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LNJ Logo 石川源嗣のコラム :労働者自身が立ち上がる
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東部労組の石川です。

ジャパンユニオン組合ニュース2018年1月号コラム<Focus of News>を
アップしました。

■労働者自身が立ち上がる■

 年末、労働問題シンポジウムに招かれ講演を行った。
 その際、同じく講演をした活動家の報告に強く共感するところがあった。
 彼は、「組合結成直後の団体交渉で、当事者の組合員たちが経営者に対してほ
とんど話さないで黙っている。それはそれまでの経営者との従属関係を反映し
たもので、その改善に努力している」との趣旨を話された。
 これはまさしく私たちの経験であった。
 組合結成通知も、労働組合・労働法の説明も、要求の提示も支部当事者組合
員でなく、かつてはすべて本部担当者がやっていた。その結果、団体交渉は経
営者と本部役員の対決を支部組合員に見せる場になっていた。その結果、支部
組合員は闘いの当事者ではなく、見物人にさせられていた。また支部組合員全
員が闘いに参加するという発想が弱く、支部役員数名の参加であった。
 だから、第1回団交は盛り上がらず、成果は少ないことが多かった。団交の
あと支部役員から「あんまり興奮しないで」とたしなめられる始末であった。
 経験談を含め関連本を読み、関係者にも話を聞き回ったが、一般論は学べた
が、具体的なやり方は見つけられなかった。
 自分たちで見つけるほかなかった。悔しい思いを何度も積み、総括し、よく
考えて、少しずつ方法を確立していった。ほぼ現在に続くやり方になったのは
1996年の制作社支部結成のころではないかと思われる。
 その内容は、第1に組合結成後の初めての団体交渉を迎える前に支部会議で
率直に十分意見・疑問を出し合って団交に向けた綿密な意思統一をすることで
ある。たとえば社長が「組合作ったら会社はつぶす」と言ってきたらどうする
か。警察を呼ぶと言ったらどうするか、東部労組についてのデマにいかに対応
するかなど、今までの団交での社長発言を提示し、組合員に対処を考えてもら
った。
第2は、支部組合員が前面に出て、全責任を持って団交にのぞむことである。
そのために、できるだけ多くの組合員が出席すること、支部委員長が憲法上の
権利であり、会社は不当労働行為をするな、を内容とする組合結成通知を読み
上げ、全員が拍手で同意を示すこと、ついで書記長が要求書を読み上げると、
組合員が一項目ずつ拍手し、ヤジなど積極的に発言するなど、団交進行の手順
を提示し、準備しておくことである。
 その結果、社長が団交で深刻な顔をして「会社がつぶれるかもしれない」と
言うや、「マニュアル通りで来た」と、組合員の大爆笑がおこったことはよくあ
った。社長はなぜ大爆笑か分からない。
 つまり最初の組合結成通知申し入れ団体交渉での成功のカギは、組合活動全
般に通じることであるが、組合員自身が立ち上がることである。
 そこにおける組合オルグの役割は、組合員自身が立ち上がる方法を見つけ、
彼らが自信をもって実行できるよう援助することにほかならない。
 労働組合は労働者自身が立ち上がり、要求をかちとるものであって、決して
「やってあげる」救済機関ではない。(石)

Created by staff01. Last modified on 2018-01-09 14:01:07 Copyright: Default

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