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明日から頑張ろうと思える一日〜レイバー映画祭感想

    笠原眞弓


 *ロビー(筆者撮影)

 9月1日は、レイバー映画祭だった。人気の『地の塩』でほぼ満員の300人になり、終日入場者数は変わらなかった。映画はどれもこれも労働問題の形を取りながら、人権、生存権の問題で、生半可なものではなかった。現在の庶民の置かれている状況の悪さは、もしかすると、中世に通底している?っと考えさせられた。そういう意味で、労働現場の人たちばかりでなく、一般の人たちにも見てもらいたいものばかりだった。勿論辺野古の映像も含めてだが。

 ロビーも例年通り、充実していた。いつも有機野菜とお弁当が出展するが、私のお昼は安心して食べられるから、ここと決めている。おにぎりとおかず2品で550円だったと思う。10月13日(土)中野ゼロで上映する『アイキャンスピーク』(慰安婦の映画だが、なかなかよさそうだ)のチケットも売っていた。もちろん買った。 常連の白石孝さんのブースが出ていないのが、さびしかった。

 終わっての恒例運河沿い公園の打ち上げは、あいにくの空模様をにらみながら、行われた。遠くからのお客さん、久しぶりの方、この公園打ち上げがきっかけで独自の活動をはじめた方など、300円の低料金で、最高の交流会だった。

 ここからは映画の内容と感想。気を入れ過ぎて長いのがちょっと……。

 『地の塩』は、観終わってなんだかスカッとした。物語は、アメリカの鉱山労働者がメキシコ人とアメリカ人の人種差別撤廃や安全性の確保、待遇改善を求めストに入る。家庭の主婦たちの日常の不便の改善要求は、男たちに無視される。7カ月も続くストに、会社は手を焼き、法律まで作って労働者のスト権を奪う。しかし、長期ストで女性の実力を認めざるを得なくなった男性陣は女性の提案を採択する。男たちはピケの外に、女がピケラインを守ることに。主夫業をして初めて分かる女性の苦労。見せしめにつかまる女性たちの留置所での抵抗の成功。最後に頬を叩こうとする夫に「そんな古い手を使わないで」という妻。1954年の作品だが、今に十分に通用するところが、何とも悲しい。

 その後はレイバーネットの仲間たちの力作が続く。新進の「レイバーネットカメラマン」の見雪恵美さんの『辺野古500人の大行動』は、運動の中のたくまざるユーモアもあって、サスガの報告映像。彼女の持つキャラが自然に作品に反映されていた。

 一部の方にはおなじみメトロコマーズの総集編『非正規に尊厳を!』はビデオプレス作。彼女たちの“気持ち”が生活を通してにじみ出ていて、ただ権利を主張するのではないということが、よくわかるものだった。

 『わたしは黙らない』は派遣切りにあった渡辺照子さんの最後の出勤日から撮影が始めたという若い依草太さんの作品。若いころから現在までの彼女の生き方が垣間見える。最後がよかった!!! これは見て確認してください。

 『関西生コン業界でいま何がおきているのか』は、生コン業者団体・大阪広域コンクリート協同組合は、幹部級の部署を一部悪質者に乗っ取られて、かれらの利益団体化し、それに抵抗する連帯労組を、レイシストや暴力団などを使って弾圧している。しかもどうも警察もグルみたいだ。抵抗する労組にエールを!!!

 『技術実習生はもうコリゴリ〜ベトナム人の声』は、いま技術実習生という名の「偽装低賃金労働者の“輸入”」の日本社会の恥をえぐったすぐれたもの。社会に与える影響も大きいだろう。

 最後のアメリカの精肉労働者の映画、『ユニオンタイム』は、インタビュードキュメンタリーで、一人の発言がブツブツ切れる類だったけど、主に労働者に話を聞いていて、内容はよかった。精肉解体業者の人種差別を根底に、彼らの安全すら守らない人権無視の労働現場が暴かれていく。『地の塩』が20世紀半ばの問題なら、これは21世紀になっても何ら解決していないことを示した作品だ。地球上の全ての人たちが、心豊かに暮らすには、まだまだ道のりは遠いと、つくづく思った。

 なんとなく、また明日から頑張ろうと思える一日だった。


Created by staff01. Last modified on 2018-09-04 13:54:51 Copyright: Default

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