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LNJ Logo アリの一言:「NHKらしくない」森喜朗五輪会長が記者会見で圧力
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「NHKらしくない」森喜朗五輪会長が記者会見で圧力

2020年11月17日 | オリンピックと政治

    
 来日中のIOC(国際オリンピック委員会)バッハ会長と森喜朗大会組織委会長が16日午後5時半から約1時間記者会見しました(写真左、中)。その内容は、無謀な東京オリ・パラをあくまでも強行するというもので、目新しいことはありませんでしたが、終わり近くで、森氏と記者の間で見過ごせないやりとりがありました。以下はユーチューブの中継からです。

 質問したのはNHK記者。NHKの調査では、今年契約が切れる五輪スポンサーの多くが契約更新の意向を示していないが、これで大丈夫なのか、という質問です。それに対し、森氏はこう答えました。

 「NHKらしくない設問(調査)をしたものだ。回答は会社の一部の者の個人的意見だ。コロナ禍で経営が苦しい時に、(五輪の)スポンサーをどうするかと聞けば、難しいと答えるにきまっている。今の時点でスポンサー契約が企業にとってプラスかどうかを聞くなどどうかしている。この時期にそういう設問をするのはNHKらしくない

 NHKは先月、五輪のスポンサー契約を結んでいる国内企業約60社に契約更新の意向をアンケート調査し、その結果を今月14日に報じました。
 それによると、「スポンサー契約を延長するか」の設問に対し、「延長する」が30%(16社)に対し、「決めていない」が61%(33社)でした(写真右)。また、「期待していたメリットは得られそうか」の設問には、「得られる」が22%(12社)、「得られない」が9%(5社)、「わからない」が65%(35社)でした。

 NHK記者の質問はこの結果を踏まえたもので、この報道を見ていたと思われる森氏の答弁が前記のものです。この森発言は重大な問題をいくつもはらんでいます。

 第1に、NHKの調査結果は東京五輪強行が困難なことを示す重要なものです。ところが森氏はその結果についてまともに答えていません。五輪開催にとって厳しい現実にはフタをしようとする森氏、組織委員会の姿勢が端的に表れています。

 第2に、「NHKらしくない」とはどういう意味でしょうか。それは、NHKは東京五輪開催を後押しするもの、開催に不都合な報道はしないもの、さらに言えば、NHKは時の政権に都合の悪い報道はしないもの、という森氏の“確信”ではないでしょうか。だからあんな結果を出す調査・報道は「NHKらしくない」と。安倍政権、菅政権の後ろ盾になって五輪強行の先頭に立っている森氏のこの発言は、NHKと政権の関係をはしなくも露呈したものといえるでしょう。

 第3に、記者会見におけるこの発言は、NHKに対するけん制にとどまらず、メディア全体に対する権力の圧力に他ならないことです。「NHKらしくない」を繰り返して質問した記者をにらみつけた森氏の言動には、“俺たちに歯向かうような質問、報道はするな”という権力の横暴がにじんでおり、それは当然現場の記者たちにも伝わったでしょう。これは記者会見と言う公の場における報道圧力、報道の自由に対する敵対にほかなりません。

 こうした森氏の報道圧力が、日本学術会議問題で露呈した政権による「学問の自由」の侵害と通底していることは言うまでもありません。

 森氏が先頭に立って旗を振っている東京オリ・パラ開催は、こうした国家権力の横暴と表裏一体です。その意味からも開催の強行は絶対に容認できません。


Created by sasaki. Last modified on 2020-11-17 07:54:05 Copyright: Default

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