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LNJ Logo レイバーネット川柳班 : 5月句会報告「圧力が対話に負けてうろたえる」
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5月の川柳班の例会報告です。

川柳班5月句会は、5月31日池袋エポック10(としま産業振興プラザ3F)で開かれました
。今回は、23名の方から兼題「目/眼」に58句、自由吟に64句と、本年最多の句数が寄せ
られました。参加者は9名+メール参加4名、計13名とこちらも大勢でにぎやかに兼題、自
由吟各3句ずつを選びました。始めて投句された方が2名、久しぶりの方もいらっしゃいま
した。
兼題は4点句、自由吟は6点句がトップでしたが、1点句が兼題の20句、自由吟の16句とば
らけました。兼題の「目/眼」は、優しそうで「川柳」にするのも「時事川柳」にするの
も苦しかったという声も複数ありました。言葉のとおり、川柳にまでもってくる前の、「
そうですか」「そのまんま」のものが見られました。(笠原眞弓)

※次回の兼題は「声」。言葉にとらわれず、全体として声をイメージしていれば可。
兼題、自由吟とも1句以上3句まで。

句会 6月28日(木)午後6時半〜 エポック10のロビー
投句締め切り 6月21日(木)正午まで。(FAXの場合は午前10時まで)
受付 http://1000ryu.masaki-design.biz/
   FAX 03−3530−8578

以下、句会の結果です。

目/眼(58)

●4点句(2)

目を塞ぐその手がかつて首を絞め     笑い茸
→情報隠蔽、言論封殺の本質をえぐって共感。一方で、解釈で意見が割れた。「かつて」
を「やがて」とすればまた別のイメージになる。

すっぽんぽん見られてもまだ王の椅子   斗周
→「裸の王様」を面白く表現している。「すっぽんぽん」が少し品がないかな?

●3点句(2)

どんな目にあってもアベを守らされ    芒野
→今日日の役人は、まな板の上にあげられても下僕を強いられる。
日本の役人は、哀れだ。

ウソの数増えた分だけ眼が泳ぐ      一志
→役人の目を言っている。着想はいいが、増えるたびではないか。

●2点句(4)

人の目をしていた二十歳の記者会見    春うらわ
→日大のアメフトの選手のこと。隠ぺい蔓延している現在、真相を語った彼は真のスポー
ツマン。中八なので、中句の「していた」を「してた」にしたら? 1字をどうするかで
、句が大きく変わる。

辺野古海抱く仲間の目は優し       おおとり
→希望がある。辺野古で闘っている仲間に共感。 

ふしあなの総理に付けよ盲導犬      八金
→目の前のものが見えない、見るべきものを見ていない安倍さんを正しい道に導いてほし
いという意味。盲導犬は、主人の言うとおりに動くものだし、表現に対して問題視する意
見もあった。

目が点にまたも出ました新証拠      白眞弓
→いつまでも「証拠」が出てくる。またも出ました……の講談調がおもしろい。

●1点句(20)

支持率が上がり目の前暗くなり      なずな
→自分の心境と一致。

築地から追い立て魚の目は泪       奥徒
→魚の目線を表現したのがいい

歴史いま動いていると目を凝らす     なずな
→まったくその通りで共感する。

心眼を磨く他無し情報過多        白河真舟
→市民も見る目を磨かなければということ。

見限りの潮目読んでる党の内       斗周
→変わるかもという希望のある句。

目を掛けておだててたっぷり武器買わせ  おおとり
→トランプとアベの関係をズバリ。

腹心の友としっかり目で合図      一志 

→加計問題での国会喚問の猿芝居

アメフトの選手が語る真の目      八金 

→本当のことを言った青年の目の印象。

証人の眼は口ほどにものを言い     乱鬼龍
→「口はウソ眼だけ……」など、同趣旨の句が3句あったが、中でもこれがいい。

気がかりは世間の目よりネット評     春うらわ
→ネット社会の異様さに気づかされる。

目隠しをマスコミにさせ連れて行く    笑い茸
→真実を見えないようにされている。

口はウソ眼だけほんとのことを言い    一志
→「証人の眼は口ほど……」など、同趣旨の3句からこれを選んだ。

五月三日眼出し帽を忘れるな       白河真舟
→五月三日は、未解決の朝日新聞記者襲撃の日。犯人は目だし帽をかぶっていた。この事
件を忘れてはいけないと。

目に涙ためて帰って行くジュゴン     笑い茸
→全生物の受難。こころに迫る。

大人にはもううんざりと二十歳の眼    乱鬼龍
→2点句の「人の目をしていた……」と同趣旨。「うんざり」が強い表現になっている。

ドラマなら二時間あれば目処が立つ    りんた
→つくづく共感。うまい。

官邸前怒りに燃える眼が集う       乱鬼龍
→「目が集う」としたところが、表現として素晴らしい。

目覚めれば富国強兵明治から       ビタミン和子
→よく戦後〇十年というが、吉田松陰の『幽囚録(ゆうしゅうろく)』を見ても、明治か
らということが分かる。安倍のやりたい明治150年記念もその路線。ズバリご用心。

