／「完全護憲の会」設立趣意書及び会則）
   ☆当会の原典。現憲法と現国政とのへだたりを列挙。

（２）シリーズ２『安倍政権下の違憲に対する緊急警告』（実費50円）
     緊急警告001号～013号（2015年～2016年）
   ☆第三次安倍内閣における違憲を告発。

（３）シリーズ３『戦前の悪夢・戦争への急カーブ ―安倍政権3年のあゆみ』 岡部太郎 
著（実費300円）　※在庫なし
     前・当会共同代表・岡部氏の月例「政治現況報告」集（2014年1月～2016年11月）
   ☆岡部太郎氏は元・中日新聞東京本社編集局政治部長（東京新聞）、2018年4月逝去、
86歳。

（４）シリーズ４『明治帝國憲法下のくらし ―自民党改憲草案のめざすもの― 羽毛より
も軽かった人のいのち』（実費300円）
     （付：大日本帝国憲法／教育勅語／軍人勅諭／戦陣訓／自民党改憲草案）
   ☆当時の人命はいかに使い捨てられたか。詩「地獄の話」（濱口國雄作）収録。

（５）シリーズ５『平和に向けて活用したい道徳 ―教育勅語の重圧と死線をさまよった
臣民たち 歴史から見る道徳の教科化』 山岡聴子 起草（実費400円）
     （付：教育勅語(明治23年)／小学校祝日大祭日儀式規定(明治24年)／教育基本法(旧
法)/同(新法)）
   ☆教育勅語から教育基本法（旧・新）への変遷。

（６）シリーズ６『朝鮮半島情勢と私たち ―北東アジアの平和と繁栄のために』 大畑龍
次 起草（実費400円）
     （付：南北共同声明／南北共同宣言／日朝平譲宣言/南北首脳宣言／日朝ストックホ
ルム合意／南北板門店宣言／トランプ大統領と金正恩国務委員長のシンガポール米朝首脳
会談共同声明）
   ☆米朝首脳会談後の行方、朝鮮半島の非核化、南北統一実現の前途を見る。

（７）シリーズ７『安倍政権下の違憲に対する緊急警告２』（実費100円）
     緊急警告014号～033号（2016年～2018年）
   ☆第三次及び第四次安倍内閣における違憲を告発。

（８）シリーズ８『スマトラ島で敗戦 マレー半島でJSP ―学徒徴兵・私の戦争体験記』 
福田玲三 著（実費400円）
     （付：『馬南歌集 残響』）
   ☆JSP（降伏日本軍人）の現地における文集や歌集を収録。

（９）シリーズ９『未来への小さな礎（いしずえ） ―戦争の惨禍を見つめて』 山岡聴子
 著（実費400円）
   ☆日本が行った侵略戦争の跡をたどる。

（10）シリーズ１０『三鷹事件・巨大な謀略の闇 ―冤罪晴らす再審開始を』 福田玲三 
著（実費400円）
     付記：下山事件・松川事件
   ☆いまなお再審請求中の三鷹事件を中心に、下山事件、松川事件の真実を語る。

（11）シリーズ１１『日本国憲法の司法 ―「法治国家」から「法の支配」へ』 後藤富士
子 著（実費400円）
     付記：「完全護憲の会」設立趣意書および会則
   ☆戦前の司法は「ドイツ型」であり、戦後は「アメリカ型」に転換したが、古い尻尾
が残した課題を検証する。

引き続きご支援ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

完全護憲の会　事務局・福田玲三
kanzengoken@gmail.com
公式ホームページ
http://kanzengoken.com/