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LNJ Logo 「警備法廷で裁判を受ける気はない」/大高正二さん抗議の“自主退廷”
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「警備法廷で裁判を受ける気はない」〜東京地裁不当逮捕事件の初公判で、大發気鵑抗議の犲主退廷

    山口正紀(ジャーナリスト)


 *429号「警備法廷」のある場所

 笑っている場合ではないのだが、法廷傍聴席を埋めた傍聴者の間から、思わず笑い声が上がる「笑劇的」な初公判だった。長編ドキュメンタリー映画「裁判所前の男」(2015年・ビデオプレス)の主人公・大眄菊鵑気鵝77歳)が昨年12月7日、東京地裁内で「裁判所の退去命令に従わなかった」として、警視庁に建造物不退去罪で不当逮捕された「事件」。その第1回公判が3月13日午前11時から東京地裁429号法廷で開かれた。傍聴者を犯罪者扱いする悪名高い「警備=弾圧法廷」だ(園原敏彦裁判長、陪席は石田寿一、山部佑輝裁判官)。

 冒頭、長谷川直彦弁護人が「裁判は起訴状一本主義で行われるべきなのに、いきなり警備法廷とはどういうことですか。裁判所は予断をもっているのではないですか。なぜこのような警備法廷でやるのですか」と裁判所の姿勢を追及した。こんな質問を予想していなかったらしく、園原裁判長はしばらく考えた後、「法廷警察権です」と答えた。長谷川弁護人が「大發気鵑砲弔い堂燭情報が上がっているのですか」と訊ねると、裁判長は「起訴状以外に全く情報がないとは言えません」と、半ば「予断」を認めた。長谷川弁護人は「一切の予断なしで進めて下さい」と釘を刺した。

 続いて萩尾健太弁護人が、「本件について、弁護人は事前に公訴棄却を申し立てています。本件は刑事訴訟法339条(公訴棄却の決定)2項『何らの罪となるべき事実を包含していないとき』に当たる。裁判所の廊下にいただけで、建造物不退去罪が成立するはずがありません。この申立てについて、何の決定もないまま今日に至っています」と、裁判所の見解を求めた。裁判長は「その件は開廷したうえで判断を述べます」と述べ、開廷した。


 *開廷前から裁判所は警備職員を大量動員して異常な雰囲気だった

●「要注意人物」という言いがかりで裁判所から退去命令

 この「事件」の概要をおさらいしておこう。大發気鵑12月7日、東京地裁の構内で、地裁職員の通報を受けた警視庁に「建造物不退去罪」で現行犯逮捕された。東京地検は同月28日、同罪で東京地裁に起訴。そうして開かれたのが、3月13日の初公判だ。「事件」の一方の当事者である東京地裁が、もう一方の当事者である大發気鵑鮑曚という、不公平な裁判だ。

 逮捕後、勾留理由の開示を求める法廷が12月21日、同地裁(裁判官・三浦裕輔)で開かれたが、裁判官は勾留理由を開示するどころか、勾留状記載の被疑事実を復唱しただけだった。勾留状によると、大發気鵑糧鏥浸実は概略、次のような内容だ。

《被疑者は、法廷内で録音機を使用する要注意人物としてあらかじめ把握されていたものであるが、12月7日午前10時18分ごろ、東京地裁618号法廷前通路で、地裁総務課長補佐から退去するよう要求されたにも関わらず、通路にとどまり、10時38分まで退去しなかった》

 つまり、大發気鵑亘…酘發馬寝撒,鮖箸ぁ△修譴鰺由に退去を命じられたわけではなかった。〈裁判所が要注意人物と把握〉というむちゃくちゃな言いがかりだ。

 勾留理由開示法廷で三浦裁判官が述べたのは、「被疑者には建造物不退去罪を疑うに足る相当の理由がある」という、何の具体性も根拠もない「理由」だけだ。長谷川弁護人は、大發気鵑髻嵋…遒馬寝撒,鮖箸ν彙躇嫂擁」とした理由に関して、“鏥深圓蓮△い掴寝撒,鮖藩僂靴燭里、実害は発生したのか∨…遒任力寝擦魘愡澆靴針[瓠禁止する根拠は何かM彙躇嫂擁とはどんな人物か、被疑者を要注意人物と断定した理由、根拠は何か、そのことを被疑者に伝えたか――などと質問した。

 これに対し、三浦裁判官は「要注意人物という退去要求の前提には、相当な理由が認められる」と理由を述べない意味不明の弁明。弁護人が「被疑者は裁判の進行を妨害したのか」と釈明を求めても、「すでに説明した通り」を繰り返すばかりだった。

 また、萩尾弁護人が、勾留理由とされた〆畩擶L任龍欧讚逃亡の恐れ――について具体的な説明を求めたのに対し、この質問は初めてだったにもかかわらず、三浦裁判官は、「すでに説明した通り」と、まるで「壊れた録音機」状態だった。