これを見ろ無かったはずの記録類     かぼす(おりじゅん)
→モリカケ文書問題を「これを見ろ」と時代劇風に表現。

一億の目ン無い千鳥どこへ飛ぶ      やせ蛙
→「めんない千鳥」は戦前の流行歌でもあるが、西日本での目隠し鬼のこと。国民が目隠
しされてアベを支持していることをさしているのか。味のある句。

◎乱鬼龍選
どんな目にあってもアベを守らされ    芒野
ウソの数増えた分だけ眼が泳ぐ      一志
これを見ろ無かったはずの記録類     かぼす(おりじゅん)

自由吟(64)

●6点句(1)

圧力が対話に負けてうろたえる     なずな
→擬人化がうまい。安倍の外交政策の破綻をずばり。

●4点句(1)

会ったことない人ばかりお友だち    斗周 
→SNSのと安倍のい答弁とをかけているのか、いかさま答弁とすれば、それを巧みに衝い
ている。両方にとれて時代を表す句。

●3点句(2)

高プロが潰してこいと追いつめる     奥徒
→アメフトとうまくかけている。擬人化の妙。 

同胞に通訳いらぬパンムンジョム     八金
→時代を描いた秀句。短い中に、さまざまなことを表現している。

●2点句(5)

真実は記憶にないが嘘は湧く       かぼす(おりじゅん)
→「湧く」としたところで、広がりが出た。「つく」「いい」では、おもしろくない。

朝刊を開くたんびの虚脱感        乱鬼龍
→「虚脱感」に対して賛否さまざま。本気で活動していれば、こう思うということで。

ちゅら海のサンゴ静かに死んでいく    白眞弓
→サンゴはしゃべらないけど「静かに」が、海の底の情況を現わしている。

だれからも喜ばれぬに喜寿となり     やせ蛙
→微妙な心理をうまく表現している。

銃規制やらない国が核規制        白河真舟
→言葉のリズムがいい。ズバリ、アメリカのユダヤ資本、ネオコンのこと。

●1点句(16)

誰とでも会うと言っては戸を閉める    斗周
→会うわけないことを見抜いて。過労死家族とも、ICAMとも会わなかった。

最低の人が居座る最高位         斗周
日本のいたるところで……。最低と最高の言葉を並べた面白さ。アメフトのように即刻処
分しなければ。

飢えてる子いるのに私苦食する      里見羊
→世界では飢えている子もいるのに、自分は苦しんで食べている。そして飢えた子を想う
。「苦食」という言葉は日本語にはないような……。造語。

忖度が逆走してる人の道         木根川八郎
→人の道に反する政治家のなんと多いこと。誰に対する忖度なのかを問題にしている句。

脱獄囚国民栄誉あげたいな        やせ蛙
→権力の網を潜り抜けた彼にエールを送りたい。 

こき使う疲れて壊れ棄てる法       おおとり
→推敲(整理)の余地があるけれど。こき使うのは上司、疲れて壊れるのは労働者。棄てる
法をつくろうとしているのは政府。

セクハラ罪あれば刑務所不足する     一志
→今まで表に出なかったセクハラの多さをいっている。

兵隊が勝手にやったと上は逃げ      かぼす(おりじゅん)
→アメフト問題に日本軍がダブったことをうまく表現している。

梅雨しとど忘れてないか汚染水      乱鬼龍
→「梅雨しとど」と美しく発句し、現実をズバットいう。川柳的である。

分断の罪は日本に思う今日        なずな

名コンビ暴言男とホラ男         かぼす(おりじゅん)
→暴言と嘘つきの二人が国会を混乱させている様子。少し可笑しい。

紫陽花も負ける政官七変化        乱鬼龍
→川柳には、このようなかろみもあっていい。「げら」っとしたり、「くす」っとしたり
。

首相落つ昔ヨッシャで今イイネ      りんた
→田中角栄の五億円で首相の椅子追われ、今は……。 

実行の若者いつも使い捨て        芒野
→高プロもアメフトも大人の責任を感じた。

すぐ落ちる鳥がここにも巣を作り     奥徒
→オスプレイをとりに例えるのも、マンネリ化だが、よくまとまっている。

積極的平和の人が蚊帳の外        一志
→その通りという句。もう少し……。

◎乱鬼龍選
真実は記憶にないが嘘は湧く       かぼす(おりじゅん)
圧力が対話に負けてうろたえる      なずな
同胞に通訳いらぬパンムンジョム     八金

以上

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