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コロナ災害で苦しむ人々の実態〜レイバーネットTV第152号(9月16日放送)

報告=笠原眞弓

アーカイブ録画(90分)

 今回の特集は、会員がコロナ禍難民を助けたいと瀬戸大作さんに相談に行き、あまりの現状に言葉を失ったことがきっかけ。話を聞けば聞くほど憲法25条の「生存権」に違反していることが浮き彫りになり、怒りで震える。
 そして姑息なコロナ利用の労組つぶし。以前に勝利解決した韓国サンケンの新たな闘争の紹介。ウニョンさんたちとネットでつなぎ、労働者は、打たれれば打たれるほど強くなることを示した。

司会:尾澤邦子・北穂さゆり

<動画ニュース>

 今回3本です。
〇澆瓩討皀▲拈治を許さない!国会前に170人
 8月28日に7年8ヵ月続いたアベ政治が終わった。しかし澤地久枝さんが呼びかけた恒例毎月3日の「アベ政治を許さない!国会前集会」が、9月3日も170人を集めて行われた。松元ヒロさん(写真下/放送画面)の麻生の物まねで笑いを取った。参加者たちはすべてがスガに引き継がれたことを遺憾とした。

関東大震災97周年 すべての朝鮮人が遺族だ

 今年も9月第1土曜日におこなわれてきた関東大震災時に殺された朝鮮人の追悼式が、400人の人を集めて荒川河川敷で行われた。在日2世のシンミンジャさんは「自分が殺される側である恐怖を常に持っているが、同時に日本人の中にも、また殺してしまうかもしれない恐怖を持つ人と出会ったことは、大きなことだった」と語る。チョウパクさんのこの日のために作った歌の演奏の後、韓国の民俗芸能プンムルが死者を偲んだ。

CΩ業は終わらない!経産省テントを建てて10年

 経産省前に脱原発のテントが建って10年目を迎えた。2016年にテントは撤去されたが、その後も人々の胸の中に建ち続け、河合弘之弁護士が言うように、経産省の喉元に匕首を突き付けてきた。この日も福島からの避難者であり、テントに生きる力を得たという亀屋幸子さんはじめ、さまざまな形でかかわってきた300の人が参集し、必ず脱原発をと誓った。

と鸚亀差別NO!最高裁アクション(メトロコマース裁判)

 9月15日に労働契約法20条をめぐるメトロコマース裁判の最高裁弁論が行われた。それに先立ち最高裁前アクションがあった。「非正規差別は、女性差別」「同一労働同一賃金をあきらめない」と非正規労働者2000万人に及ぼす判決を前に、後呂良子さんなどが力強く訴えた。

<ザ争議 : 韓国サンケン労組の新たなたたかい>

 2016年にレイバーネットなど日本の労働者が協力した韓国サンケン労組と親会社の日本のサンケン電気との闘争が、解雇無効の勝利解決をした。ところが、彼らから信じられない報せが届いた。そこには韓国サンケンの解散を、サンケン電気が7月9日にホームページで一方的に発表したとあった(会社解散は全員解雇を意味する)。コロナ禍で渡航ができないことを利用したものだという。
 それを受け、早速以前支援した人たちが中心になって、新たに「韓国サンケン労組を支援する会」を立ち上げ、木曜行動を開始した。今日は封鎖発表後ただちに韓国サンケンの工場前でテント籠城をはじめた彼らとのオンライン放送である。レイバーネットTVとしても、海外との初めての試み。

 韓国サンケン労組の副分会長のキムウニョンさんたち(写真上/放送画面)は、テントの中から元気な声でこちらの質問に答えた。
 まず、この解雇の違法性を訪ねると「廃業は6か月前に労組に通知、協議すること」とあり、OECDガイドラインにも沿う当然の要求だという。
 この会社整理は計画的で、工場内の仕事は、家内工業でもできるようなハンダゴテ仕事だった。しかも労組の知らない間に韓国内に別会社を株式100%で引き受け、かなりの利益を得ていたと。そこで使う工作機械を赤字の韓国サンケンが代理購入し、赤字幅を大きくしていたことも封鎖への布石だったと説明する。
 ところが、労働者はしたたかである。日本の「支える会」で本社前行動を、スマホのオンラインでつないでした抗議行動は、連帯感も十分あったと日本側。
 彼らも66日になるテント籠城を軸に、あらゆる機会をとらえ、他の労組や市民団体と連帯して闘っているという。一緒に座り込みをしている他の組合員も日本の仲間との連帯と周到な闘争で、必ず勝利すると口々に言う。
 ウニョンさんはじめ彼らの「元気」を見ているうちに、今度も負ける気がしない。ともに頑張ろう!!

