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『アジア記者クラブ通信』296号(7月)
〜特集:ジャーナリズムを歪める「反米」の烙印〜

タイトルとリードのみです。本文は、通信でお読みください。
全頁カラーのPDF版と紙版があります。購読方法はメール
末を参照願います。

■定例会リポート(2017年3月22日)

日中戦争・盧溝橋事件から80年                
あの戦争は、中国・朝鮮蔑視から始まった
田中宏(一橋大学名誉教授)

 日中戦争の端緒とされる中国での盧溝橋事件から7月7日で80年。
秋には1972年の日中国交正常化から45年の節目も迎える。「日本
は理性的に中国をみて、受け入れるべき」と中国敵視姿勢を批判
する王毅外相の発言が報じられたのは3月のことだった。日本が
敗れた先の戦争については「太平洋戦争」「第二次世界大戦」な
ど呼称をめぐる議論のほか、満州事変につながる柳条湖事件から
の「15年戦争」など、始まりに関しても見解が分かれる。戦後70
年の安倍晋三首相談話に「敗戦」という言葉がある一方で「開戦」
の文字は出てこない。中国や東南アジア、太平洋の島々の人たち
の戦争被害が述べられ、韓国と台湾も名前が挙げられたが、植民
地支配への反省や謝罪はみられない。日本は本当に歴史の清算を
行ったのは疑問を持たれるところであり、いまも不信のまなざし
がアジア各国の大衆から向けられる。こうした戦後日本の歩みが、
ヘイト世論に象徴される中国、韓国、朝鮮への蔑視を招いてはい
ないか。日本における外国人の人権問題などに詳しい田中宏さん
に、体験的に語っていただいた。(編集部)


■米国・社会運動
批判封じる「反米」の烙印
安易に既存メディアも使用
チョムスキー氏語る(1)

ノーム・チョムスキー(言語学者、哲学者、政治活動家)

クリス・ヘッジス(インタビュアー、ジャーナリスト)

 米国の戦争、外交政策に異論を唱える国、個人に対して容赦な
く「反米」の烙印が押されてきた。主流メディアも特定の国や個
人の名に枕詞のように「反米」を冠してきた。本稿は、1950〜60
年代の自由主義に対して、世界を本当に自分たちのものだと思っ
ている人たちが、ビジネス界を動員し、民主主義をもっと穏健な
ものにし、人々を受け身で無感動な状態にするために、どのよう
な策を弄してきたのかを明らかにする。クリス・ヘッジスの問い
かけにチョムスキーは、大規模なデモが起きないように大学にビ
ジネスモデルを導入して無力化し、学生を借金の圧力と企業文化
に埋没するように仕向けたプロセスを語る。その極めつけは、権
威に異議申し立てをするものに「反米」の烙印を押すことだとい
う。この全体主義国家にしか存在しないコンセプトの役割につい
ての説明がインタビュー前半の見せ場となっている。(編集部)


■ベネズエラ
放火や略奪が全土に拡大
73年のチリの再現か
ベネズエラ情勢は正念場

マルコ・テルッジ(ジャーナリスト)

 米政権と西側主流メディアが「反米」国家の烙印を押し続けて
いるベネズエラでは、米国の支援を受けた右派武装勢力による革
命政権への暴力活動が全土に拡大し、激しい権力闘争が繰り広げ
られている。7月30日の制憲議会選挙を控えた6月27日には、大統
領宮殿のある官庁街で、内務省、法務省、最高裁がヘリコプター
から攻撃を受けた。筆者は、クーデターが進行し、革命の成果が
後退しているだけでなく、全土に波及している略奪や放火、非政
治化のプロセスが革命を支持してきた民衆の離反を招き、現下の
情勢が「新たな転換点」にさしかかっていると指摘。この事態を
逆転できないジレンマが革命政権の弱点となっている一方で、右
派武装勢力による権力の奪取に向けた国内騒乱化はある程度成功
したことで、情勢は毎日が正念場だと筆者は警告する。(編集部)


■メディア
真実を歪めているのは誰か
既存メディアのストーン叩き
プーチン嫌悪の成れの果て

マキシム・ニコレンコ(在米ロシア人、ALTERNATIVE BEACON創設者)

 ウラジミール・プーチン大統領ほど西側主流メディアからデフ
ォルメされ、的外れの集中砲火を浴びている政治家は、これまで
なかったのではないか。19世紀末の清国のように西欧列強による
資源の簒奪と領土分割の危機にさらされていたロシアを再建した
辣腕政治家の実像に誰が迫ることができるのか。本稿は、その実
像に迫るべくプーチン大統領に長時間インタビューを行った映画
監督オリバー・ストーンへの異様なメディア・バッシングの一部
始終を明らかにする。筆者は、米ロ関係を冷戦時代に引き戻し、
第三世界を戦火にさらしている加害者と被害者の姿を逆転させて
恥じない主流メディアの罪を告発する。ストーンは、異議申し立
て不能な「真実」を拒み、「適切に編成された」ジャーナリズム
の枠組みからはみ出し、「適切な判断」が示されているのに迎合
しない。それが袋叩きにあう理由だと筆者はいう。(編集部)


