![]() |
言葉で時代にどう立ち向かうのか?/「反戦川柳句集」出版記念シンポジウム | ||||||
Menu
おしらせ
・レイバーフェスタ2024(報告) ・レイバーネットTV ・あるくラジオ(2/23) ・川柳班(投句受付中) ・ブッククラブ(3/20) ・シネクラブ(2/2) ・ねりまの会(1/31) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭 ・夏期合宿(8/24) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第98回(2025/1/10) ●〔週刊 本の発見〕第377回(2025/2/13) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2025/2/4) ●川柳「笑い茸」NO.159(2025/1/27) ●フランス発・グローバルニュース番外編(2025/2/2) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第97回(2024/12/30) ●「美術館めぐり」第7回(2025/1/27) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信
|
言葉で時代にどう立ち向かうのか?〜「反戦川柳句集」出版記念シンポジウム5月19日「崖っぷちの時代と川柳」と題した出版記念シンポジウムが「スペースたんぽぽ」で開かれた。約40人が集まり会場はいっぱいだった。ゲストの4人の話はどれも熱かった。聴衆からもこれに呼応するように自由な発言が続いた。「鶴彬(つるあきら)を初めて知った」「川柳の可能性を感じた。自分もやってみたい」等々。鶴彬の仕事を継承する「反戦川柳」という新しい川柳ジャンルが可視化された集いになった。 ゲストの一人、元教員の宇部功さん(写真上)は岩手県からやってきた。「教師の役割は子どもにどう生きるかを教えてこと。1970年代、出稼ぎ家庭が多く心がすさんでいた小学校の子どもたちと一緒に川柳を始めた。やったのは鶴彬の川柳を詠むこと。まず代表句『手と足をもいだ丸太にしてかへし』を取り上げた。子どもたちは意味がよくわからないので、この句について親から話を聞いてくることを初日の宿題にした」。宇部さんの噛みくだくような話ぶりに聴衆はどんどん引きつけられていった。「そしたら大変だった。親の戦争体験は語られ次から次に話が広がり授業が一日で終わらない。次の日は『かへし』の意味、『丸太にしてかへし』たのは誰だったのか? どんな戦争だったのか? この句をつくった鶴彬はどうなったのか? 表現の自由はあったのか? 子どもたちの疑問を発端に議論は1週間もつづいた。そのなかで子どもたちは戦争のむごさを学び、自分がこれからどう生きていったらいいのか学んでいったのです」。小学校で鶴彬を学んだ生徒たちは、大人になった今もしっかり生きているという。 宇部さんは続けた。「鶴彬の句に『胎内の動き知るころ骨がつき』があるが、これを教えていいか迷っていた。でも思い過ごしだった。子どもたちはそれをしっかり受け止めた。女性の生徒たちは、この句の意味を知ったとき全員が泣きだしてしまった」と。その話のときは会場が静まりかえった。こうして、シンポジウムではさまざまな角度から反戦川柳家・鶴彬が語られた。 鶴彬の生地である石川県高松市から来た寺内徹乗さん(鶴彬を顕彰する会幹事/写真上)は、「『たかじんのそこまで言って委員会』の番組が地元局でも流されているが、歴史のねつ造がのさばっている。戦争と教育は結びついているのでとても心配だ。いま大事なのは、一人ひとりが声をあげること。そのアウトプットの手段が川柳だと思う」と語り、自作の句「戦場に行く人国会にはいない」を紹介した。 川柳家である高鶴礼子さん(写真上)は思いの丈を熱く語った。「鶴彬の覚悟から学んでほしい。川柳は血をもって書け! 存在をかけて書け! と言いたい」と。高鶴さんが紹介した反戦句には「痛恨の六日九日十五日」(作・十善寺心太)「どれひとつとっても生きていた瓦礫」(作・柏埼澄子)があった。「瓦礫は福島だけなくいまの中東イラクにもつながる普遍的表現。17音字の川柳は深く重く現実を捉えることができる。そんな句をつくっていこう」とアピールした。 文芸評論家の楜沢健さん(写真上)は5月の元号フィーバーにおける皇室報道の問題を取り上げた。「タレントの山田優さんがネットで書いた『天皇皇后両陛下 お疲れ様でした』という発言がバッシングを浴びている。お疲れ様のなにがおかしいのか。じゃご苦労さまならいいのか。ある新聞コラムも腰が引けていて、『ありがとう』だったらよかったらしい。このようにどう敬語を使ったらいいのかで日本中に自主規制が広がった。その結果は黙っている方がいいとなる。それが一番こわい。乱鬼龍氏は以前『本音などはけぬ敬語の舌もつれ』という句を発表しているが、天皇制の問題は大きい」。
第二部の会場発言では、労働組合で川柳を活かした例、重病のなかで川柳が支えになった話、経産省前で毎月開かれている「反原発句会」の様子、獄中者の川柳句集を出したい話などが紹介された。また去年からレイバーネットに加わり川柳をはじめた女性は、「川柳は面白い。句会では匿名で批評しあい自由にディスカッションするのが楽しい。連れ合いに見てもらうが。ひねりが足りないとかさんざん文句を言われている。『じゃあなたもつくったら』と反論したらグーの根もでなかった」と話し、笑いを誘った。終始、刺激的な話で盛り上がった3時間の会合。「反戦川柳」が必要な今の時代にどう立ち向かっていったらいいのか、たくさんのヒントに満ちたシンポジウムとなった。なお、一部の司会は笠原眞弓、二部の司会は乱鬼龍の両氏で、2017年大阪の「鶴彬碑前祭」のビデオ上映もあった。(M) →レイバーネット川柳句会(5/29)案内・句集(700円)の申込みはこちら Created by staff01. Last modified on 2019-05-23 00:10:01 Copyright: Default |