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ブッククラブがオンラインで再開―『武器としての「資本論」』めぐり討論

6月27日(土)開催のオンラインでのレイバーブッククラブ第21回は、10人の方が参加しました。京都・岡山・ソウルからと遠方の参加もあり、賑やかで活発な討論ができました。初参加の方も3人いました。

 今回の『武器としての「資本論」』(白井聡、東洋経済新報社)は、マルクスの『資本論』によって新自由主義=現代資本主義を読み解くのが主題で、新鮮な切り口からの豊富な問題提起があり、いまの社会を考える議論ができました。著者は資本主義の成立を「物質代謝」と「商品」の概念をキーに説明しながら、労働者が資本に絡めとられる構造を明らかにします。同時にいま労働者階級が資本に魂まで「包摂」される時代の中にいることを指摘します。このあたりの解明のあざやかなことは参加者の一致した感想でした。

また若い世代は「寅さん」映画がわからない、消えた「デコトラ」文化、中島みゆき「ファイト!」などのエピソードはまぎれもなく労働者階級の変化を示すと共感しきりでした。

参加者の声を紹介します。若い参加者Fさん(30代)の声です。

「皆さんは公害運動・賃金闘争などで人々が連帯できた、古き良き時代をご存知の方々でしょうから、今の若い世代のなかで、これほど社会の矛盾が露呈しているのに、どうして左派勢力が大きくならないのか、なかなか理解できないと思うのですが、今回、とても良い本を皆さんと読むことができて、私としても理解が深まりました。(中略)『今の若い世代は、幼いころから新自由主義的な競争と分断に巻き込まれて、資本主義を内面化した人生に、鎖でつながれている』この実例をお見せしましょう。(中略)正直なことを申しますと、こういう新自由主義から人々が脱出するための書が、『資本論』なのか、私には何とも言えないのですが(アルチュセールなら肯定するでしょう)、このままでは現代日本は生き地獄でしかないので、人々の考え方を、どうにかしないとな...と考えております。」

 本書後半の三つの章は『共産党宣言』を引きながら階級闘争の理論と現実を考えるある意味で挑発的な文章で、「労働組合」を中心にした戦略が機能せず「組合」も「正体不明」になったと述べられています。が、この主張に納得できない旨の発言がある一方で、別の角度からの意見も出されました。それは組合運動の現状を見直す必要こそあって活動のあり方に問題点も多い、むしろここで著者のいう感性を取り戻すことが運動再生のキーにもなるのではないかというものでした。

また本書に恐慌への視角、あい闘う階級の共倒れ(『共産党宣言』)への論及が見られないなどの意見もありました。

 が、ともあれ『資本論』を現在の課題に直に関わる本として、読みやすい語り口で生き生きと蘇らせたのはこの本の功績でしょう。

なお若い論客で知られる斎藤幸平さんは、本書を「名著」と評したうえで(webサイト東洋経済オンライン)、『フツーの仕事がしたい』(土屋トカチ監督)を非正規労働やブラック企業蔓延のこの社会を変える「足がかり」になるドキュメンタリー映画と紹介しています。

次回、第22回は今回と同じくやはりオンラインで、81日(土)午後2時〜4時。取り上げる本などについては別途案内します。(志真秀弘)。



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