<休憩 ジョニーHの歌・乱鬼龍の川柳>

 まず韓国の歌「俺のギターが爆発しそうだぜ…」と韓国語と日本語でジョニーHさんが歌う。乱さんの川柳は「コロナから見れば政治が貧し過ぎ」「菅内閣スカ内閣と読めてくる」と2句。

<特集 : コロナ災害 支援活動から見えてきたもの>

動画ココカラ

コーナー司会:根岸恵子さん
ゲスト: 瀬戸大作さん(反貧困ネットワーク事務局長)
     雨宮処凛さん(作家・反貧困犬猫部)

 トップは、支援現場の当事者の声の動画が流れる。携帯は切られ、ネットカフェも休業、風呂も入れず、今後の不安を語りつつ、瀬戸さんたちに紹介されたホテルに行き暖かい毛布に感激する。

・まず緊急資金を集める

 スタジオには、瀬戸大輔さん、雨宮処凛さんがそろう。コロナ禍で非正規や派遣、アルバイトなどが失業していく中、12年前の派遣村をしのぐ深刻な事態になると直感した瀬戸さんらは「新型コロナ災害緊急アクション https://corona-kinkyu-action.com/」(現在35団体)を4月11日に立ち上げた。まずしたことは資金を集めのための「緊急ささええあい基金」を作る。当初から所持金がなくて路上に出る人が相当いると予想されたからだが、不幸なことに的中した。
 現在、9千万円が集まり、発足後4か月半でおよそ3千万円が給付された。

・支援に駆けずり回る日々

 「所持金100円です」と緊急アクションの相談ホームなどから入ると、瀬戸さんは夜中でも車で駆けつけ話を聞き、アセスメント(最も必要な対処)をする。今日は3人の相談に乗ってきたと瀬戸さん。3時半まで豊島区で生活保護の申請同行をして、4時に赤羽に、6時20分に鎌田にいた。そして7時すぎにはスタジオ入りしてくださった。瀬戸さんの場合、事務仕事の「相談に乗る」のではない。当座の寝るところを探して数日の生活費を渡す。生活の立て直しのために生活保護(以下生保)の同行申請し(同行しないと、相手にしてくれない窓口が多い)、アパートを探すなど、これから先の親身な提案をして、さらに後日フォローをしていく。そんな支援を瀬戸さんだけでも、これまで200人近くしている。
 所持金のない人たちはもともと非正規・派遣で、コロナで仕事を切られてしまった人たち。多くの人たちが正規社員の経験がなく、最初からアパートを借りる資金がなく、ネトカフェや会社の寮暮らしが多い。「仕事を失う=住まいを失う」パターンなのだ。

・女性も目立つ失業即ホームレス化

 雨宮処凛さんは、電話相談や生保同行申請もしていて、女性の目線で支援への目配りをする。12年前の「年越し派遣村」との違いは、女性が多いこと。電話相談は、半分が女性。緊急ホームページ内からの連絡も、2、3割が女性。12年前は、親や夫からのDVなど複雑な要素があったが、今回は「失業即ホームレス」が目につくという。シェアハウスも一見キラキラしているが、ちょっとの家賃滞納で追い出されるのが実態とか。

・生活保護は権利? 窓口対応は?