■シリア
「テロとの戦い」の大嘘
シリア戦争で潤う戦争屋
ガバード議員は法案提出

ガレット・ポーター
安全保障政策を専門とする調査報道ジャーナリスト、歴史家
2012年度Gellhorn Prize for Journalism受賞

 2011年3月に始まったシリア戦争は、ドイツ軍のポーランド侵攻
に始まった第二次欧州大戦の期間を8カ月上回って現在も続いてい
る。重装備の政府軍と同盟軍に互して6年4カ月もの間、なぜアル
カイダやISなどの反政府武装勢力は戦闘を継続できたのであろうか。
本稿は、米下院で「テロリスト武装停止法案」がトゥルシー・ガバ
ード議員らによって提出されるに至った米国のシリア戦争の全貌を
明らかにする。筆者は、夥しい量の武器や弾薬がどのようにして途
切れることなくシリア国内に搬入されたのか、シリアが最新兵器の
試験場となり、兵器市場の在庫消費地にされてきたからくりを解き
明かし、「テロとの戦い」を標榜してきた米国自身の裏切り行為の
数々を告発する。(編集部)


■キューバ
革命政府の声明

 玖米国交正常化からわずか1年で両国関係を冷戦時代に逆戻りさ
せかねない大統領令がトランプ大統領によって発表された。革命
前の植民地時代を知るキューバ人は、米国人を形容して「やつら
はあごで指図する」といった。60年にわたる対キューバ経済封鎖
は国連総会で191カ国が反対した。米国とイスラエルだけが封鎖を
支持した。本稿は、外交慣例を無視するだけでなく、グアンタナ
モ海軍基地の占拠も含め、尊大な植民地主義から決別できない米
国の対キューバ政策の矛盾を批判した革命政府の声明である。
(編集部)


■北朝鮮
金正恩は本当に狂人なのか
米体制内から異議申し立て
「中国頼み」も完全に否定

ドグ・ベンダウ(CATO研究所・上級研究員/レーガン元米大統領
の特別補佐官)

 「北朝鮮の歴代の指導者は、とても道理をわけまえている」。
こう聞けば、金正恩委員長を「狂人」だと思い込んでいる日本政
府関係者や主流メディアの人間はいうに及ばず、一般聴衆も口角
泡を飛ばして反論するであろう。本稿は、北朝鮮が行ったICBM発
射という形の異議申し立てに対して、完全に手詰まりの観を呈し
ている日米韓政府と主流メディアに朝鮮半島危機解決の糸口を論
理的に提示する。米体制内に席を置く筆者は、金委員長の巧みな
権力行使や体制の維持、米国の体制転換の企てを抑止する先見性
に注目した上で、問題が誤って診断されていれば、解決策を見つ
け出すのはさらに困難になると強調する。日米政府と主流メディ
アが強調する中国による北朝鮮との商取引き全面停止に対しては、
仮に実行されても、北朝鮮の全面降伏は保証されていないと見通
しの甘さを批判する。90年代に路線転換を拒んで、大量の犠牲者
を出したことに目をつぶった経験があるからだ。結論として筆者
は、米国が北朝鮮の為政者が理性的であり、理路整然とした目標
を追求しているとの仮定を持続するだけで、危機が回避される可
能性が高いと説く。(編集部)


■北朝鮮
挑発しているのは誰か
中露二重封じ込め最前線
北朝鮮のサバイバル法

アレキサンダー・ウォロンツォフ(東洋学研究所 朝鮮・モンゴル研究部長)

 北朝鮮への制裁延長を定めた国連安保理決議2356が6月2日、全
会一致で採択されたことは大々的に報じられた。本稿は、北朝鮮
の核・ミサイル開発に安保理加盟国が一致して反対していること
を認めた上で、安保理決議文の評価に関しては、中露両国を筆頭
に多様な見解が存在し、ときに相反している内情を明らかにする。
筆者は、これまでの安保理決議が何の効力も持たないことを加盟
各国が承知しながら繰り返され、その一方で、「北朝鮮を挑発し
ている朝鮮半島とその周辺での米国の軍事活動」が一切考慮され
ていないことが効力を生まない最大の理由だと指摘する。さらに、
トランプ政権が北朝鮮制裁では中国を持ち上げる一方で、南シナ
海問題では「中国の海洋進出」を厳しく批判していることを一例
に、北朝鮮と同時にロシア制裁も延長している米国の狙いが中露
両国の封じ込めにあり、その障害となる国を排除してきたことに
注意を喚起する。こうした情勢認識に基づいて金正恩委員長は、
米国の提示に同意することが自身の即死を意味することを理解し
ているのだという。これが北朝鮮の生存の掟になっていると筆者
は説く。(編集部)


■伊藤孝司『平壌日記』

■山崎久隆(たんぽぽ舎)の原発切抜帖


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