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●政治時評

格差の広がりが「維新」躍進の秘密

志真秀弘

 今回の衆院選で「日本維新の会」(以下「維新」と略す)は前回(11議席)の4倍近い41議席を得た。大阪府下19の小選挙区のうち公明の3議席をのぞいてすべてとり、比例区の25議席が加わった。

この躍進の秘密は何か? 

 大阪の小選挙区を例に考えてみたい。
まず考えられる大きな要因は、二度(15年、20年)にわたる大阪都構想をめぐる住民投票が「維新」の足腰を鍛えたことだ。維新は2回目の20年投票時には府義会の57パーセント、市議会の48パーセントの議席をすでに持っていた。かれら議員たちは「維新」の首長たちと共に公明ともくんで、住民投票のため地域の隅々まで駆け回った。結局投票では負けたが維新の根は強く張ることになった。今回の得票を見ても明らかだ。自民党に野党共闘の票を加えなければ維新を上回ることはできない。彼らは大阪に確実に根付いた。

それでは維新はどんな主張をしているのか。

 選挙前に公表された72ページに及ぶ「日本大改革プラン」を見てみる。はじめに\農改革⊆匆駟歉祺革成長戦略の「改革の三本柱」が示される。内容は)/誉任半暖饑任鮓裟任圭蠧誓任10%と30%の二つの税率にして、一方所得控除、障害者控除、寡婦控除などはなくす、▲戞璽轡奪インカム(最低所得保障)月額6万円を全国民に支給することで社会保障は廃止する、O働市場の流動化、つまり解雇しやすく再就職しやすいシステムを作り経済成長を図ろうというもの。要はこの「改革」はすでに進行している格差拡大に拍車をかけることにしかならないのは明らかだ。ベーシックインカムひとつ取ってみても、その予算100兆円の財源も不明であるように全体として画に描いた餅にすぎない。

そんな政策の「維新」を支持しているのは、ではどんな人たちか。

 興味深い論文がある。「維新政治の本質―その支持層についての一考察」がそれである(冨田宏治・関西学院大教授、『住民と自治』2018年11月号)。支持層は中心街に並ぶタワーマンションや郊外戸建てにくらす「勝ち組・中堅サラリーマン層」だと結論付けている。反面12年の時点で、すでに大阪の子供の貧困率は21.8%で、沖縄に次ぐといわれた(山形大・戸室健作准教授)。中心街にタワーマンションと地べたの文化住宅が並び、格差による分断が目に見えるのが大阪の街の特徴とされる。この日常見られる大阪らしいコントラストが中間層の差別感情を煽ると論文で指摘されている。常日頃、企業内外の生存競争で弱肉強食・優勝劣敗が身に染みているかれら「中堅サラリーマン」たちは、「貧乏人」たちに自分たちの税金を吸い取られるような錯覚に陥るのだろう。

 今回選挙の出口調査によると(植木映子・『朝日』記者、Yahooニュース)、維新の支持者には40代、50代の人が他党に比べて多いと指摘されている。維新支持の中心が「勝ち組」であることのこれは傍証と言える。格差=分断の固定化は「勝ち組」にとって望むところだろう。トランプ支持の白人中間層に見られた黒人、ヒスパニックに対するルサンチマンにもこうした感情は類似しているかもしれない。いわゆる「ネトウヨ」(ネット右翼)も同じ感情を持つ同質の階層だろう。

そうみると「維新」現象の根は広く深い。

 一方で「野党共闘」のあり方、それをどう深化させるかが問われている。早速始まった「野党共闘」攻撃を跳ね返すために何が必要か。簡単に答えは出そうにないが改めて考えてみたい。


Created by staff01. Last modified on 2021-11-07 13:50:27 Copyright: Default

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