 コロナ禍がはじまったころ、安倍総理は「生活保護は権利です」と言ったが、権利になっていないと実例を挙げる。  役所の住所によって、生保申請者に対する対応は、千差万別と瀬戸さん。東京23区はまともな対応は5区くらい。三多摩は、府中だけと言える。
 杉並区高円寺の福祉事務所でのこと。申請は通っても支給まで2週間かかる。それまでの生活費として.前払い金を出すのが通例だが、窓口がくれない。請求すると、出してきたのが1日380円。暮らせない。板橋区は2400円くれる。そこで、瀬戸さんが抵抗したら、係員が「2か月間路上生活してきたんだから、当たり前だ」と言い放った。そんな暴言を受けたら、2度と申請したくない。
 雨宮処凛さんも千代田区での経験を話す。生保申請は受付けられたが、前払い金が出ない。その代わりに、災害用備蓄品の缶詰や水を渡される。現金だって必要だ。交渉の結果、1日2400円が出たが…と呆れる。

・基本的生活の安定は生きる上で欠かせない

 瀬戸さん、雨宮さんがこもごもに語るのは、相談者の思い。彼らの2、3割は以前に生保を利用している。その人たちが、生保申請を渋る。施設(無料低額宿泊所など・以下無低)に入ることを強要され、そこでいやな思いをする。上尾で申請して、東松山の無低に入ったが、3か月間1度もケースワーカーが来ない。11万5000円ほどの支給で、8万は施設が様々な名目で徴収。風呂は5時までで、集団生活なのだ。彼らが渋るのもうなずける。
 この生保嫌いは、2012年にあった、芸能人の母親の生活保護受給問題。マスコミや自民党まで巻き込み「生保受給者を監視しましょう」のバッシングは、自殺者も出るほどだったという。そのことが、今困っている人たちにも刷り込まれていて、命の危機が迫っていても生保を避けたがるのだと。
 それでも彼らに生活保護を勧めるのは、基本的な衣食住を確保することが、生活再建につながるからだ。それに今後、年末に向かって企業倒産が控えている。だからこそ、基本的生活の安定は欠かせないと強調する。

・医療問題その他

 立て続けに起きた病人の救済例(お金が無いから病院に行けず、重症化したケース)については、無料低額診療制度を知らない人も多い。これは、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金で診療を行う制度。厚生労働省は、「低所得者」「要保護者」「ホームレス」「DV被害者」「人身取引被害者」などの生計困難者を対象としている。  さらに雨宮さんは、細やかに女性独特の支援やペット問題にまで言及した。

・外国人の支援 一番深刻なのは彼ら

 瀬戸さんたちがかかわっている外国人は、難民申請中で法制上働けない人が多い。これまでは教会やコミュニティーで支援を受けていたが、コロナでミサがなくなり、仲間も仕事を失う。このグループが一番深刻だという。
 外国人から解雇がはじまり、家賃滞納で追い出される中、瀬戸さんが出会った外国人の中にこんな例が。臨月なのに夫が解体業で仕事がなくなり、4か月の家賃滞納だという。緊急アクションの対象ではないが、特例として2か月分の家賃を払い、出産補助を紹介して無事出産したという。

・公的対応の拡充を求める

 とっくに民間のできる範囲を超えているので、公的支援の拡充をするしかないと雨宮さん。民間団体が3000万円も使っているのは、明らかにおかしいと続ける。しかもたまたまネットでつながった人だけというのも違うのではないか。公的に対処するべきだという。
 4月の段階で25%も生保の申請が増えた。これまでもケースワーカー1人に対して100人の担当で、オーバーワークだったのに増員されていないという。そのため、きめ細かな支援ができないのではないかと指摘する。
 瀬戸さんは、これまでの3回の政府交渉で要求していることは、「差別と排除をやめろ」「日本の国土の中に住んでいるすべての人に対して、最低限の支援をするべき」ということなのに「検討します」と言うだけと、悔しさをにじませる。   政府への要望は尽きない。一歩外に出れば、さまざまな事情で人間としての最低限の生活のできない人がいる。そういう人たちを「自助」と言って切り捨てるのかと、聴いている私も、新政府に対する危惧の感情が湧いて来るのだった。

*写真撮影=小林未来


Created by staff01. Last modified on 2020-10-09 19:26:12 Copyright: Default

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