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〔週刊 本の発見〕『ほんとうのリーダーのみつけかた』 | ||||||
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「同調圧力」にどう対抗できるのか『ほんとうのリーダーのみつけかた』(梨木香歩著、岩波書店、2020年7月刊、1320円)評者:佐々木有美
まず、自分のことを考えてみる。恥ずかしながら「同調圧力」にたびたび屈している自分の姿がある。一人異論をとなえ、それを周囲に説得するには、相当なエネルギーがいる。そして、余計な波風を立たせたくない。この程度のことなら、同調してもかまわないだろうと相槌を打ってしまう自分。ため息が出る。 犬の話が出てくる。犬のしあわせは、信頼できるリーダーのもとで安心してその命令に従うことらしい。著者は、人間も群れをつくって生き延びてきた動物だから、無意識にリーダーを求めている。それは決して悪いことではない。仲間はずれには誰もなりたくないという。「問題は、それが自分のほんとうに入りたい『群れ』や仲間でないのに、そういう人間の本能に急かされて、犬が上位の犬の機嫌をとろうとしてお腹を見せてひっくり返るような行動をとってしまうとき」。その時の「自己嫌悪感」に著者は注目する。 それは、自分の中で自分を見ている目の存在だ。それが「ほんとうのリーダー」だと。「チーム自分。こんな最強の群れはない。これ以上にあなたを安定させるリーダーはいない。これは個人ということ」。いろいろな群れがあるが、それに所属する前に「個人」として存在することの大切さを著者は訴える。そして「個人」としていつづけるには、自分を客観視すること、自分をも含めて批判すること、自分自身で考える事が大事だという。ふと考える。こうした教育をわたしは受けてきただろうか。一番大切なことを教えない教育って何だろう。
「君が代」不起立教員の根津公子さん(写真)の話を思い出す。2003年に東京都で起立強制が始まり、2005年の卒業式のとき、根津さんは、不起立を決意していたが、さまざま事情で立つかもしれないという思いも抱えていた。そして斉唱のその時、根津さんの頭をよぎったのは、捕虜を突けと命令された初年兵の姿だったという。校長に促されて一旦は立ち上がりかけながら、根津さんは、「突く」ことなく、不起立を最後まで続けた。「自分の頭で考えよう」と生徒に言い続け、自らもそれに忠実だった根津さんの姿である。自分の存在を脅かすような極限の同調圧力がかかったとき、わたしたちはどう行動するのか。それは日々日常の積み重ねの中からしか生まれないものだろう。 ※著者の梨木香歩は、1959年生まれ。児童文学作家・小説家。作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『沼地のある森を抜けて』『僕は、そして僕たちはどう生きるか』ほか、エッセイに『渡りの足跡』『水辺にて』ほか、多数。 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・根岸恵子・志水博子、ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2020-11-25 23:07:11 Copyright: Default |