●「在廷命令」を覆した大發気鵑慮事な闘い

 初公判の法廷に戻ろう。開廷を告げた園原裁判長は冒頭、弁護人が求めた公訴棄却の申立てについて「本件に339条に相当するような事由があるかどうか、直ちに判断できないので、申立てを却下します」と述べた。

 続いて大發気鵑凌幼蠖厂筺それが終わり、裁判長が審理に移ろうとした時、大發気鵑蓮屬修料阿妨世い燭い海箸ある」と発言。傍聴席の方を振り返って、「今、たくさんの警備員が立って傍聴者を監視している。いったい何のためか」と裁判長に説明を求めた(廷内には8人の屈強な警備員がいた)。裁判長が「法廷の秩序を維持するためです」と答えると、大發気鵑老挌法廷の人権侵害について次のように訴えた。

 「彼らは傍聴者を監視しているんです。傍聴者がささいな発言をしただけで、暴力的に法廷の外に引きずり出す。これは犯罪ですよ。こういう職員を法廷に入れておくと、法廷の雰囲気が悪くなる。こんな裁判を受ける気はありません。裁判官、あなた方は、こういうことを警備員に命令してやらせている。あなた方も犯罪者です。速やかに警備員を退廷させてください。そうでなければ、私が退廷します」

 被告人自らの「退廷宣言」は前代未聞だ。これを聞いた園原裁判長は一瞬きょとんとした顔をしたが、あわてて「職員は退廷させません。被告人には在廷を命じます」と、ふだん警備法廷で乱発される「退廷命令」とは逆の「在廷命令」を発した。こうして、裁判長と大發気鵑隆屬猟遡な「在廷論争」が始まった。

 大發気鵝宗宗屬覆失瀋遒靴覆韻譴个い韻覆い里任垢」
 裁判長――「出廷命令を出してあります」
 大發気鵝宗宗崕伉遒気譴燭ぁ△箸靴書いてなかった。出廷されたい、これは命令ではないでしょう。出廷せよとは書いていなかった」
 裁判長――「在廷を命じます」
 大發気鵝屬修譴老沙訴訟法の何条に基づく命令ですか」

 この瞬間、園原裁判長は明らかに狼狽、左右の陪席裁判官の顔をうかがった。陪席裁判官が六法全書を開いてアドバイスしたようで、裁判長はあわてて「288条です」と言い、「被告人の在廷義務」を定めた刑訴法288条2項を読み上げた。

 大發気鵑蓮嶌のは間違いないですか」と弁護人に確かめた後、さらに発言を続けた。「あなた方裁判官は、都合の悪いことは答えない。いつもウソをつく。うそつきは泥棒の始まり」……持論の裁判所批判が始まった。

 裁判長はたまらず「これ以上の発言は禁止します。これ以上発言したら退廷させます」と言ってしまった。退廷を求めている大發気鵑法崑狡遒気擦泙后廚蓮何の脅しにもならない。大發気鵑呂垢さず「望むところです」と切り返した。傍聴席のあちこちから笑い声が起きた。これまでの大發気鵑侶挌法廷では、傍聴者は笑い声をあげると直ちに退廷命令を受けた。園原裁判長は我慢強い人のようで、傍聴席の笑い声は無視した。

 裁判長は大發気鵑頬殤され、もう手に負えないと思ったのか、「弁護人はどうしますか。被告人と弁護人で話し合ってください」と弁護人に「救い」を求めた。しかし、長谷川弁護人は 「本人が退廷したいというのであれば、そうするしかないでしょう。裁判には本人の意思が必要です。退廷しかないと思います」と突き放した。

 大發気鵑呂修譴膨匹てい舛鬚け、「今後、出廷しませんから。犯罪者が裁判をするのは拒否します」と宣言。長谷川弁護人は「きょうのところは閉廷してください」と裁判長の判断を求めた。これで裁判長もこの日の審理をあきらめたようで、大發気鵑法崟鼎にしていられますか」と聞いた。大發気鵑「何を静かに、ですか」と反問すると、裁判長は「では、被告人を退廷させてください」と述べ、警備職員が大發気鵑鯔…邀阿墨△貊个靴拭7覿鼻∈枷縦垢蓮大發気鵑求めた「退廷」要求に応じる形になった。 大發気鵑蓮◆峽挌法廷を辞めない限り、裁判を受けることは出来ない」という主張を貫き、裁判所に否応なく受け入れさせた。この間、およそ20分。実に見事な闘いだった。「裁判所前の男」は「裁判所の中の男」になり、警備法廷の悪と無法を痛烈に暴き出した。

*次回公判は予定としては4月23日(月)13.30〜東京地裁429号法廷となっている。

『裁判所前の男』HP


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